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ホモ・サピエンスが<西暦2100年までに絶滅の恐れ>って?

※トップ画像は『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』(河出書房新社)限定カバー本の書影です。

昨日の記事につなげる前に、少し寄り道をする。

先日読んだ『漫画サピエンス全史 人類の誕生編』(河出書房新社)にその言葉はあった。ホモ・サピエンスは<西暦2100年までに絶滅の恐れ>があると。え? 聞いてないよ! 2030年までに国内の人口がどうのこうのとか、2050年の未来予測だとかは時々見聞きするが、2100年までは気にしていなかった。

絶滅の理由については、少なくとも同書には書かれていなかったと思うが、冒頭の、38億年前から現在までを示す年表の最後に<未来 人が神になる?>のような記載があった。ちなみに漫画ではない書籍のほうの電子版『サピエンス全史 上下合本版』では、この箇所は<ホモ・サピエンスが超人たちに取って代わられるか?>となっている。

なるほど、ハラリ氏の次の著書『ホモ・デウス』が関係していそうだ。<ホモ・サピエンス>がラテン語で「賢い人」の意味であったのに対し、デウスは「神」なので、<神の人>? この本をわたしは紙版で上下巻とも持っているのだが、また挫折している。内容が濃すぎて速読しても意味がないので、せめて今「訳者あとがき」を読んでみよう。
下のリンクから「訳者あとがき」を全文読めるし、本も買える。

読んだ。

翻訳書の訳者は誰よりも原書を深く読み込んでおられるので、訳者によって書かれた「訳者あとがき」はどの書籍でもありがたく読んでいる。
怖れ多くも<ホモ・デウス>という言葉だけに着目してわたしのフィルターを通してあとがきを凝縮すると、この人種はあらゆるデータ化によって自らをアップグレードして、神のようになることを目指す者らしい。AIを駆使したり、遺伝子操作をしたりして、神のようにcreatureの類いをcreateする人か。でも誰にでもなれるわけではなさそうだ。ごく一部の特権階級であり、その他大勢は仕事を奪われて<無用者階級>になるらしい。この言葉が衝撃すぎて、出版当初、NHKニュースで紹介されたことを覚えている。

ところが、あとがきによれば、これではうまくいかないらしい。ゆえに上記書籍の年表では<未来 人が神になる?>と疑問符がついており、断定ではない。
また、『ホモ・デウス』に書いたことは可能性であり、著者は絶望していなからこそ書いた、とのことだ。良かった。

なぜこれが昨日の記事につながるかというと、AIによる映画制作や翻訳の自動化が、ホモ・デウス誕生に向けたアップデートの一部に思えたからだ。しかし、考えてみればもっと身近なところにも同様のことは起きている。例えば、生まれたときから世の中にインターネットがあったZ世代の皆さんは、その活用のしかたや自分を曝して発信することへのためらいのなさなど、わたし(X世代)から見るとまさに新人類に思える。少しうらやましい。ホモ・デウスの萌芽。さらに、Z世代の次の世代の呼び方はもう決まっていて「α世代」というらしいが、幼いころから世の中にバーチャルやAIまで浸透してきている。

そう考えると、世のデジタル化も進んでいるが、ヒトも徐々にデジタル化し、スマホやコンピューターの性質を帯びているのだなと、あらためて実感した。スピードや効率を益々重視していく点なども。当然、古い世代にもその変化は見られるのだが。

古来から続く、自然との調和を図る思想と勢力はあるにしても、大きな流れは<データ至上主義>に向かっている。

そんな世界に生き残りたいか? という思いもふとよぎる。

『ホモ・デウス』は残念ながらグラフィカル・ブックが原書で出ていないようなので、今年じゅうには家にある紙の本で読もう。

2022年に冒頭を少し読み返したとき、「人類は飢饉も疫病も戦争もほぼ克服した」という趣旨の記載に賛成できない世界になっていたのが皮肉だった。

原著刊行は2015年、国内翻訳出版が2018年(初版9月30日で、同年11月7日でなんと10刷!)。

奥付のあとに紹介されている同じ河出書房新社さんの書籍も大いに気になる。『『サピエンス全史』をどう読むか』『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』『この世界を知るための人類と科学の400万年史』『人類が絶滅する6のシナリオ』——なんて素敵なラインアップ。
世界が滅びるまで本を読み続けたい。



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