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都市開発シミュレーションゲームの可能性

挨拶

 note公式企画で「#全力で推したいゲーム」とあったので、都市開発シミュレーションゲームのシムシティーとシティーズ・スカイラインを取り上げます。

都市開発シミュレーションについて

 都市開発シミュレーションというジャンルのゲームは都市を発展させることが目的です。最初は何もない土地からスタートし、小さな町を都市まで発展させていきます。家、工業、商業等の民間領域だけでなく、警察、消防、病院等の公共サービス、更には発電所、空港、湾口、鉄道等のインフラまで様々なものを設置できます。民間の部分は都市計画を元に人口を増やす形で進め、公共サービスで赤字にならないように税収を適切に振り分けていきます。人口と税収は比例し、税収を多く得る為に人口を増やしていくという形で都市開発をするジャンルになります。近年、よく耳にする地方創生をシミュレーションとして利用できる点も魅力的です。

シムシティー

 都市開発シミュレーションというジャンルの元祖と言えば、シムシティーです。ジェイ・ライト・フォレスター教授が書いた「都市のダイナミクス」という本に書かれた理論を元に制作されたソフトになります。理論の簡単な説明として、事象の因果関係が時間軸が進むにつれて問題化の度合いが推移するというものです。都市開発には様々な要素が複雑に絡み合います。都市の税金徴収、公共サービスの提供、人口、産業等がありますが、わかりやすい例として消防予算を縮小した際に起きる因果関係を紹介します。消防予算を縮小すると火事が発生した際、広範囲に被害が拡大します。出火場所が産業区画であれば、工場は灰になり、雇用が失われ、人口が減り、税金徴収額が減り、消防を維持するコストが相対的に高くなり、再び消防予算を縮小する因果ループに突入します。ライト氏は警察を例に説明していますが、消防の例からわかるようにどの公共サービスの提供も人口や産業との因果関係が存在します。シムシティーでは、架空のキャラクターであるDr.ライトがその予兆を知らせる仕様がとられおり、対応しなければ、事態は悪化し、人口の減少につながります。
 シムシティーは四階層(layer)で構成されてて、階層①では都市のアニメーション変化、階層②では人口密度、交通状況、公害、地価、犯罪率等の情報、階層③では地形、階層④では人口増加率と警察・消防の影響力の範囲が確認できます。これら階層の影響が①から④に進んで、④から①に戻るまでに時間差があり、すぐに影響が現れないリアリズムが味わえます。そうした問題解決する知恵も要求されるシムシティーでの戦略性や方法論等シミュレーションゲームならではの体験ができます。

おすすめのシムシティはスーパーファミコン版シムシティーですが、入手や機材をそろえて遊ぶまでの過程が大変なので、シムシティーの代わりになるタイトルとしてシティーズ・スカイ・ラインを紹介します。

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スーパーファミコン版シムシティー

シティーズ・スカイライン

 シティーズ・スカイラインは基本的な仕組みはシムシティーと似てますが、2015年に発売されたこともあり、グラフィックの進化によるビジュアル面でより充実感が得られます。

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シティーズ・スカイラインのイメージ

PC版ですとたくさんのMODもあり、本当の街を作る疑似体験ができます。シムシティーとの違いとして、より詳細な街作りができます。シムシティーにない要素として資源の調達から豊富な発電所の種類に下水の処理等があります。主に直面する問題は下水処理の問題に加え、交通渋滞での苦戦です。街の人口、税収、予算等は統計グラフで確認ができ、並べて表示できるので、相関関係を確認できます。参考程度に、二つのグラフを用意しました。

税収と人口の図

人口と税収の相関関係

補足:人口と比例する形で税収も増えることが確認できます。2045年は電力供給網が途切れてることに気づくのが遅く、人口流出してしましました。

出生率と死亡率の図

出生率と死亡率の相関関係

補足:人口増加した際に交通渋滞が起きて、死亡率が跳ね上がった2061年。

地方創生シミュレーション

 先程、紹介したグラフからわかるように最初は何もない土地から人口を増やしていくことを目的としたシミュレーションですが、これは地方創生のシミュレーションとしても使えます。市町村の人口設定に合わせて、街を形成し、公共サービスの配置等も含めた再現をすることで現状の街を再現します。次に現状の街を発展させ策を試せるという訳です。観光をベースとしたインバウンド事業で税収増をシミュレーションしてみるのもよいですし、産業強化で人口増加を目指してもよいです。発展のさせ方は各々が試してみたいと思ったことがシミュレーションでできるということです。

注:シティーズ・スカイラインにて、私のやり方がよくないのかわかりませんが、インバウンド型観光事業で未だに観光インフラ分の税収を回収したことがなく、観光による地方創生以前に財政圧迫に毎回なります。

昨日、書いた記事の商業活動の維持人口のシミュレーションもできます。

シミュレーションゲームを通した教育方法

 モンテッソーリ教育と呼ばれる教育方法がありますが、これは暗記型の教育方法とは異なり、子供の知的好奇心の本能に訴えかける手法を取ります。モンテッソーリ教育は自発的に学び始める力をつけられるものになります。その過程で、「おもちゃ」が使われ、今回のシミュレーションゲームも広義でいうところの「おもちゃ」です。モンテッソーリ教育での「おもちゃ」は物事の抽象化に使われ、その因果関係も学んでいくスタイルはシミュレーションゲームのやり方に似てます。近年、マインクラフトという「おもちゃ」を通したプログラミング学習目的で使われた事例があるようにシティーズ・スカイラインは地理学や人口学の相関係数を都市開発を通して学べる可能性が秘められてますし、日本では地方創生を教育に取り込む際に使える良い「おもちゃ」になると思います。

補足:「おもちゃ」はツールや道具の意味で使われてます。

マインクラフトのようなプログラミングを学ぶソフトは以下のリンクから確認できます。

まとめ

 都市開発シミュレーションゲームというジャンルに少しでも興味を持ったら、試しにやってみることをおすすめします。シムシティーとシティーズ・スカイライン以外にもA列車で行こうシリーズ(難易度高め)やトロピコシリーズ(都市も開発するが政治体制維持するのが主目的)等もあるので、好みに合わせてソフトをお選びください。


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