#5 閣僚になりました、という妄想
私は妄想癖がある。グーグルマップストリートビューでの旅行は何度も楽しんでいるし、Wikipediaで世界の都市の概要を読むのも大好きだ。そうやって、世界中を旅している。最近は石垣島を旅してきた(ストリートビューで)。
旅以外だと、総裁選のあとの人事となると、無関係のくせにソワソワしてしまう。さあ、自分にどんなポストを用意しよう。
去年は国土交通大臣だった。副大臣とか、政務官とか、そういうポストではなく、大臣ポストで妄想するのがミソだ。なぜなら、組閣後の写真撮影に挑まなければいけないからだ。法務大臣と防衛大臣は責任を負えないので、妄想からは外している。
以下、妄想です。
9月30日夜、カレーとサラダというバランスの取れた食事をしていることに満足していた私は、突然スマホが鳴って驚いた。知らない番号だ。私は知らない番号からの電話は出ない主義なのだが、今日ばかりは「まさか」と思いながら、恐る恐る電話に出た。
「はい」
「岸田です」
「えっ」
カレーを落として、服にべっとりくっついてしまった。あー、白いシャツが汚れちゃった! そんなショックは一瞬で消えた。
「みっちぇるさん、あなたを経済産業大臣にと考えているんですが」
汚れたシャツのことなどすっかり忘れ、脳内にパッフェルベルのカノンが鳴り響く。#ファーミーレー#ドーシーラーシー#ドー♪ラ#ファソラ#ファソララシ#ドレミ#ファソ…(以下略)
ちょっと待て! ふ、服がない! スーツだとまずいだろうか、男性はモーニングで来るはずだが、長いドレスを今から用意しなければ! レンタルは手配できるだろうか。鏡を見て、どんな衣装を合わせれば良いか思案するが、白いシャツに出来た黄色いカレー染みが気になって落ち着かない。うーーむ。仕方なく、母に事情を説明して衣装の相談をする。
「ああ、それなら私のお古を貸してあげるよ」
良かった! 母と私は体型が似ていて、同じサイズの服を着ることができる。母が着れるということは、私も着れるということ。
そして別の日、私は母のお古を着て組閣の写真撮影に挑んでいた。少しクラシックなデザインではあるが、それは母のおさがりだ、となんだか安堵した心で、緊張せずに済んだ…―――。
という、妄想をしました。
私の妄想にお付き合いいただきまして、皆さま、お疲れ様でございました。今年は経済産業大臣になりました。内閣再編ではなく、このように総裁選の方が妄想は楽しめるので、久しぶりに楽しい妄想をさせていただきました。
毎回、周りの人に冗談で、
「そろそろ私のスマホ鳴ると思うよ」
と、ニヤッと笑って一日を過ごすのが恒例です。鳴りませんでしたね、というツッコミが入ったときには、
「いや、実は今の私は影武者でね、本体は永田町にいるんだよ」
というアホなやりとりをします。
あゝ、今日も平和です。
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