世界は無料の本にあふれてる、ということに、給料日前の男が気づいた話。
何か、読みたい……。
寝る前に、男はそう考えた。
時々、こんな夜がある。
仕事でめいっぱい頭を使った日には、夜に何か、軽いものを読みたくなる。
脳をゆるめたいのだろう。
そんな時は、最寄りのコンビニで漫画雑誌かコミックを買って帰る。
寝る前の小一時間、ベッドの中でのんびりとそれらを読むのが、
ささやかな楽しみだった。
けれど、今夜、コンビニの前で財布の残金を見て、男は思いとどまった。
給料が振り込まれるまで、あと数日、
この額で生きていかなくてはならない。
残念ながら、