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ロックダウン中のロサンゼルスより、緊急事態発令後の日本へ。 Vol.1

ロサンゼルスから日本へ向けて。

  これを読んでくれている方の、何かのお役に立てる事を祈って。

今年の1月に、今まさに全世界に起こっている出来事を想像していた人ははたしていたのだろうか、と思う。

コロナウィルスの影響によるロックダウンが発表されてから3週間余りが経った4月8日のロサンゼルスは曇り空で、天使達の街はどんよりと冴えない顔を見せている。

日本でも緊急事態宣言が発令されて、今日本に住んでいる人達はどんな気持ちでいるのだろうかと思う。自宅待機をする人、仕方なく外出を少しづつ減らしても仕事は行かなければならない人、自分は大丈夫だと今まで通りの生活を続ける人。

どうか、もう『今まで通りの生活を続ける人」はいない事を祈っている。安全でいてほしいから。警告は鳴らされ続けているのにそれに耳を貸さず、今まで通りの生活を続けて万が一感染した場合、自分だけでなく誰かの安全までも奪ってしまいかねない事に気付いて欲しい。

あっという間に感染者の数が世界で最も多い国になってしまったアメリカでは、毎日ものすごい勢いで人が亡くなっている。(もちろん、回復している人もたくさんいる。ここでは恐怖や不安を喚起したい訳ではない。)

感染者は増え続け、ベッドの数は足らず、病院で働く人達は自分の家族にも会わず、自分の命を削って一人でも多くの患者を助けようと疲労困憊の体に鞭を打って、医療現場という戦場で戦っている。

毎日のように、SNSには医療現場で働く人達からの写真やメッセージが投稿されている。例えばそれは、高層ビルの立ち並ぶニューヨーク・マンハッタンで毎晩夜7時に鳴り響く、医療関係者への住民からの感謝の拍手喝采を映した勇気を鼓舞されるような動画であったり、元気に回復したお年寄りが笑顔でお医者さんにお礼を言っている微笑みを誘うような写真であったり、そして、わずか3週間の間におびただしい数の死を見続けている看護師さんからの、心を砕かずには見られない、涙ながらの魂の訴えのビデオだったりする。

「お願いだから、皆さん家にいて下さい。家にいれば安全ですから。毎日どんどん患者さんが増えていて、ベッドが全く足りていません。助かる命が助からなくなってしまい、私達は誰かを諦めなければいけなくなってしまう。お願いだから家にいて下さい。どうかお願いです。」

カメラに向かってまっすぐに語りかける彼女はさぞかし疲れているだろう、それでもその瞳だけは輝きを失う事なく、”命を救う”という執念にも似た強い意思を宿している。

毎日、毎日、胸を抉られるような投稿が増えていく。

今日Facebookで読んだ投稿は、アメリカの他州からニューヨークの病院にやってきた看護師さんのものだった。その一部を抜粋したい。

「今日亡くなった男性患者さんは、私が3日間看ていたの。最後の時も、もちろん彼の家族は彼に会えないので、病室には彼と私だけだった。部屋から廊下へと繋がるドアは厳重に閉じられていて、まるで私達は世界から完全に隔離されているようだと思ったわ。静かに、彼が息を引き取るのを側で見ていた。そしてすぐにドクターを呼んで、死亡確認をしてもらったわ。その後ドクターは、亡くなった患者さんの家族に連絡して、状況を伝えるよう他の看護師に指示を出した。家族の人達は、彼が最後の時に一緒にいられなかったって、とても悲しい思いをすると思う。ニューヨークに来てから、そんな場面をもう何度も見ている。私が最後彼の側にいましたって、家族に会って伝えてあげれたらどんなにいいかっていつも思うわ。」

文章と一緒に、彼女本人の写真が載っていた。エメラルドグリーンのナース服に身を包み、医療用マスクを身に付けているので顔全部は見えなかったけれど、おそらく20代後半だと思う。

カメラを見つめる彼女の目は、困惑、疲労、焦燥、猛烈な勢いで迫ってくる「死」をとめる事のできない苛立ち、悲しみ、恐怖と、それでもそこに残って戦い続ける事を選ぶ勇気、そういうものが全部一緒くたになった壮絶さと不思議なまでの穏やかさが同調しているように見える。疲労しきっている彼女を動かしているのは、”人の命を助ける”という、一本の細い、けれども確かに強靭な意志の糸なのだろう。

ロサンゼルスがロックダウンになって、「まるで戦時中を生きているようだ。」と何人かが口にするのを聞いた。私は戦争の時代を知らないけれど、きっとそうなんだろうと思った。ただ戦争と違うのは、激戦地で死の影と戦っているのは必死に患者さんの命を救うため奮闘しているお医者さんや看護師さん達であって、私達は戦地に赴く事なく、自宅の快適さに甘んじながら生活をさせてもらっているという事だ。(もちろん経済的な苦労だったり、それぞれの家庭の事などのさまざまな問題は除いて。)

もしも、今までと同じ生活を続けている人がいるなら、ちょっと立ち止まって考えてみてほしい。あなたが大丈夫でも、あなたの大事な人はそうだろうか?どうかその人を守るためにも、また誰かの大事な人を救うために必死になって戦っている彼らのためにも、どうか家にいてほしいと思う。

そして、医療の現場で働かれてる方々、社会のために必要不可欠な業務に就かれている方々、本当に有り難うございます。あなた方のおかげで私達の生活は成り立っています。

さぁ、どうか今日も1日安全に家にいよう。同じ空の下、どこかでだれかの命のために戦ってくれている人達に敬意を表して。


続くかもしれないのでVol.1とします。










えっ、、、、神様ですか?