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ドイツ生活 673日目 2025/1/16 キッチンが売られちゃう
数日前私たちのアパートのキッチンの買い手がまだ見つかっていないという話をしたが、なんと昨晩家主が突然
「ミツキ、キッチンが売れたわ。今週末取りに来たいと言われているんだけど、いい?」と言ってきた。
今週末って、今日木曜日だけど!?(言われたのは水曜日)
流石に急すぎるので「今週末は厳しいかな、来週末にできない?」と言った。
すると家主は「来週末は、私が荷物を実家に送り届けるの。だから今週末しかないの」と言う。
本当にめちゃくちゃ自分勝手な人だ。
こっちは満額一月分の家賃を払っているのに、キッチンを1月中旬にもう売り払おうとしているのだ。
ひとまず「週明けにしてもらっていい?とにかく今週の土日はちょっと無理。」と言って会話を終えた。
朝出社して先輩にその話をしたら、
「え!?キッチンをもう売るの!?酷すぎる!家賃返してもらわないとダメよ!フェアじゃないわ」と言ってくれた。
もう本当に本当にその通りだし自分もそう思うのだが、家主は本当にそう言うところが残念な人間なのだ。
自分が決めた計画が絶対で、そのために人を不快にさせても何も気にならない人だ。
人の足を引っ張るようなことはしたくないし、人を呪うつもりもないが、家主には今後の人生のどこかでちょっとだけ、痛い目を見てほしいと思っている。小指を家具にぶつけて骨折するとか、シャワーした直後に頭に鳥のフンが落ちてくるとか、そういうことでいい。本当にちょっと辛い目にあってもいいんじゃないかな、と思う。
先輩は「家賃を返してもらう必要もあるし、ミツキの希望である来週末までキッチンは残してもらうように交渉しないとダメよ!私だったら諦めないよ。」と言う。
先輩は超強烈なマシンガントーク人間なので、一回熱くなったら話が止まらない。そんな先輩がこの私の家主と対峙したら一体どうなるのだろうか、気になる。ポケモンバトルみたいに、対戦させてみたい。
「家主がでてきた!いけ!先輩!」と、先輩のマシンガントークで家主を打ちのめしてほしい。まあ家主も強敵だが、、。
私は「いや、家賃も減額してほしいし、キッチンも来週末まで残してほしいけど、もう私は敷金が全額返ってくるかどうかだけが心配なんです。今まで家主と私の間だけはそこまで険悪にならなかったから、最後の最後に険悪なムードになるのは避けたくて、、敷金の返金額に影響があるかもしれないし、、」答えると
先輩は「敷金のためにミツキは家主の足にキスをするの!?
プライドはないの!?」と言った。
die Füße küssen:直訳だと「足にキスをする」
ここでは誰かに媚びへつらう、過度に仕える行為を揶揄するような意味で先輩は言っている
私にはプライドなんてないのだ、
プライドがあったら多少高い家賃を払ってでも1人部屋を借りるかしっかりしてる管理会社が運営してるシェアハウス借りてるはずだ。
返ってきた敷金と節約で貯めたお金で日本の一時帰国でお寿司とかたこ焼きとか焼肉とかラーメンとか食べまくる!!
それが私の目的!
より多く日本食を食べるため、日本滞在を楽しむため!!!
プライドなんてねえ!
敷金を全額返してもらうためだったら多少自分の居心地が悪くなろうが、多少アンフェアなことがあろうが、甘んじて受け入れるのだ。
本当はそんなことしたくないが、元ルームメイトががっつり反抗したら追い出されるという酷い目にあったので自分はできるだけフレンドリーな雰囲気を保つようにしているのだ。
まるで自分は「自分に逆らったら強制退去させられるんだぞ」と北朝鮮の公開処刑を見て怯える人民のようだ。
しかも逆らってないのに家のものをどんどん売り払われてどんどん肩身が狭い状態になっていっている。
家主は洗濯機も今週末売る予定らしく、「好きなだけいていいわよ!」と言ってくるが、キッチンも洗濯機もなかったら不便すぎるだろう。
一応「ミツキの好きなだけ滞在していいわよ!」と言うことで家主から「無理に退去を迫ったわけではない」ということになるから家賃の減額要求をさりげなく阻止しようとしているのだろうか。
いや、天然の悪人だからそこまで考えていないか。
まあ家主は料理も年に1回しかしないし、洗濯も2週間に1回しかしないので、キッチンと洗濯機がなくても住めるでしょ?という考えなのだろう。
韓国ドラマ『梨泰院クラス』の主人公パク・セロイは
自分が間違っていない時は絶対に謝らない、自分の意思を曲げない!
