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黄昏の夜と曇り空でも希望の朝

火曜日の空はすっかり雲で覆われているが、今日一日雨は降らないらしい。ベッドで目を瞑りながら考える。もう少し寝ているか、スカッと起きて昨日出た組合せ理論の宿題に着手するか?起きて宿題をやった方が人間としてカッコいい。カッコつけるのは大事である。で、シャワーを浴びてから始めて、あともう少しでできそうだったが、もう7時、朝ご飯の時間だ。クラスメイトのFと、もうすっかり定番の玉樹園の一階で食べる。スープワンタンと青椒肉絲のクレープ、それに豆乳で8元。

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ふと思うのだが、最近夜寝る前は結構キビシイ思いを持っているような気がする。ロールプレイングのパーティのキャラで言うと僕は、コミュニケーションや社会性のスキルはMaxに達しているが、他のメンバーと比較してプログラミングやAI数理の戦闘能力はゼロに近い。記憶力の数値も異様に低い。強い魔物と遭遇したらすぐに一撃で即死するタイプだ。今はまだラスボスなどには程遠く、経験値上げのステージだが、それでも結構苦労している。本当に卒業まで行けるのか、不安になることもある。

でも朝になってFと朝ごはんを食べていると気分が上がってくる。今不可能に思える宿題もきっとやってみると大したことないだろうと思える。既に他に何人も提出して満点とっているクラスメイト達がいる(昨日の授業で判明した)。と言うよりも、彼らはもう分かっている・もう出来ることをやっている。僕は全然見たこともないことに挑戦している。で、もうすぐ出来るようになる。こんな素晴らしいことないじゃないか。さっき終わらなかった宿題ももうできた。こんな曇り空の下でも、新しい校舎の建築工事の建機の音でうるさい清華大学のキャンパスの朝、俄然やる気が出てくる。

もうすぐ午前中の中国史の時間だ。そろそろ留学生寮の部屋を出て、第四教室楼(いわゆる四教)まで自転車で行く。もうすっかり良い友達になった程鋼教授に会いに行く(つまりは授業だ)。僕は専門以外の中国史や初級中国語Aでは積極的に発言するので、すっかり優等生だ。(結構情けないな、こんなとこで威張ってると。)

自転車を飛ばして、授業に向かう学部生たちをガンガン抜き去って、四教に着く。入り口で学生証の認証と体温チェックを自動の機械でやってから中に入る。9:35までは前の授業なので教室に入れないので外で待つ。(授業のちょうど15分前に教室に到着すること、これは覚えておこう。)

中国史の授業も最前列で聴講する。今日気が付いたが、教室には学生が10人しかいないが、実はあと30人はオンラインで入っている。この授業はいろいろな学部の大学院生が受講しているので、面白い意見が特にオンラインの学生から聞ける。今日はアフガニスタンの学生が中国と自国の考古学的な関係に関して解説してくれたし、もう一人(どこかヨーロッパの国の人だ)は集団主義と個人主義の最近人気の本の紹介をしてくれた。僕が彼に、今般の中国での『第三の分配』政策を支持するか否かの質問をして結構議論が盛り上がった。

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芝蘭園で17.5元のお昼をFと食べてその後、組合せ理論の宿題の答え合わせとC++のプログラミングの話を聞く。寮の自室でコーヒーを淹れて水筒につめ、ディストリビューテッドデータベースシステム(DDBS)の授業に向かう。広葉樹の落葉が舞う学堂路を昼食後の清華大生が集団で自転車で次のクラスに行く様は壮観である。

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DDBSの授業の最中に呼び出しを喰らう。ちょうどこの時間に初級中国語のオンライン課外授業・復習の発音テストがあることを忘れていた。4教の廊下では対応できないので仕方なく大急ぎで寮の自室に戻って試験を受ける。合格。来週以降もこの教授補佐(Teaching Assistant)によるオンライン授業・復習テストがあるので、木曜日にリスケジュールしてもらう。20分間程度、本当に単純な単語や中国語会話の発音を練習してつまらないミスをその度に直されるのは精神的に苦痛だが、その重要性は英語習得の経験から身に染みている。

晩御飯を抜いてそのまま寮で勉強。組合せ理論のオンライン宿題の、数百桁の組合せの数の計算アルゴリズムを考える。数が大きくなった時の桁落ちを避けるために一回一回約分するアルゴリズムを検討するが、CPUタイム(実行時間)の制約もあり、難しいところだ。

で、宿題の手をしばし休めて、ビッグデータインテリジェンスの授業に行く。これも機械学習やディープラーニングを本格的に学ぶコンピュータサイエンス本流のごっつい授業だ。今日はデータサンプリングの説明の仕上げと回帰分析の解説。その中で朱教授が面白いケーススタディを紹介していた。『回帰分析の中でもロジスティック回帰は出来るか出来ないかのようなゼロイチのデータを予測するのに使われる。例えば、コンピュータプログラミングの経験の多寡でシステムアナリストが与えられたタスクを完了できるかどうかが大体分かる。このチャートに出ているように12ヶ月くらいの経験値では結構出来ない、24ヶ月以上でやっと分析タスクの完了確率が急速に高まってくる』という分析があるらしい。講義と今回の宿題の分析タスクの説明の後に教授に、ちょうど僕のプログラミングの経験が12ヶ月くらいだと言ったら、まあ10カ月でもできる奴はできるよ、と笑っていた。

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夜食にと授業からの帰りに天猫スーパーマーケットで買ってきたマンゴーを食べた。そう言えば以前、息子に自作のナゾナゾを出してあげたことがあった。『出てくると男の人がいなくなる果物はなあんだ?答えはマン、ゴー、マンゴーだよ。』今日はこの日記をつけて、寝る。

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