旧市街にあるラッキー煙突掃除人の像の話
9月24日火曜日 ほんのり曇り
散歩でカドリオル公園方面に行く時はいつも、大学前の電車通りを東に進む。朝見るタリン大学の校舎は結構素敵だ。
海沿いの遊歩道にはテトラポッドを模したオブジェの間に噴水が湧き出ている。この噴水が止まったら本格的に冬になるのだろう。
いつもの散歩道の途中、フリーダム広場から少し旧市街に入ったあたりに、山高帽のおじさんの銅像がある。このおじさんが誰なのか、ChatGPTで調べてみると、「向かいの窓から若い女性を盗み見していた変態老人の像」だと言う。その行為に怒った女性の旦那が覗き見している姿を彫像にして家の前に設置したと、もっともらしいことをいう。いや、そんなことはないだろうと今度はGoogleで調べてみると、やっぱり違って、本当は「ラッキー煙突掃除人の像」だと分かった。エストニアでは昔から煙突掃除人の金ボタンに触ると幸運が訪れると信じられているそうで、煙突掃除人が通ると皆んなでそのボタンを触りに来たそうだ。その話を今度はまたChatGPTに教えてあげると、いけしゃあしゃあと「おっしゃるとおりです」などと言う。このようにChatGPTのような大規模言語モデルが真っ赤な嘘をつくことを計算機科学の業界ではハルシネーション(Hallucinations)という。が、言うに事欠いて変態老人の像ですなどという話を作り上げるとは、僕もちょっとびっくりした。
寮に帰って少し教育学とエストニア語の勉強をする。簡単に昼ごはんを済ませて、午後2時15分からのエストニア語の授業へ行く。この授業はほとんどエストニア語だけで行われるので90分間、頭がエストニア脳になる。今日は数字や日付、曜日などの単語を復習した後、「今、何時?」と時刻の聞き答えの練習をした。実はエストニア語では、「2時」とか「3時」という言い方は日本語や英語とあまり変わらないが、「2時15分」とか「2時半」、「2時45分」という場合には全て「(次の)3時まで15分経ったところ」とか「3時まで後、30分」とか「3時まで45分経ったところ」というように、その次の時間を基準に話す。もともとエストニア人は時間に正確で遅刻にはうるさいと言われているが、なんとなくその特徴が言葉にも表れている気がする。
帰りに寄ったスーパーマーケットでエストニア名物と言われる豚の煮こごりのゼリー、スルトゥ(Sült)を買ってきて、330グラムをぺろっと食べた。が、これだけ食べてもそんなに美味しいものでもない。これはきっと、本来はアペタイザーの一つとして小さく切ってサラダなんかに添えて出すものなのだろう。また一つ勉強になった。
明日も宿題の提出やエストニア語の授業、合唱団の練習などがあるので、今日はこれで休む。