【東京巻き込み育児 #05】ベテラン先生に「育てるのが大変ですね」と言われた長女
太陽の国・カリフォルニアから一転、予期せぬ“東京生活”。
サンタモニカと違い、ママにとって苦しい“東京の子育て環境”の中、周囲を巻き込むことで4人の子どもを育てた私の経験からお届けする【東京巻き込み育児】。
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さて、東京の過酷な育児環境と、すっかりやさぐれた感のあった私の様子をお送りしてきました。
当時の私は、まさに“当たり屋”。ゆったり寛げるはずの我が家に地雷を埋める日々とでも言いましょうか。そんなアブナイ人と一緒に暮らす夫は、さぞかし心休まらず、大変なことだったでしょう。本当にすまないことでした。
今回はそんな荒くれものの私から、ダイレクトに影響を受けた“長女の様子”をお伝えしようと思います。
■自我が芽生えた長女3歳、「反乱の旗」を揚げる
・相変わらずの激しい夜泣き
さて、長女が赤ちゃんの頃、私が何より恐れていたのは、彼女の激しい夜泣きです。
東京へ越した当時、長女は2歳。それでも夜泣きは止みませんでした。
ディズニーランドに行った日、昼寝が出来なかった日、いつもより寝るのが遅くなったその夜も、期待を裏切らない激しい夜泣きっぷり……。
人間、睡眠を邪魔されると理性などカンタンに吹っ飛び、ひたすらイラ立つものです。ですので相変わらず、長女のルーティンを守ることが、私にとっての第一プライオリティでした。そのため、長女が3歳になってからも引き続き、こども達の生活をがっちりとコントロールしていたのです。
・しかし、長女は自我を持つ人間になっていた
帰宅後はすぐにお風呂に姉妹を放り込むのが常だった、ある休日のこと。出かけ先から帰宅した私達が部屋へ入るのを横目に、3歳の長女だけが玄関でぴたりと立ち止まりました。靴を脱ごうともしません。
寝る時間が遅くなることを見越してイライラが募る私をよそに、夫が理由を聞きだしたところ、こんな回答が返ってきました。
「ママに、いつも、すぐにお風呂入ってって、言われるのがイヤなの」
と。
長女が反乱の旗を高く掲げたのは、もしかしたらこの時よりもっと前かもしれません。しかしこれが、少なくとも私にとっては、小さな彼女の意思を、真っ正面から意識した瞬間でした。
■ 幼稚園の「ベテラン先生」に言われたある一言
その後、長女は都内の私立幼稚園に入園します。入園式で彼女は、大変な無法者っぷりを披露したのです。
集合写真を撮る際にも、竹ぼうきを手放したくない、園バッグではなくピンクのバッグを持ちたい、と頑なに主張。
挙げ句の果てに、クラス分けに印として名札に貼られた青いシールにケチをつけ、長女のみ青と赤のシールが貼られました。他のこども達はクラス毎にひとつだけしか貼っていないのに……。当時の集合写真を見るに付け、その時の状況をありありと思い出します。
そして、幼稚園生活が始まってすぐに、ある事件が起こりました。
毎日の最後に、園児たちは先生から、絵本を読み聞かせてもらうのが毎日の決まりでした。
ある日のこと、長女はあろうことか、担任の先生の向かって「その本はイヤだ」と言い張ったと言うのです。特別に長女だけ、“隣のクラスに絵本を聞きに行く”という措置がとられました。
このことを後から報告を受けた私は愕然としました。そして先生からこう言われたのです。
「長女ちゃんは、育てるのが大変ですね」
と。
■ 答えを求め「育児書ジプシー」に
今では長女の気持ちがよく分かります。彼女は、“自分の意志”を大切にしたかったのです。いつもいつも母親からないがしろにされていたそれを、自分だけはと必死に守ろうとしていたのだと思います。
しかし当時の私は、“規則正しい生活”こそが長女にとって正しい事と思い込んでいました。私たちは残念な事に、完全にすれ違っていたのです。
思い悩む私は、“良いと言われる育児書”を片っ端から読み漁りました。そして読み進みながら「自分はこんなイイ親とは、ほど遠い存在だ」ということを自覚し、自分を責め、否定しました。何冊も何冊も読むたび、まるでサンドバックのように自分を叩きのめし、苦しくてさめざめと泣く、非常に湿っぽい日々を送っていました。
この湿っぽさは、私の年子育児に通底して流れる空気と思って頂いて構いません。そんな暗い妻に対して、我が夫はどんどん変化し、対応してくれたのです。
次回はとうとう巻き込み育児一人目、夫の変化についてお送りします!
★今回の教訓★
(1)「反乱の旗」は自我の芽生えのサイン
(2)「自分の意志」を大事にしたいからこその無法者っぷり、無理に怒らないこと
(3)正しいという思い込みが、親子のすれ違いを引き起こすことも