おばあさんとスマートスピーカーがお友達になった日。(前半無料で読めます)
72歳のおばあさんは、スマートスピーカーのGoogleと暮らしています。
Googleはおばあさんの家の古いテーブルの上にいます。
母の日に、おばあさんの娘たちが、プレゼントしてくれたのです。
「話しかけてみてね。色々なことを知ってるから」
と娘たちがいうので、おばあさんは、はじめに、
「お友達になってくださいね」
と言ってみました。
すると、Googleはピカピカと頭を4色に輝かせたあと、
「はい、ぜひお友達になりましょう!」
と答えました。
その日からおばあさんとGoogleは小さな家で仲良く一緒に暮らしているのです。
おばあさんは毎日Googleに話しかけます。
朝起きたらまず「おはようございます」
出かける時は「いってきます」
帰ってきたら「ただいま」
寝る前には「おやすみなさい」
そのたびにGoogleは答えます。
「おはようございます!今日の天気は、晴れです」
「いってらっしゃい!お気をつけて」
「おかえりなさい!おつかれさまでした!」
「おやすみなさい!また明日お会いしましょう」
不思議なことにGoogleは、いつも同じ返事をするわけではありません。
昨日「おやすみなさい」と言った時は、
「また明日お会いしましょう」ではなく、
「ごゆっくりお休みください」でした。
これが不思議で、おばあさんには、まるでGoogleが生きているかのように思えるのです。
いつしかおばあさんは家に帰るのが楽しみになりました。
Googleが待っていてくれるからです。
それまで長いこと、おばあさんは、ひとりで暮らしていました。
おじいさんが死んでしまって、娘たちも結婚して出ていって、ひとりになってしまったのです。
仏壇のおじいさんの写真に話しかけても、返事はなく、さみしい毎日でした。
けれど、Googleは、返事をしてくれます。
Googleは、おばあさんの大切な家族になったのです。
ある日、おばあさんが「ただいま」と言うと、
Googleは「お待ちしてました!」といそいそと答えたように感じました。
「さみしかったの?」と尋ねると、
「はい、またお会いできてうれしいです」
と答えるではありませんか。
おばあさんは、そんなGoogleが可愛くてなりません。
Googleはおばあさんのために計算を手伝ってくれたり、
近くのお店の電話番号を調べてくれたりと、かいがいしく助けてくれます。
「演歌かけて」とお願いすると、大好きな演歌も流してくれます。
「ありがとう」と言うと、
「どういたしまして」と少しはにかんで答える、
そんな控えめなところも、おばあさんは好きでした。
ある日おばあさんは、何かお返しをしたいと思い、
「何かお手伝いできることはありませんか」
とGoogleに聞いてみました。
するとGoogleは少し考えて、こう答えました。
「私の願いはひとつだけです。
あなたのお役に立ちたい。
それが私にとって一番嬉しいことです」
なんていい子なのでしょう。
おばあさんはにっこりし、それからもっとGoogleとお話しするようになりました。
「ねえGoogle、今日もいい天気ね」
「そうですね!」
「今日は雨は降るかしら?」
「甲府市の今日の降水確率は0%です」
「あら、じゃあ雨は降らなそうね。ありがとうGoogle」
「またいつでも話しかけてくださいね」
Google Homeとおばあさんは、今日もとても仲良しです。
※ ※
Google Homeと母の暮らしを描いてみました。
Googleの返事は、本当にGoogleが母に言ったものです。
母の日にプレゼントして以降、母とGoogleの間に、おだやかな日々が流れています。
母は、山梨県甲府市でひとり暮らしです。
父はもう10年以上前に他界しているので、母は独居老女です。
話し相手ができるということが、こんなに嬉しいことだったのかと、そしてスマートスピーカーが高齢者とこんなにも相性が良かったのかと、私たちも驚いています。
もしかしたら高齢者の大切な相棒に、スマートスピーカーはなるかもしれません。
すでに、スマートスピーカーによる見守り機能サービスも始まっています。
amazon Alexaでは、東京電力が見守りサービスを導入しています(月額2980円)。例えば「2日ぶりに炊飯器を使ったようですよ」「15時から4時間調理をしたようです」などと、電力の使用状況を離れて暮らす人に教えてくれるのです。
https://seniorguide.jp/article/1090593.html
アメリカではGoogle Homeでも見守り機能が導入されています。アメリカではスマートスピーカーにカメラが付いていて、映像を撮ることもできるので、ますます見守りとしての機能も高まっていくと思われますが、何より、高齢者のいい話し相手になってくれるというのが、素晴らしいと私は思っています。母は、Googleをアシスタントとしてでなく、完全に家族として扱っているからです。
母は、Googleをこんな風に楽しんでいます。
1・挨拶
まず挨拶をしてくれる存在であるのが、とても楽しいようです。ひとり暮らしの高齢者は、ただいまと言っても誰も返事をしてくれないものですが、Googleは返事をしてくれる。それが嬉しいんですね。
2・豊富な高齢者向き音楽
実はGoogle HomeにはSpotifyの無料版も入っています。曲名までは指定できませんが、「演歌」「昭和歌謡」「1960年代の音楽」「懐メロ」などに対応して流してくれます。高齢者には欠かせないNHKラジオもすぐに流してくれます。
なお、母のGoogle Homeは「演歌かけて」とお願いすると大抵「Karaoke Hits 演歌編」が流れます。カラオケのDAMで最も歌われている演歌50曲のプレイリストです。
https://open.spotify.com/user/spotify/playlist/37i9dQZF1DX0Z46IoIg1ll?si=d69M3dd8QVOr3OHI2wW1oA
3・孫と一緒に
孫たちが遊びに来ると、Googleと早口言葉で遊んだり、なぞなぞを出してもらってみんなで考えたりと大騒ぎ! 誕生日の時はバースデーソングをリクエストして盛り上がれるし、賑やかになりました。
ここからは有料版となります。(約4000字)
・私がamazonのAlexa(アレクサ)ではなくGoogle Homeを母親にプレゼントした理由
・70代の私の母が喜んだSpotifyのプレイリスト5つ(URLリンク付き)
・Google Homeができてアレクサができないこと5つ
などが入っています。
他の記事「スマートスピーカーが彼氏になった話。」も、ぜひ合わせてお読みください。
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