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20、脂質の話題で出て来るオメガの話

脂質成分の話をする時、とくに栄養の観点から話題になる時にはω(オメガ)という言葉がよく出て来ます。時々「オメガ〇だからこの油は~」と得意気に話している人がいますが、意味を知っていての話題ならともかく、「この人、本当は分かっているのかな、どんなんだろう?」と疑問に持つことがありませんか。そんな時に「オメガの意味って、何?」なんて聞こうものなら、エライことになるかもしれません。「そんな事も知らないのか、今話題になっているだろ!・・・」。で、後の言葉が続きません。腹の底でニヤリとして「お前も知らないんじゃないか」と笑っていたりして・・・。私は意味を忘れました(キッパリ)。なので、もう一度調べてここに書こうと思います。

オメガ(ωと表記します)という言葉は、脂質成分の分類を表します。脂質成分の中でも脂肪酸と呼ばれる物質にはいくつもの種類が存在しています。その分類を表現したものが、「ω(オメガ)」という言葉なんですね。ではどんな分類かというと・・・。

脂肪酸は大きく分けて、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の二つのグループがあります。何が違うかというと、分子構造として二重結合があれば不飽和脂肪酸、無ければ飽和脂肪酸という表現です。この不飽和脂肪酸を更に分けていくと、二重結合が一つの場合は「一価不飽和脂肪酸」で、二つ以上の場合を「多価不飽和脂肪酸」と呼んで区別します。

この中で、一価不飽和脂肪酸のことを「オメガ-9」と呼びます。多価不飽和脂肪酸の場合は二重結合が構造の中でどの位置に有るかで、「オメガ-3」と「オメガ-6」の二つのグループに分かれます。

一価不飽和脂肪酸(つまりオメガ-9)ではオリーブ油に含まれるオレイン酸が有名です。多価不飽和脂肪酸では、オメガ-3ではαリノレン酸、オメガ-6ではリノール酸がその代表例です。そして、このα-リノレン酸とリノール酸の二つは必須脂肪酸となっています。オメガ-3とオメガ-6の不飽和脂肪酸は体の中で合成が出来ないので、必須脂肪酸となるのは仕方がありません。しかしオメガ-9の場合は体の中で合成できるために、必須脂肪酸にはなっていません。この辺りもややこしいところです。

オメガ-3の不飽和脂肪酸は、α-リノレン酸でしたね。これは魚類に多く含まれるといわれているもので、DHAやEPAといった名前はご存じでしょう。背の青い魚に多く含まれているとされています。その他ではアマニ油とか、えごま油が有名です。オメガ-3の油は積極的にでも摂取したい油となっています。

オメガ-6の不飽和脂肪酸はというと、リノール酸でした。一般的な植物性油に多く含まれています。

オメガという言葉があると分かりにくいとかややこしいと書きましたが、ややこしいついでにもう一つ書きたいと思います。脂質の表示で時々「n-〇」という言葉を見かけませんか。〇の中は数字が入りますが、これもまたオメガの時と同じように、3,6,9のどれかが入っています。じつは「オメガ-〇」という表記以外に、同じ意味で「n-〇」と表記されることがあります。ですから、「n-〇」も「ω-〇」も同じ意味なんです。

余計にややこしくなりましたか?


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