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MIC×㈱ジグザグ_前編:日本のECを世界へ - ZigZagが切り拓く越境ECの未来

■はじめに

こんにちは、ベンチャーキャピタルMICの有賀です。モバイル・インターネットキャピタル株式会社(以下MIC)は、1999年の創業時からデジタルテック領域において、リード投資を基本とし、シリーズAを中心とするオールステージにてスタートアップへ投資支援活動を行う独立系のベンチャーキャピタルです。投資先のスタートアップへの支援の一環として、事業会社との事業連携等オープンイノベーションにも注力中です。

本記事は、弊社が毎週火曜日に配信している公式Podcast「起業家のキモチ」を文字で読むことができる「読むPodcastシリーズ」です。投資先の起業家へのインタビューを通じて、事業内容や起業までのストーリー、今後の展開についてお聞きしています。聴きドコロをまとめていますので、空き時間でさくっと読みたい方にお勧めです✨

今回お迎えするゲストは、株式会社ジグザグの代表取締役・仲里一義さんです。ZigZagが切り拓く越境EC市場の未来とは?CEO自ら語る創業秘話とは?2本立ての前編となる本記事では起業家仲里さんにフォーカスを当てて、起業の経緯に迫ります
※本記事は、2021年と2022年にご出演いただいたPodcastの音源を記事として再編集しお届けしています


■ゲスト紹介_株式会社ジグザグ代表取締役/越境EC専門家 仲里一義氏

1974年生まれ。ネット広告「オプト」でWebマーケティングに従事し、営業部長や新規事業本部の統括を歴任。その後、越境EC支援と海外転送サービスの「groowbits」代表取締役就任。国際物流を軸に日米韓独とサービス拠点を拡大。爆買いブーム以前から越境EC支援に取り組み、各ビジネスメディアに取り上げられる。2015年「株式会社ジグザグ」を創業。海外通販サイトから、国をまたいで自由にモノが買えないという実体験から、購入者と販売者双方を支援する越境EC支援サービスを開発。国内ECサイトが最短1日で 228の国と地域に 対応可能になる『WorldShopping BIZ(ワールドショッピングビズ)』を2017年にリリース。その利便性の高さから延べ1,500サイト超に導入されている。10年以上にわたるウェブサービスや越境ECビジネスの事業経験を元に、メディア取材やセミナー登壇にも応じている。



■事業紹介:「WorldShopping BIZ」誕生の経緯

MIC 有賀:
本日はご出演いただきありがとうございます。まずは御社の事業紹介をお願いします。

ジグザグ 仲里さん:
はい、ありがとうございます。改めて、私たち株式会社ジグザグは越境ECという分野で、日本のショップと海外のユーザーをつなぐサービスを展開しています。
実は普段使っている日本語のECサイトにも、海外から数パーセントのアクセスが存在しています。これを我々は「ウェブインバウンドⓇ」と呼んでいるんですが、そのウェブインバウンドでやってきている海外ユーザーの方は、日本のサイトでお買い物ができていません。例えば、かな入力フォームだったり、ショップが海外配送に対応しいなかったりしている状況なので、わざわざ海外からサイトを見に来ているのに買えていないという状況が存在しています。一方で日本のショップも海外に販売したいけれども、さまざまなハードルがあって販売できていません。
そこで私たちは、「WorldShopping BIZ」というプロダクトを開発しました。ショップのサイトに”タグを1行”設置するだけで、海外ユーザーだけに見えるショッピングカートが出現し商品が入れられて、PayPalや銀聯で決済でき、出荷まで完了するというサービスを提供しています。

MIC 有賀:
ありがとうございます。仲里さんがこの事業アイデアを思いついたきっかけを教えていただけますか?

