瀬戸内芸術の旅【中編】直島・地中美術館
へーい。
岡山駅前で一泊した後、私はいそいそと支度をして、次なる目的地に向かった。
そういえば、この旅で私はホテルの写真を撮るのを完全に忘れていた。胸がいっぱいになっていた模様。
1日目宿泊したのは、前回の写真でチラッと写っていたビックカメラと同じ建物にある「ダイワロイネットホテル岡山駅前【公式】JR岡山駅後楽園口(東口)より徒歩1分 (daiwaroynet.jp)」です。
直島へ向かう
岡山駅から電車に揺られ、宇野駅に到着。岡山駅周辺は都会で高い建物も多かったが、やがて田園風景の広がるのどかなところが増えてきた。そして、うつらうつらしていると、気づいたら宇野駅に到着していた。
それにしてもこの駅舎、ただの駅舎じゃない。芸術を感じる。むむーう。
フェリー乗り場を探す…まもなく、でかでかと看板が出ていたので助かった。正面の建物に危うく行ってしまいそうだった。
直島は「瀬戸内国際芸術祭」の中でもメインとなるところなので、特に有名ではないか。先輩からも、「直島は行っておいたほうがいい」と強く勧められていた。
そして、ベネッセの文字があるように、ベネッセコーポレーションがかなり資金投入しているらしく、あちこちにその名をとどめている。なにせベネッセコーポレーション(旧福武書店)は、岡山が本社なので…素晴らしい社会貢献だと思う。
フェリー乗り場の待合室。ちょっと寒かったので、ここで座って待つ…はずだったが…。
じっとしていられない私は、人がまだ来ていないのをいいことに、券売機のあるフロアを撮影した。遠くに見えているのが、実は直島である。
ここがフェリー乗り場。そう、港です。駅と違って、ホームが要らないので、それほど建物は大きくなくていいわけです。
遠くにもフェリーが見えているが、あれは小豆島行きらしい。ここ宇野港からは、瀬戸内海の島々や高松にも船が出ており、交通至便である。
おや、フェリーがやって来た。
一番乗りに近い状態だったので、人が乗って来る前に慌てて撮影した。船内にも絵画が飾られており、まさにこれから芸術の島に行くぞーという気分を高めさせてくれる。
ちなみにこの左端の少年の絵は「藤井くん」と書いてあったんだけど、将棋のあの…? と思わず反応したが、絶対違うと思う。いや、なんとなく似て…る気がしませんか? いや、違う…か。
フェリーでは先頭に乗ったので、心置きなく前方の写真を撮れた。正面の直島に向かって、さあ、行くぞー!
直島の宮ノ浦港に到着。遠くに草間彌生作「赤いカボチャ」が見えているが…ここは最後。とりあえず地中美術館が最初の目的地。
地中美
地中美術館へ
さて、フェリーから下船して、どうするかだが、距離感が分からなかったのでとりあえずバスに乗って移動することにした。
なにせ、今回は普通の旅行気分で来ているため、荷物が滅茶苦茶重たいので長距離歩くのは厳しい。
バス乗り場は一瞬で分かった。人がてんこもりだ。シャトルバスも、乗り切れなければ次のバスに乗る、というほどで、満員ギュウギュウだ。島民の方も使っているらしいので、なんだか申し訳ない気分だ。
それにしても、一応感染症落ち着いているとはいえ、まだ警戒したほうがいいのに、この密状態はどうなんだろう。
1台目のバスには乗れなかったので、2台目のバスに乗る。それでもギュウギュウ。密です!
地中美術館に行くには、途中で別のシャトルバスに乗り換える。が、乗らない人もいた。どうやら散策しながら向かう人らしい。入るまでに時間に余裕があるのだと、そういう手法をとってもいいかもしれない。
地中美術館以外にもいくつも美術館があるので、途中で降りていった人もいた。
地中美術館や、3日目に行く豊島(てしま)美術館は、前日までの予約制となっている。その理由は行ってみると分かった。確かにここは大人数で押し掛けるのではなく、少人数でゆったりと堪能するところだと。前日までの予約ではあるが、行きたい時間があるなら、早めに予約をしましょう。
さて、地中美術館の入口に着いた。ここまで来ても、美術館の建物が全く見えない。どうなってるの?
そして長いスロープがあった。これもまたアートなのだと思うことにした。
なんと、ここが地中美術館の入口だという。
えっ、と驚いた。豪邸の勝手口かと…ごにょごにょ。ごにょごにょしていると、外国人観光客たちがワーワー言いながら出てきたので、間違いない。
(まだオ○クロン株が周知される前なので、外国人の方がいても不思議じゃないです。留学生だったのかも…?)
