コンビニ
都合の良い女と呼ばれるのを嫌う女性は多いと思う。
ただ寝るためだけとわかっていながら、連絡があるとすぐに行ってしまう、なんて聞くと典型的な”都合の良い女”感がある。
そんな言葉を信じすぎて「今日、空いてる?」に
本当は家にいるだけで、誰でもいいから話したいくらいに暇なのに「ごめん、忙しいから無理」なんて返したりして。
もったいない。そう思う。その夜、何があるかは会ってからのあなた次第だけど、会いもしなければ、チャンスもないんだから。
会ってからの時間の使い方次第で関係性なんてどうにでもなると思う。うん、たぶん。
女として相手に印象付けるのもありだし、話のわかる同志枠になるかもしれないし、ただただくだらない時間を過ごすなら最高の親友になれるかもしれないし。
個人的に思うのは、身体の関係があろうがなかろうが、繋がっていける人とはつながるし、途絶える人とは途絶える。
”あなたともっと早く出会っていたら・・・”
あなたの部分はまあ、それぞれに置き換えていいんだけど、既婚男性の常套句。
そういう言葉を聞くたびに、私なんかよりも年上でしっかりしたキレイな奥さんたちを想像しながら、えへへと顔を緩ませていたのはいつまでだっただろうか。
この茶番は”もし”の仮定の中にしか成り立たなくて、そんなifの世界なんて生きる気もしないからこそ成り立つ会話であって。
そういうことに気づいてからは、茶番は茶番として楽しむにこしたことはないと思った。
経験として楽しむのも、今だけの夢として楽しむのもいい。だけど選ぶ側でありたいと思う。
都合のよい女だっていいじゃない。
いいけど、自分で進んでなるのであれば良いけれど。そうじゃないのなら、ものすごい消耗をしそうな気がする。いろんなものを。
それは心かもしれないし、身体かもしれないし。
だってコンビニってすごい便利だ。
夜中にあったかいものが食べたくなっても、行けば何かしら選択肢を与えてくれる。冬の肉まんやおでんの包容力は偉大。
真夏日の炎天下、キンキンに冷えたサイダーの驚異。夜はビールでもいい。
どんなところにもあるから、頼ってしまう。
人間だって、なんだかいつでも側にいてくれる人は頼りたい気がしてくるし。いざという時に思い出す存在になる。ほしいときに欲しいものを与えてくれる人は重宝する。
別にいいじゃない。都合が良くても。
都合が良いのと気が利くのはもしかしたら似ているかも。さっと欲しいものを出してくれる。
少し肌寒くなる季節。秋。
過ごしやすい気候になって、開放的な気分の夏から一転、少し落ち着いた心になって、いろいろ振り返りたくなるような。