ジグザグ 仲里さん:
以前インターネットの広告業界に居た際に、日本のウェブサイトにも海外からのアクセスがあること、ただ残念ながら日本のウェブサイトの商品は海外から買えない、ということに気づいたんです。そこで、体験として自分も海外から日本の物を買おうと試してみましたが、やはりeコマースサイトで買えなかったんです。当時ネット業界にいたこともあり、「世界中からECを使えばモノは買える!」と勘違いしていた自分がいたんですが、ここで初めて買えない事実に気が付きました
この理由を考えてたどり着いたのが、売り手側(ECサイト側)に言語・決済・物流というボトルネックが存在するため、海外に配送もできない・販売できないのだ、ということでした。この時点で、クロスボーダー領域のイノベーションは、これらの課題を解決しないといけないことには気づいていたのですが、当時はまだインターネット広告の世界にいたので物流については分からなかったんです。そこで、その一端であるロジスティックスのビジネスを経験するために、グロービッツという外資系の企業の日本代表に就任して、約6年ほど務めました。
グロービッツ社は言語・決済・物流のうち物流を解決するソリューションを提供していたのですが、やはり「言語と決済」も必要不可欠だと思い、いまのジグザグのビジネスモデルに近いことを考えついたのがきっかけです。

MIC 有賀:
私も海外のものを買おうとした時に、そもそもドルで価格が表示されて、どうやってショッピングカートに入れたらいいのか、いつどういう手順で、何日間ぐらいで手元に届くのか、請求がドルで来るのか円で来るのかなど、不透明で怖くて結局買えないという経験があります。外国人ユーザーも同じように不安を抱えているという視点で課題を解決して、日本のものを自由に、ストレスフリーで買えるように実現したのが御社のサービスなんですね。

ジグザグ 仲里さん:
はい、 その通りです。

■たまたま手に取った本がきっかけで広告業界へ

MIC 有賀:
ここからはさらにキャリアを遡って、起業家仲里社長の誕生をひも解いていきたいと思います。
大学卒業後は広告宣伝のオックスプランニング(現クラウドポイント社)へ入社されていますが、学生時代には広告業界を志望されていたのでしょうか?

ジグザグ 仲里さん:
実は、全く広告業界は志望していませんでした。最初はインテリアや家具、家、不動産など住まいに興味がありました。大学は商学部だったんですが、住環境に興味があったので宅建の資格も取ったり、就職活動も不動産会社や住宅メーカー、家具屋さんなどを中心にしていて、メーカーさんとか不動産会社さんから内定をもらっていたんです。そんな時に、ふとしたきっかけでリクルートブックという就活の本をパッと開いたときに、何か楽しそうな会社のページがあって(笑) それがオックスプランニングという会社で、「クリエイティブとか広告って面白そうだな」と思って受けに行ったのがきっかけでした。
その当時、オックスプランニング社というのは人材系の広告をやってる会社でしたが、そこはぶっちゃけあんまり引っかからなかったんです(笑)。ただ新規事業で、サイングラフィックという大型のグラフィックを空間に展開することにより、空間に価値を与えるーみたいなことをやると聞いて、これが面白そうだと思って入社を決めました。

MIC 有賀:
その後、インターネット広告へはどのようなご縁で進んでいったのでしょうか?

ジグザグ 仲里さん:
これも不思議なご縁で、私が内定をもらってオックスプランニングでインターンのバイトをしていた時、サイバーエージェントの藤田社長が同じくインターンをしていたんです。その藤田さんがその後起業して、インターネット世界で大成功してるときに、私はまだ屋外広告の世界にいました。当時インターネットが来ることは分かっていましたが、まだ詳しくその世界を知らなかったので、「まずは仕組みを知りたい」と思い転職活動を意識したときに、たまたまオプトの鉢嶺社長とお会いする機会があり、結果的に転職を決めました。

■起業への道のりと原動力

MIC 有賀:
お話を聞いていると、安定よりかは冒険、新しいことに対してワクワクする道へ進むタイプなのかなと思ったのですが、子どものころからですか?

ジグザグ 仲里さん:
大事な局面の意思決定は、全部自分で決めてきましたね。親が特に、「あれしなさいこれしなさい」と言わなかったというのもありますね。私は沖縄出身なんですが、当時沖縄県で国体が開かれていて、野球で帝京高校が優勝したんです。その時に「帝京に行きたい」と思って上京して東京に進学したという経緯もあるので、昔から意思判断は自分で決めてやるっていう感じかもしれません。後先考えずに決めたなという感じもするんですけど(笑)

MIC 有賀:
学生時代は野球少年ですか?