吸い込まれそうな入口だ。ずんずん歩いて行く。
これもアートだろうか。わざとそういう仕掛けにしているとしか思えない。光に向かって歩いて行く、それがなんだか幻想的だった。早速魔術にかかっているらしい。
さて、ここから先は例によって写真撮影禁止エリアなので、写真はありません。ごめんなさい。(女子大生らしき集団がキャッキャしながらスマホで撮っていたけど、SNSにアップしちゃダメですよ!)
地中美術館に絵画は少なく(ないわけじゃない)、その建物ごと楽しむ(設計は安藤忠雄氏)というものだと思う。まるで遺跡の中を歩いているような不思議な空間。絵画も大きな壁にどん、と飾られていたり、不思議な空間に行ったりと…
はい、文章で書くならこのようなところでしょうか。一度行ってご自身の目で確かめていただきたいものです。
歩いて直島を楽しむ
地中美術館を出てからは、島内バスとシャトルバスの乗り換え地点まで歩きながら戻ることにした。
やはり、直島をじっくり楽しむには、歩きや自転車が良いと思う。今回の旅でも十分、とは言えないので機会があったら、別のエリアにも行ってみたいものです。
てくてく歩いていると、地中美術館に歩いて向かっている人たちとたくさんすれ違った。地中美術館に向かう場合、長い間登りが続くので、歩きなれていない人にはとても大変だと思う。
なお、私は悠々下っている。えっへん。
李禹煥美術館
不意にスタイリッシュな看板が現れた! 気になって近づくと、「李禹煥(リー・ウーファン)美術館」とのこと。
予約していないので入れないが、ちょっと寄り道して近づいてみる。
またも安藤忠雄建築(っぽいですね)の李禹煥美術館。(というか、この写真だけ見て美術館と一目で分かる人は珍しいと思う)そして、手前の長細いものが、頑張ったけど画面に入らなかった。とてつもなく長く高いんだけど、これはなんだろう??
李禹煥美術館の前には、この…なんじゃこの広場は! アーチ形のアートがある、そして石? ストーンヘンジのミニチュア版? 広さを十分に活かしたアートだ、これ…!
近づいてみると、アーチが虹に見え、滑走路があるように見えた…のです、私には。制作者の意図は何か分からないけど、私はこの作品を見て「いいものを見た」と思っていた。
さて、アート作品を堪能したので、元の道に戻って歩く。この木々の向こうには瀬戸内海が広がっている。
木々が開けて、あまり手入れのされていない原風景とでもいうか、ああ、これが本来の姿なんだなあ。
四国方面が見えている。瀬戸内海は海が穏やかだという。本当、心まで穏やかになる。
ちなみに、歩いてきた道はこんな感じ。新鮮だ、すごく新鮮だ。
ベネッセハウスミュージアム
歩いて行くと、建物が見えた。
あれは…ベネッセハウスミュージアムだ。
ベネッセハウスミュージアムに着く前に、またもスタイリッシュな看板があった。なんだと、文化大混浴?? 意味が分からん。
坂を下りていくと、ストーンヘンジ(直島ver)があった。
瀬戸内海に面していて、なんだかこれもスタイリッシュに見える。感じる。
これがどうやら混浴…らしい。蓋が占められているが、おそらくお風呂だろう。私には足湯に見える…が、蓋がされていて正体不明のまま。(ホームページに記載あります)
ということは、ストーンヘンジらしきものは、人を表している…のか? 解釈が合っているかどうかは分からない。
写真家気どりの私は、海岸で戯れている女性二人を撮った。
なかなかよい写真だと思う。遠くの島もいい感じ。(自画自賛)
ベネッセハウスの入口にやってきた。
海に面しているやん、というツッコミについては、入口からの写真撮影を試みたが、ちょっと長い時間立ち話をしている人がいたので、やむを得ず逆から撮ってみた、というもの。
つまり、この写真は出口から見た風景なのだが…、うん、悪くない。逆光だけど。
緩やかな坂を登った先にあるのが、ベネッセハウスミュージアム。私には豪華な邸宅にしか見えない。
ベネッセハウスミュージアムは、ほとんどが写真撮影OK(になったらしい)なので、出来る限り撮影。ここも絵画の展示は少なく、アート作品の展示が多くある。
ミニマリストが大喜びしそうなくらい、広い中にほとんど何もない状態。すっきりしていて気持ちいい空間だ。そうか、全体をアートと感じればよいのではないか。
入口は実は2階部分だったので、1階に降りていく。
1階に降りてきた。この広い空間を贅沢に使ってアート作品を展示しているので、贅沢なひとときを味わえる。
ミニマリストになった気分だ。私も物はできるだけ減らしたほうが落ち着くと日ごろから感じているので、落ち着く。
これはメッセージアート。一つ一つに「○○and△△」と書かれていて、ランダムに文字が点灯される。詳しい解説は、おそらく「敢えて」書かれておらず、見る者の解釈に委ねられているんだと思うが…
すみません、えーと…分からなかったです。
ミュージアムの庭園のようなところがあったので出てみると、なんだか別荘に見える。なお、写真下の方に人が映っているが、ここで軽食を摂ることができる。
で、私も食べることにした。美味しそう! 全く加工していない写真でも美味しそうに見えるということは、やっぱり美味しいのです(謎の日本語)
なんだか瀬戸内海とともに撮りたくなった。水も入ってしまったけど、なぜかオシャレに見える不思議。奥の人の入り込みすらアートに見えてきた。
ランチを食べたので、ベネッセハウスを出ることにした。
さて、ここからゆるゆると港行きの島内バス停まで戻ることにした。
路傍のアートたち
直島を歩いていると、突然アートに出くわす。なので道から外れて、海側にスススッと歩を寄せてしまう。そしてカメラを向けたくなる。となれば、撮る方もそれなりにアートを良く見えるようにしようという気持ちになる。
偶然にも島が見えたので、島とともに撮影してみた。気分はアマチュア写真家だ。(デジカメです)
船着き場が見えたので寄ってみると、四国が見えた。あのニョキッとした建物が見えるということは間違いない、高松市街だ。確か高松からも直島への航路はあるはずだけど、思ったより四国って近いんだなあ!
