大食いの《競技》としての魅力を描ききった快作『喰いしん坊!』
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掲載作品の中でも特におすすめの作品を紹介してまいります。今回は日本漫画家協会賞の優秀賞受賞作『喰いしん坊!』(著者:土山しげる)をご紹介します。
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本作は、『喧嘩ラーメン』『食キング』『極道めし』『大食い甲子園』など数多くのグルメ漫画を世に送り出した、土山しげるのフードファイト漫画。
バラエティ番組で実際の大食い対決を見たことのある人にとっては、この競技のおもしろさは説明不要だろう。一方「大食い・早食いなんてくだらない」と思う向きもあるかもしれないが、まあだまされたと思って読んでみてほしい。この『喰いしん坊!』こそ、大食いの《競技》としての魅力を描ききった快作なのだ。
主人公の大原満太郎は、食べることが好きな会社員。ある日、金に困って
「カツ丼5杯を15分で食べたら賞金5000円」にチャレンジする。失敗はしたが、満太郎の食べっぷりを見ていたフードファイター・ハンター錠二に資質を見こまれ、この世界に入ることになる。
ラーメン、豚マン、巻き寿司、ハンバーガー、おでん等々、様々なファイトが展開されるが、勝つためには料理の特性を見極めた上での作戦が必要になる。
たとえばハンター錠二が、熱々のラーメンをスムーズに食べるために考案した「二丁食い」は、両手で箸を持って食べる技。片手の箸で食べつつ、もう片方の箸で次の麺を持ち上げて冷ませば、途切れなく口に運べるというわけ。
ハンター錠二はウエスタンファッションにサングラスといささか暑苦しい見た目ながら、知的でクールなカッコいい兄貴。アスリートとしての意識が高く、「苦しくなっても顔に出さない」「厳しくなってきたら急がなくてもいいが、ともかく手を止めずに淡々と口に運ぶ」などの教えは、大食い以外でも参考になりそう⁉︎
次々に常識では考えられない大食いメニューが飛び出し、画面を見ただけでお腹いっぱいになりそうだが、心配ご無用。グルメ漫画の第一人者の描く食べ物は思わずヨダレが出そうだし、また満太郎が実においしそうに食べること。
もともとグルメなだけあって、満太郎は勝負の場でも「おいしく食べる」ことを大切にしているのだ。箸の運びも美しく、胸のすく食べっぷりに思わず見惚れてしまう。
さて、「大食いのスポーツ化」を唱えるハンター錠二、その弟子である満太郎に対し、真っ向からケンカをふっかけてくるのが「大阪食い倒れフードファイター(OKFF)」に所属する団体の面々だ。「食べ物に対する尊敬はなく、とにかく見世物として儲かればいい」という考えのもとに集められたフードファイターたちが満太郎の前に立ちはだかる!
ここではネタバレを避けるが、OKFFのライバルたちが繰り出すあの手この手の持ち技がなんともすごい。ルールには違反していないが、悪役極まれりの《邪道》な技で魅せるのなんの……。いやぁ、スポーツマンシップって大事だなあと思い至ったりして。
すべてのスポーツはシンプルな「遊び」から始まった。
速く走る、重い物を持ち上げる、高く跳ぶ、遠くに投げる。こんな「力比べ」が本格化するにつれてルールが整えられ、競技になったわけだ。
素質があるだけでは勝ち抜けない。努力と工夫で己の技能を磨き、コンディションを整え、試合では体とメンタルをコントロールする術を身につけ……といった要素はすべて『喰いしん坊!』に盛りこまれている。
100年後のオリンピックには、もしかしたらフードファイトが採用されていたりして⁉︎
書き手:粟生こずえ
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