ジグザグ 仲里さん:
はい。ただ甲子園に行くために帝京高校へ入りましたが、結果レギュラーにはなれませんでした。私の代は甲子園で優勝もしていて、同期の三沢というピッチャーは、いまジャイアンツに入団してピッチングコーチになっているので、結構すごい世代なんですよね。

MIC 有賀:
その中でレギュラーになれず挫折を味わった時に、「もうダメだ」とはならなかったんですか?

ジグザグ 仲里さん:
そうですね、やっぱり3年間やり続けなきゃいけない、と思ったので。そこでメンタルは鍛えられたかな、と。当時ピッチャーだったんですが、全国レベルの中で勝ち抜かなきゃいけないので、オーバーハンドで勝てないと思ったらサイドスローに変更してみるとか、何か工夫して食い込むみたいなことはずっとやってきましたね。

MIC 有賀:
その後大学へ進学し就職と進んでいく中で、「起業しよう」など、いまに繋がるキャリアがなんとなく見えてきた時期はいつ頃でしたか?

ジグザグ 仲里さん:
もともと起業は考えていなかったんです。上場企業とかも受けていましたし。ただ「社長っていいなぁ」と思ったのは、1社目のオックスプランニングに入った時に、従業員のメンバーが楽しそうにワイワイガヤガヤ仕事をしているのを、社長が一番楽しそうに眺めているのを見たときでした。その時に、「この空間にみんなが集っているのは、社長が起業してこの会社を創ったから、そしてそこに縁があった皆んなが集まってこの時を過ごすことができているんだな」と考えた時に、自分も提供する側に行けるといいな、という気持ちが芽生えたのかもしれません。

その後はグロービッツで代表をやっていましたが、自分の会社ではなかったので自分の意思判断とずれるところがやはり出てきました。その時に、「もっとスピーディーにやっていかないとマーケットに勝てない」「どうすれば意思決定をより早くできるか」などと考えていく中で、次第に自分で起業して会社を作ろうという気持ちになり、起業を決意しました。

■創業期の苦労

MIC 有賀:
2015年に起業する際、仲間はどれぐらいいたのでしょうか?

ジグザグ 仲里さん:
仲間は一人ですね。それも一緒にやるんじゃなくて、外部から支援してもらうという形でした。同時期にグロービッツにいたメンバーで、彼にサービスの設計みたいなことをやってもらいながら、業務委託として手伝ってもらいました。

MIC 有賀:
では最初は、ほぼ一人でスタートされたんですね。 大変なことも多かったのでは?

ジグザグ 仲里さん:
めちゃめちゃ大変でしたね。どうやって会社を作っていいかわかんないし、ググりながら作ったみたいな。今考えたらよくやったなと本当に思いますね(笑)

MIC 有賀:
その時の原動力は何だったのでしょうか?

ジグザグ 仲里さん:
自分がやらなきゃダメでしょ、という使命感ですね。私たちがやっているマーケットではイノベーションが起きていないですし、大きなプレイヤーもほぼいないんです。今後インターネットが加速していくのは当然ですし、スマホやブロードバンドによって、より情報の垣根は低くなるはずなのに「越境EC」となった瞬間に急にボトルネックが増えてくるんです。でも見渡してみると、越境EC市場はいまだに個人の転売屋や個人会社がいっぱいあるという状況なので、これは勝てるなと思いました。

ジグザグ後編へつづく

▶Podcast最新話はこちら🎧✨

MICでは投資先企業を紹介する公式Podcast番組「起業家のキモチ~シーズン4~」を毎週火曜日に更新中。ジグザグ仲里さんにご出演いただいた音源もSpotify、Apple Podcastなど各種プラットフォームからご視聴いただけます。仲里さんご出演の回:2021年EP9-EP10、2022年EP17-EP18-EP19
こちらもぜひ、お聞きください♪


▶モバイルインターネットキャピタル株式会社概要

モバイル・インターネットキャピタル株式会社(以下MIC)は、1999年の創業時からデジタルテック領域において、リード投資を基本とし、シリーズAを中心とするオールステージにてスタートアップへ投資支援活動を行う独立系のベンチャーキャピタルです。投資先のスタートアップへの支援の一環として、事業会社との事業連携等オープンイノベーションにも注力中。




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