【ファスト映画】オタクを目指す若者の成れの果てはオタクが最も嫌うもの
ファスト映画という存在
『ファスト映画』等と言うものが世を駆け回っているらしい。簡潔に言えば、2時間くらいある映画が10分くらいに編集されている動画で、手軽に映画の内容が分かると言うものだ。
なんかアップロードしていた検挙されたとか逮捕されたとかそういう話も報じられているが、当記事ではその違法性を咎めたいわけではない。
若者のオタク化志向
近年、若者たちはどうやらオタクになりたいらしい。
過去記事を見てもらえれば分かるだろうが、かく言う私もオタクである。だが、なろうとしてなったわけではない。気がついたらアニメやゲームの深淵までしゃぶっていたのである。
だが、若者はオタクになりたいそうだ。なぜなら、通であるという称号が得られるから、だそうだ(ソースはファスト映画とか調べて出てきた記事とか見れば言いと思います)。
今回の例の場合、若者は映画オタクになりたいようである。事実、ファスト映画のようなコンテンツが登場する前も、ネットクリックスやプライムビデオを倍速して鑑賞するという行為がちょくちょくSNSで物議を醸していた。
それはオタクが最も嫌うもの
ただし、倍速鑑賞についてはまだマシと(私にとっては)だと思える。なぜなら、本編を全て見ているからである。
ファスト映画の何が問題か。それは、映画の全てのシーンを見ていないこと。これに尽きる。
ここでは、私が好きかつわりかし知名度がある『カーズ2』という映画を引き合いに出して話をさせてほしい。
避けたい悲劇
私がそのオタクになりたい後輩と映画の話をしていたとしよう。
後輩「先輩は映画って見たりしますか?僕結構好きなんですけど」
私「あー、あんまり見ないけどカーズ2とか好きかな」
後輩「あ、話知ってますよ」
私「あーそうなんだ(何故見たことあるとは言わない)」
後輩「レッカー車のメーターがスパイになって、友人レースカーのマックイーンを守る話っすよね」
私「(……合ってはいるけど)じゃあ、好きなシーンとかある? 私はメーターがパーティーで緊張してトイレに逃げ込んだは良いものの、間違えて女子トイレに入った上にウォシュレットに弄ばれてるところがユニークで好きだなー」
後輩「……? そんなシーンありましたっけ?」
私「は?」
後輩「え?」
おかわりいただけただろうか。
この若者の後輩は、ファスト映画にまとめられていなかった部分であるために、(個人的)名シーンに話を合わせられなかったのである。
つまりはエアプ
あらすじだけをさらった若者がたどり着くもの、それは所謂エアプだ。
SNSやWebページ、口コミなどの情報を見ただけでその作品を知った気になることである。上部だけで分かる知識を全てとして雄弁に語る姿、それはオタクが最も嫌うものだ。
そもそもオタクというのは、その作品の骨の髄までしゃぶりつくすくらい楽しみつくす野郎どものことである。それなのに、本編も見ずに見たとして知っていると嘯く姿をオタクだと評する者はいるだろうか。
話を合わせたいなら本気で向き合え
本気で映画通を名乗りたいなら映画を見ろと言いたい。クソ映画に当たるのが嫌だという意見もあるが、クソ映画を見る時間はなぜその映画がクソ映画足り得るのか考える時間になるだろう。映画通はそういうところまで映画が好きだ。
これだけは言っておきたいが、ファスト映画を見続けてなれるものは映画オタクではなくファスト映画オタクである。違法性があるとまでされているもののオタクという称号を得たうえ、真の映画ファンにため息を吐かれる存在。果たしてそれは君たちが目指すものなのだろうか。今一度考えてほしいと思う今日この頃である。
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