さっきの白いアートのところから戻ろうとすると、突然ウォルター・デ・マリアという作品に遭遇。なお、この作品は「地中美術館」の中にもあった。奥の金色の三本の棒状のものは、どうやら金箔が貼られているらしい(地中美術館における解説より)。私は恐ろしくて近づけなかった…。
道に戻ろうとしているところで、アートが。
私はなぜかこれが、いつも食べているチョコレート(「カレ・ド・ショコラ」カカオ70%)に見えてしまった。もし私に命名権があるのなら、「チョコレート70」と名付けたい。
「あ、どんぶり」と思ってノロノロと歩いてきてしまったが、違う。絶対、違う。さっき食べたばかりなのに、これを見て親子丼を食べたくなってしまった。いいなあ、瀬戸内海を見ながら親子丼って絶対美味しい。
ベネッセハウス
突如現れた、またも別荘に見える建物。だが、違う。これはベネッセハウス(宿泊地)なのだ。
元来た道を振り返って撮影。
うーん、海に面していてすごくいいところだ。低層で、客室もそう多くなさそうなのでゆっくりできそう。南向きで陽あたりも抜群! こういうところに籠って小説を書く、絵画を制作する…もいいだろうな。(私はどちらもセンスがございませぬが)
泊まれるものなら、泊まってみたい。あああ~
アートが点在している。建物はさきほどのベネッセハウス関連施設らしい。別荘感覚で使用できそうだな、このホテル…。
らくだ、ネコ。このアートは分かりやすい。
でも、この色使いや形は凡人には思い浮かばない。やはり天才のなせる業だと思う。
島内バス始発(兼終着)バス停に到着。さきほどは乗換のためスルーしてしまったが、このような「おやじの海発祥の地直島」の碑があった。おやじの海って…さっきまでオシャレなアート作品ばかり見てきたのに、急に日本男児らしさが出てきて、おかしくて笑ってしまった。
鳥居が埋もれかかっているのですら、アートに見えてしまった。なぜこうなったんだろう? 地形の変化…?
時間を持て余したので、バス停近くをウロウロすることにした。
「つつじ荘」とあるが、特段何もないのであしからず。碑だけ、と思ってよいかと。
そうか、崇徳院といえば父の鳥羽上皇にその出生時から疎まれ、権力争いの果てに不遇の生涯を終えた方で、最終的には讃岐(香川県)に流されたんだった。直島にも一旦立ち寄られたというのは初めて知った。
さて、ここから島内バスに乗って港に戻ります。
(結構疲れていたらしく、爆睡)
直島港にて
直島といえば、やっぱりコレ!でしょう!
これを撮らなきゃ意味がない、ということで、さっきまで爆睡していたくせにバスを降りると舟券を買う前にこのカボチャに突撃した。子供たちがキャッキャと遊んでいたので、裏に回った隙に急いでシャッターを切った。よっしゃー! このシャキシャキした動きは一体どこから出てきたパワーなんだろう。
お腹が減ってきたので、帰りの乗船券を買ってからソフトクリームを食べた。美味しい。
外国人観光客が、生まれて初めて?の食券にあたふたしていた。なんとか英語表示に切り替えて購入できたようだが、そうか、食券は日本の文化なんだな~とソフトクリームを食べながら思った。
さて、これから宇野港に帰る。お疲れ様でした! 直島はのんびりゆっくり見たいなあ。存分に楽しんだつもりだけど、結構見落としも多かったし、今度はご飯も味わいたいところ。
明日は豊島(てしま)に向かいます。
(天候が悪かったのと、あまり写真は多くないので期待せずお待ちください)