中まで黄色いフレンチトースト
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気の重い役割を果たす前の景気づけにと、おしゃれカフェに入った。こだわりの内装、流行りのヴィンテージ家具。いつもと違う店に入れば脳も活性化されるという説も信じて、脱マンネリを図ったのだが——
メインメニューであるフレンチトーストの中が白かった。なぜ白いか。おそらく、現在値上がりしている卵をあまり使わなくていいよう、工夫したのではないか。前に書いた記事の下のほうで、茶わん蒸しが白いという事を書いていたわたしはピンときた。
中が白いことは、切ってみないとわからなかった。側面三方は食パンの耳が残っていて茶色、上面はちゃんと黄色になっていた。つまり、わたしの推理では、耳の内側のもっとも液体を吸収させたい部分を、卵なしの砂糖入りミルクに漬け込み、その後で上面に卵黄液に軽くかけるなどしてから、焼いたのではないか。しかも、食パンの切り口部分はつぶされていて見えない。すごい。よく考えてある。逆の意味で感心する。
とはいえ、店に入ってから後半でがっかりしたので、残念ながらマイナスの印象で終わる。逆に、下の記事で書いたような、インテリアなどは少し地味でも、店員さんの機敏な動きや心遣いや商品の質の良さがじわじわと感じられるようなお店は、終盤に向けて気分が上がっていくため、また行きたくなる。
後日気を取り直して、家でいつもの自分流フレンチトーストをつくった。簡単、美味な庶民派のつくり方だ。
庶民派フレンチトーストのつくり方(食パン2枚分)
1斤5~6枚切りの厚さの食パンを、1枚4等分にして小さい正方形にする。
器に卵2個をとき、砂糖を小さじ2分の1くらい入れ、牛乳を加えておよそ2倍の量にして(つまり、卵液:牛乳=1:1)フォークで混ぜる。
調理用角バットに2.の液を入れ、1.で切ったパンを並べる。
パンに液がしみたら裏返し、中までよくしみこませる。
フライパンにバターおよそ10gと植物油を大さじ1入れて弱火で熱し、溶かす。
弱火のまま4.を並べ、フタをする。
途中で何度か裏返し、軽く焼き目がついたら皿に盛る。
好みで上からシナモンスティックを削って散らしたり、ホイップクリームを添えたりして完成。
ちなみに、5年ほど前は4.でパンにしみこませる時間は30分くらい必要だったが、今はそんなにかかっていない。これも、食パンが薄くなったか密度が減ったかで、あっという間に吸収されるようになったためかもしれない。
ここにも値上げが隠れていたのか。