フランス男が花を贈る理由


フランスのお花屋さんの前を通ると、男性が花を選んでいる様子がよく見られます。

頭の禿げかけた冴えないっぽいおじさんも、一生懸命、アレとコレとソレなどと花を選びながら、お店の人と一緒に花束作りに参加している様子は、微笑ましい限りです。

特に 私が好きなのは、バレンタインデーのお花屋さんです。

老いも若きもフランス人男性が、お花屋さんで列を作って、この大事な日に奥さんや彼女の喜ぶ顔を想像しながらお花を買っている姿は、それがたとえ私のためのものでなくても、なんだかちょっぴり気恥ずかしいような気持ちになってしまうほどです。

特にすごく素敵な男性が、大きな花束を抱えて、ちょっと照れた感じで歩いている様子は、もう映画のワンシーンみたいで、その彼からお花をもらう瞬間を想像して、勝手にドキドキ妄想に浸ってしまいます。


夫と付き合っていた頃、よく大きな花束を抱えて会いに来てくれました。

彼が背が高いので、いつも花束の大きさが目立たないのですが、いざ自分で抱えてみるとあまりの重さにびっくりしたこともあります。

結婚してからも、誕生日や記念日以外のなんでもない日に、突然、大きな花束を抱えて帰ってくることがあって、嬉しい気持ちの反面、

コレいくらくらいしたんだろう。。。

と「もったいないオバケ」が出現して
素直に喜べなくて、薔薇だったら、綺麗にラッピングされたものを1輪だけ贈られると、すごく嬉しいとか、薔薇より長持ちするマーガレットやガーベラが欲しいなと、やんわりと無駄遣いしないように釘を刺すのですが、それでもしばらくしたら、忘れるのか、また大きな花束を持って帰ってくるのです。


こちらの記事で少し触れましたが、フランス男は、なぜ妻や彼女に花を贈るのかという私の質問に、夫が爆弾発言で答えてくれました。

普通に聞いても、はぐらかして答えてくれないと思ったので、フランス人男性の女性に対する心理を分析して記事にしたいから、インタビューに答えてってお願いしてみたら、調子に乗って本音がポロリと出てしまったようです。


僕の場合に限ってのことだから、他の人はどうなのか知らないけれど、誕生日やバレンタインや二人の記念日以外で花を贈るのは、喧嘩した後だけかな。


えええ〜〜。

そ、そうだったんですか〜!?!?


お誕生日でも記念日でもないのに、突然、花束を抱えて帰ってくることがあったのは、その前に喧嘩してたんですねー、私たち。

というのは、私は非常に忘れっぽくて、喧嘩をしている最中は、絶対もう離婚じゃ離婚!と怒り狂っているのですが、しばらく経つと喧嘩の理由も全く思い出せないくらいすっかり忘れてしまうのです。

だいたい長くても1時間くらいしか怒りが続かないので、翌日にはもうすっかり機嫌が直っていて、1週間後とかになると喧嘩した事実すらなかったことになっています。

一方、夫は、もう何年も前の化石化した出来事まで覚えていて、あのとき私がこう言ったとか、ああ言ったとかの売り言葉に買い言葉的な発言を、後生大事に恨みとして抱えている女々しい繊細なタイプなんです。

そんな性格なので、夫は、喧嘩する度に、かなり落ち込んで悩みに悩みまくって、自分の中でそれなりの決着をつけて、お互い、育った環境も文化も考え方も違うけれど、そういった全ての問題をこれからも乗り越えていこうと決意して、その気持ちを伝えるために花束を買って帰ってきてたそうなのです。


いやあ。

花束の数だけそんな苦しみと決意があったとは。。。

そんなの全然知りませんでしたわ。


昔からの私のブログを読んでくださってる方は、よくご存知だと思うのですが、夫から花束をもらうたびに、なんかわからないけれど、グランヌヌスが花束をくれました。ウキウキ♡みたいな感じで花束の写真をブログに載せたりしてた私は、本当に毎回、喧嘩のことは忘れていたのです。

もちろん今でも思い出せません。


あと、フランス人男性が、女性に花を贈ることに慣れている理由は、これまた夫の場合なので全部のフランス人に当てはまるとは限りませんが、小さいときから日常的に、お父さんがお母さんにお花を贈っている様子を見ていたからだそうです。

彼の記憶では、誕生日や記念日、バレンタインデー以外に、だいたい月に1回くらいは、お父さんが花束を抱えて帰ってきてたそうです。

ちなみに、その前に喧嘩してたのかどうかは知らないそうです。




元記事:フランス男が花を贈る理由(ミカリュス・ブルガリスのフランス語恋愛絵日記)

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