瀬戸内芸術の旅【後編】豊島・豊島美術館
まず最初に…
誰ですか、「とよしま美術館」と読んだ人は。先生、怒らないので手を挙げなさい。(みっちぇる「ハーイ!」)
そんなわけで、実はこの島、「てしま」と読みます。将棋ファンの私は「あの藤井竜王とタイトル戦で激闘を繰り広げた豊島(とよしま)九段(執筆時点)」を連想してしまったが、全く関係なかった。
早い時間帯に予約していたので、早い時間帯の高速船に乗ることになった。
乗り場が昨日のフェリー乗り場と違っていたのでビックリ。いつまで経っても窓口が開かないので、アワアワしていたが、職員の人がフラフラと出てきたところを捕まえて聞いてよかった。
この日天候は雨。よりによって偶然にも雨である。でも、実は豊島美術館の場合は「雨だとより一層楽しめる」ということなので、結果オーライ、というより良かったなあと思う。
ただ心配だったのが、雨なので揺れないか心配だったが、それほど揺れなかった。沖縄の八重山諸島旅行のとき、めちゃくちゃ揺れた経験から、つい心配してしまった。
豊島到着
しばらく海沿いを歩く。美術館へはバスに乗っていくこともできるが、景色を存分に楽しみたかったので、歩くことにした。雨降ってるけど。
なお、道路に白いもやが出ているが、これは地元の方たちが何かを燃やしておられたので、霧やもやなどではない。
雨だけど、こんなに海が広く見えるのはとてもいい景色だなあと思った。海沿いって何かあったときに危ないとよく言われるが、瀬戸内海なら海の見えるところに住んでみたい。
さて、海沿いを歩いていると豊島美術館はこちらという看板があり、左折したところ、急に坂道になった…のと共に、ご覧の通り歩道がない。
でも、それほど車は走っていないので怖くはないが、東海道の箱根峠あたりで少しこういう道幅のところもあった気がして、慎重に歩いた。
と、振り返ると同じ船に乗っていた乗客の人たちが後ろをぞろぞろ歩いているではないか! 私は歩きなれているので、比較的早歩きなので気づいたら先頭を歩いていたようだ。こ、これは道に迷ってはいけない責任重大ではないか!
不意にのどかな景色が見えてきた。やっぱり東海道を思い出してしまった。茶畑があれば静岡だなあ、これは。
海側を見ると、棚田が広がっていた。びゅーてぃふる!!これもアートだと思う。晴れていたらなあ、きっともっときれいな写真が撮れたはず。
豊島 棚田プロジェクト | ベネッセアートサイト直島 (benesse-artsite.jp)
豊島美術館
棚田に見とれて登っていたところ、不意に豊島美術館の塀が…うっかりスルーしそうになるほど、この塀はものすごく低い。子供でなければスルーしてしまいそうだ。
朝一番の回で事前予約していたので、まだこのとおり門扉は閉まっている。で、美術館どこー?と探していたところ…
あのUFOの円盤のようなものが美術館らしい。そして、もっこりした山の右手にある四角い洞穴のようなところが、美術館受付だ。もう、この造り方からすべてがアートなので、驚きと戸惑いがありながらも受け入れることにした。うむ。
時間になり、中に入れてもらう。事前予約していたので手続きはスムーズだった。すぐに美術館に入るのではなく、少し散策してから中に入るように言われた。
散策、といってもちゃんと経路が設定されているので心配はいらなかった。このような小径を歩く。美術館は見えているのだから、受付からショートカットして行っても別に叱られないだろうけど、せっかくなので勧められたように散策することにした。
このように森の中を縫って歩いていく。アート作品の中を歩いて行く、という感覚になった。
海が見えた。遠くに見えるのは岡山県だろうか。それとも直島? 方向感覚が分からなくなっていたが、なんだかいい景色で心が癒される。
さて、ここから豊島美術館に入るわけだが、写真撮影が禁止なのでぜひリンクからご覧いただきたい。
豊島美術館 | アート・建築をみる | ベネッセアートサイト直島 (benesse-artsite.jp)
