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【海外出産奮闘記#9】えっ…ナースの前でおしっこ!? 「アメリカ出産・カルチャーショック」前編


大学卒業後、まともに就職活動もせず、ふと見つけた広告に応募し採用され、現代美術ギャラリーで楽しく働く私に向かって、ある日母はこう言放ちました。「あんたはきっと“いきおくれ”て、30過ぎで猫と一緒に1人暮らしするんでしょうね」と……。
しかし、人生には時に天変地異の如き出来事が降り掛かります。25歳で出会った彼と、次の日からおつきあいをスタート。半年後に妊娠、入籍する事に!
ドタバタの海外出産後、酷寒の地ボストンでの生活から、夫の就職を機に新天地カリフォルニアに住居を移した私たち一家、その後まさかの年子妊娠! ドタバタの2人目出産後、後陣痛と恥骨痛に苛まれた前回。

今回は、「アメリカ出産・カルチャーショック」前編をお届けします。

■「ママよ、恥を捨てるべし。」カルチャーショックだらけのアメリカ病院事情

さて、当たり前ですが異国での出産は初めての経験ばかり、かつ驚く事ばかりです。今回は、当時カルチャーショックを受けたいくつかのことについてご紹介します。

(1)産後の移動は、歩いちゃダメ!

産婦は産後、部屋から部屋への移動は車椅子で行われます。それを押してくれるナースも、まるで車椅子の付属品のように一緒に現れます。

一見、妊・産婦に優しい感じがしますが、逆に言うとつまり、“好きなときに移動出来ない”ということなのです。

出産後は入院用の部屋に移動するのですが、このときも車椅子を随分待って待って待って待ちました。その間バケット2、3片しか食べていなかった私は、「まだか、まだなのか!」と夫に苛立をぶつける、厄介なクープと化していました。

(2)産後、ナースの前でおしっこをしてみせなければならない

とにかく不愉快だった点滴の針(こう書いてみると、病院はほんとに私にとって不愉快なことを強いられていました)。

「早く外して欲しい」と主張する私に、「まだまだ、やることがあるから」と先延ばしにされたあげく、さて、いざ! という段になって「外す前に、トイレ行って」と言われました。

なんと点滴の針を外すために、“ナースの目の前でおしっこをしなければならない”というルールがあったのです。

人によっては、おしっこがうまく出なかったり、痛みで倒れたりすることもあるので、ナースがすぐ側で待機する必要があるのだとか。ちなみにボストンで長女を出産したときも、全く同じことを強いられました。

その時初産だった私は、「そんな、他人の目の前でおしっこするなんて」と戸惑い、恥じらい、ためらい、苦悩したものです。少女のように初々しく「そんなこと出来ないよ……」と立ち尽くしました。

今回は2度目ということもあり、さっさと済ませて針を外してもらいましたけどね。トイレの個室に、他人であるナースと2人きりでも平気になるなんて。人はどんな状況下においても、逞しくなれる……。

そんな自分の可能性を感じられた出来事でした。

(3)セキュリティが厳しい

赤ちゃんの足と、母親である私の腕に、ハサミでなければ切り取れない輪っかのIDをつけられます。例えばナーサリー(新生児室)に赤ちゃんを預けているときは、これを照合してから赤ちゃんをもらいうけます。

ちなみに私が入院した病院では、夜は赤ちゃんを預かってくれました。私は「ミルクではなく母乳をあげたいので、お腹が空いたようだったら連れてきて欲しい」と頼んで、連れてきてもらいました。

逆に「ミルクを飲ませて、一晩寝かせて欲しい」でもOKのようです。

手では絶対にちぎれないIDの足輪

赤ちゃんは普段、コットと呼ばれる、キャスター付きの小さなベッドにいます。そして部屋にはトイレ付きバスルームが付属していますが、ナースからは「トイレに行くときも必ず赤ちゃんを一緒に連れて入るように」と注意されました。

子どもの誘拐事件が多いアメリカならではの厳重管理だなあと関心したものです。

もちろん、産科病棟のゲートでも必ずIDチェックを受けます。

ナーサリーにて。コットの中で寝ている次女

★今回の教訓★
(1)産婦は好きなときに移動出来ない…
(2)点滴の針を外すために、恥を捨てるべし
(3)誘拐事件が多いアメリカは赤ちゃんを厳重管理

次回は「アメリカ出産・カルチャーショック」後編をお送りします!



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