サーフィンみたいに
私は、デザインを学んでいる大学院2年生です。
大学に入学して6年。デザインを学び始めて6年。
つまり6年分の作品があるという訳なんですね(震え)。
今日は、2018年〜2024年に制作した中から30作品をピックアップして振り返る、ということをやってみます。ポートフォリオにも載せてない拙い作品もたくさんあるので、どうか温かい目をご準備ください!
2018
大学に入学しました。この年の授業はまだ基礎で、さまざまな手法に触れることがメインの年でした。
このときは、「可愛い服を着て、可愛い作品作って、とにかく身の回りの世界を全部可愛いで埋め尽くしたい!」期でした。作品に無駄にちょうちょを入れたり、カラフルな作品を提出していたのを覚えています。
2019
ここら辺から、初めて「向き合う」ということを知りました。自分の好きなテーマから発進しつつも、客観的に考えて最適なデザインにしようという意識が芽生え始めます。
この時期は、バイトもサークルも2つ以上掛け持ちしながら授業の課題を出して、友達とも遊びに行って…みたいな生活で一杯一杯でした。
2020
忙しなくしていたところに、コロナがやってきました。飲食バイトのシフトはなくなり、サークルもなくなった。そこで、新しく工業デザインの授業を履修してみたら、実はこれが6年間でいちばんの転機となりました。
私が履修した工業デザインの授業では、手を動かす時間よりもアイディアやコンセプトについて深く考え議論する時間を多く設けてくれており、アイディアを褒められる機会が増えました。今までどの授業でもパッとせず燻っていた私は、少し自信が持てるようになりました。
私は入学当初から、大学院に進学し1年の交換留学をする予定でしたが、コロナになってしまい「留学なんて無理かも…」と思い始めたのもこの時期でした。それなら就職するか、と思って就活を始めたところ、ポートフォリオに載せられるような作品が全くないことに気づき、かなり焦りました。
2021
就活に絶望した私は、当初の目標であった留学への希望をやっぱり捨てないことにしました。留学先の受け入れ通知がギリギリ届き、8月に無事大学早期卒業&大学院入学、9月に交換留学に出発することができました。
全く英語が話せない状況で留学に行ったので、先生が何言ってるのか全然わからないしグループワークは辛かったのですが、寮で毎週のようにパーティーがあり、幸いお友達もたくさんできて楽しい日々でした。
2022
グラスゴーからアメリカのオハイオ州に移り、シンシナティ大学でプロダクトデザインを学んでいました。この大学の先生らが本当に素敵でした。授業の先生は私の制作にFBする前に「このプロジェクトにワクワクしてますか?」と必ず聞き、インターン探しのメンターさんも私の進捗状況を聞く前に私の精神状況を聞いてくれました。最初は私が留学生だから心配されているんだと思っていましたが、誰に対してもそうしているのを見て、私もまず人として向き合う人でありたいと強く思うようになりました。
5月に日本に帰ってきて、そこから怒涛の就活と研究室生活になりました。権利関係でここに載せられるものがほぼないのですが、3社の企業と共同研究をし、ワークショップでドイツに行ったり、参加していたプロジェクトの商品がコンビニやスーパーに並ぶようになりました。
ここから、あまりの研究室の忙しさや就活のプレッシャーで、私はどんどん壊れていきました。研究室にいるときはアドレナリンが出て楽しくいられるのに、自宅に帰ると鬱状態、を繰り返していました。あまりにボロボロで、1人で研究室に行くことすらできなくなって、お父さんが車で送ってくれた日もありました。
2023
自分の部屋にこもり研究レポートを書いていた元日、研究室の先生から「頑張っているか?」と電話がかかってきた瞬間、私は涙が止まらなくなってしまいました。もう限界でした。
OGや先生方に相談し、私は研究室を移らせていただくことにしました。M2から研究室を移るというのは普通はあり得ないことなので、対応してくださった大学の方々に感謝してもしきれません。
新しい出会いと経験は、乾いていたスポンジにどんどん水が吸収されるようでした。自分と作品の世界に閉じこもるより、未知なる何かへの好奇心によって突き動かされ、外へ外へと行動していました。
2024
ここまで書いてみていちばんに思ったことは、「こんなに多くのチャンスをもらってたんだ…!」ということです。たくさんの人が声をかけてくれたり支援をしてくれたおかげで、いろんなことを楽しめた6年間でした。
もし学生生活がもっと短かったら、もっと〇〇デザイナーを目指したり、わかりやすいスキルを手に入れたがったりしたと思うんです。でも私には時間があったから、どんなに小さなやりたいことも逃さず全部に向き合えた。やりたいことに今向き合わなかったら、やりたいこととの距離がどんどん離れていくだけだと、大学生活で学びました。
肩の力を抜いて焦らず、いい波が来たらすかさず乗ってみる。乗る時は全力で乗る。
そのために、いつでも波に乗れるよう準備しておく。
サーフィンみたいな私の6年間でした。