雨の日の豊島美術館
ここからは私の拙い文章力で、中の様子をお伝えします。
雨の日なので、丸く開いたところから雨がどんどん入ってくる。それが神々しく神秘的。雨粒がぽつりぽつりと床に散りばめられているが、床の小さな穴からも水が湧き出たり吸収されたりしている。雨粒は導かれるように別の雨粒と合わさり大きくなり、そして大きな水溜まりを作っていく。
まるで、生まれたばかりの地球を見ているようだった。人々も、静かにその様子を見守っている。
私は冷たい床に体育座りになり、近くで水が湧き出て流れる様子を見ていた。湧き出た水が水たまりに向かっていくときに、彗星のように尾ができているのを見て、まるで川ができたようだと感じていた。
水が湧き出る、導かれるように流れる、川ができる、池になる、そして池の集合体が湖になる…そんな様子を飽きることなく、どれくらいそこに居座ってみていたか分からない。軽く1時間以上はそこにいただろう。
美術館を出てすぐのところに、ミニチュア美術館ともいえるカフェがあった。中はこのような感じ。少し冷えていたのでホットココアをいただく。
靴を脱いで上がるので、皆、リラックスした様子でくつろいでいた。私ものんびり足を伸ばしてココアを飲んだ。とても美味しい。ずっとここにいたい。
このあと、もう一度美術館に戻り、ひとしきり楽しんだ後、そろそろ帰る船に乗るため港に戻ることにした。
行きは高速船だったが、帰りはフェリーになった。ちょうどいい船便がフェリーだったので、必然的にそうなった。なので乗り場が変わってしまい、少し戸惑ったが、ここがフェリー乗り場であるらしい。きっぷの販売時間まで余裕があるので、少しのんびり外の景色を楽しむことにした。
雨は小降りになってきたが、雲が分厚くて光が差さないのが難点。
そうこうしているうちに、フェリーがこちらに向かってやって来た。瀬戸内海は航路が発達しているので、頻繁に船の出入りがあるようだ。
フェリー乗り場近くには、停泊している船舶がいくつもあった。雨でなければ人はもっといるんだろうか、それともこれが通常?
岡山に戻る
戻ってまいりました宇野港へ。瀬戸内海の島々を旅するなら、ここを拠点にするか高松を拠点にするか…ということになるだろう。やはり拠点というだけあって、港の大きさでは宇野港が断然大きい。港に着く頃には、空は晴れていた。晴れてしまったことで、もう少し豊島美術館に長居していれば、晴れの日バージョンも楽しめたかな…なんていう欲も出てきてしまった。
宇野駅から、2両編成の電車に乗って岡山駅に戻る。なお、結構鉄道もバスも本数が少ないのでご注意を。電車の時間と噛み合わないようであれば、時間はかかるがバスで岡山駅に戻る方法もある。
岡山に戻ってきた。都会だ!のどかな瀬戸内海の島にいたので、都会に戻ってきたなと実感する。岡山城に行きたいところだったが、あいにく大改修中だったので諦めて、駅前をウロウロすることにした。
岡山といえば桃太郎!岡山駅前にはモニュメントがあった。クリスマス前(旅に出た当時は2021年11月)だったので、イルミネーション仕様になっているような気がする。よく見ると、桃が割れている。芸が細かい。これも…アートかもしれない。
岡山駅前。新幹線の時間まで余裕があったので、駅や近くのイオンモールをウロウロしてから帰還。
3日間、芸術の秋にどっぷり浸かった。私そんなに芸術好きだっけ?と思いながらも、感性は確かに揺さぶられた。どんな気持ちで制作したんだろう、制作者の背景には何があったんだろうと。そして、瀬戸内海の島々がより一層その感性を掻き立ててくれる。
瀬戸内国際芸術祭は3年ごとの開催で、2022年予定されています。よろしければ、岡山・香川への旅、計画してみてはいかがでしょうか?
瀬戸内国際芸術祭2022 | 瀬戸内国際芸術祭2022 (setouchi-artfest.jp)
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