それによってどんなに自分が不利な状況に追い込まれようとも、自分の意思に反して頭を下げたり理不尽な要求を飲むことはしない!という生き様がすごくかっこよかった。
ドラマを観ている時は「へ〜かっけぇ〜」という感想しか抱かなかったが、今となっては本当に尊敬する。
私は小心者で、自分が正しいとわかっていてもそれを言えずに家主の理不尽な要求にぺこぺこ従うしかできない。
元ルームメイトのように、ハッキリと自分の意見を主張して追い出されたほうがかっこいいではないか!と思ってしまう。そっちの方が後々ストレスもなさそうだ。「あの時ガツンと言ってやればよかった〜」みたいな後悔もないだろう。
先輩は「ミツキの契約がちゃんとした契約だったら反論できただろうし、賃借人組合に入っていたら色々弁護士とかの助けも得られただろうけど、家賃の減額分と比較したら見合わないかもね」と言った。
まあ確かに、キッチンや家具がなくなって住みづらくなる期間が大体10日間だとすると、家賃のちょうど3分の1だ。私の家の家賃は425ユーロなので10日分を返金してもらうとすると140ユーロくらいか。
もうすでにストレスレベルが高い状態なので、できるだけ早く完全退去して鍵も返して敷金を受け取ったらすぐに家主との縁を切りたい。140ユーロの返金に素直に応じるような人じゃないし、それで議論が長引いて日本滞在が楽しめなくなったらそれは損だ。
それに1月後半は新居の家賃も支払っているので、そちらに住むことができる。(でも来週火曜にペンキを塗るのでそれまではゲストルームしか入れない)
なのでこの1,2週間は今の家も新居もどちらも住みづらいというちょっと居心地の悪い時期になるが、まあこれも自分で決めたことだ。
このやばい家主の家に住むと決めたのも(もちろん過去の自分に会うことができるのなら殴ってやめさせるが)、この新しい家を決めたのも、全部自分だ。
結局は自分がやりたくてやっていることなんだ、自分が決めたことなんだ、と思えば少しは気が楽になる。
とにかく今は無事に引越しが済んで、早く日本に帰って安心したいという思いしかない。
そしてもう一個忘れかけていた大事なことがある!それは申請中の私のビザだ。
11月半ばに予約をして書類を全て提出して、12月末に私の申請が許可されたことを通知する手紙が来た。
だがそれはドイツ政府から送られた手紙であって、ザーランドの外人局からではない。もう私のビザは受け取り可能な状態であることがわかっているが、勝手に取りに行っていいのか?それともまた予約の手紙が来るのか?それがわからない。
ザールブリュッケンには最近、ドイツに移住してきた人のための相談センターがオープンした。
私がビザの手続きで大変な目に遭っているのを見た先輩が教えてくれたのだ。
ザーランドの外人局は電話もメールも通じないしオンラインの予約サービスもない。直接アポなしで行く以外情報を集めることができないのはあり得ないと思っていたが、ついにこういう親切な施設ができたらしい。
仕事終わりに寄ってみることにした。
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中はがらんとしていて、2人女性が机に座っていた。
私:こんにちは。ビザのことで質問があるんですけど、、
女性:はい。
私:11月中頃に申請したビザが許可されたという手紙が12月末に届いたのですが、勝手に受け取りに行ってもいいのでしょうか?それとも予約の手紙がまた届くのでしょうか?
女性:予約の紙が届くので、勝手に受け取りに行ってはいけません。大体申請から6~8週間で受け取り可能になるので、もうそろそろ手紙が来るはずですよ。
私:ああ!そうなんですか!ありがとうございます!それにしても、この施設いいですね。ザーランドの外人局は電話もメールも無視するので、こういう簡単な質問をしたり情報を集めるのが本当に大変だったので。
女性:予約の手紙の右上に、あなたの担当者の名前と電話番号が書いてあるはずですよ。そこに電話すればつながります。外人局そのものの電話はつながりませんが、、、
とてもいいアドバイスをもらえた。
そうか!一度申請したら担当者が付くから今後はその人に直接連絡すればいいのか!
外人局全体に送ったメールや電話は無視されるが、担当者に直接連絡すれば無視はされないのだろう。
それって働く人の態度としてはどうなの?と思ってしまうが、ここはドイツ!日本の常識は通用しないからそこにいちいち疑問を持つのはやめよう。
こうして自分で足を動かして人に会って情報を取りに行かないと、ドイツでは外国人として生きていくのはなかなか難しいようだ。
家もビザも色々大変だが、
親身になって話を聞いてくれる会社の先輩や同僚がいること、家族が日本で待っていてくれること、冬が終わってこれから春が来ること、など幸せなこともたくさんある。
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夜は目玉焼きのせご飯とお味噌汁。
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頑張ろう!