Autumn Leaves

皆さん、こんにちは！
星<star>になる可能性を秘めた女の子っ！未星💫です！

先日、仕事の関係もあり何人かと銀杏並木🍁を見に行きました！
秋晴れとも言える日に圧巻とも言える銀杏並木。
最高の散歩日和でした！
そして思ったのが、

「あれ、これすぐに散って冬くるわ・・・。
まずい、早く秋のJazz小説書かねば・・・💦」

という焦りでした。
今回は少し難産気味でしたが、なんとか上げられてので嬉しいです笑

My 創作スタイル　※ちょっと長い….

最近初めて会ったAさんに
「未星さんってどうやって創作されてるんですか？」と聞かれました。
今まで創作活動しているなんて誰にも言ってなかったので、すごく新鮮でした。

私の創作活動ですが、今は音楽を聞き、そこから感じ取ったストーリーを書いてますが、元のない創作は”セリフ”から始まったりします。
このセリフを言うためにはどういう話になるんだろう？このセリフは何を経て出てきたんだろう。と言った感じで深掘りして行きます。
よく「キャラクターが動き出す」て言葉を耳にしますが、まさにそれで。
頭の中でドラマのように動いている人物たちを視点を変えながら、文字に起こしています。

そもそもが”演じる”ように歌っていたくらいなので、執筆中は落語家さん並みに１人演劇が始まっています。
”憑依する感じですね”とAさん言われ、確かにそうだとそこで自分の創作スタイルを知りました。

言葉に出しながら。演じながら書いているので、執筆中はずっと独り言が止まらないので正直人に見られたくない上にすごい我に帰ったとき恥ずかしいです。しかも、頭の展開と口の速さに対して手が追いつかないので、執筆を諦めた作品や中途半端に書いてある未完成の作品も多かったりします。
絵を描くのも大変ですけど、言語化するのも難しいんですよね。
何せどんどんキャラクターが動くので展開が早いのなんの・・・。

なので、プロットがめちゃくちゃ大事です。
パソコンやスマホで文章が書ける時代ではありますが、未だに紙とペンがないと私の創作活動は成り立たないです。
起承転結、大切なイベント、言いたいセリフ、そこで起きる心情。
ひたすら思いついたものは書きまくります。
A4で3-4枚、一心不乱に字を書き続けた作品もありました。

より分かりやすく、より早く私の頭の中で繰り広げられる物語が書けるよう、日々多くの語彙と知識と経験が必要だなぁと思って生活しています。

昨今、イラスト・小説・動画などAIが書けるようになっていますね。
生身の人間としては少し悲しい気もしますが、技術として可能になってしまった以上しょうがないのかなと思う部分もあります。
使い方に問題があるので、技術そのものは本当に素晴らしいものだと思います。

創作活動でもAIをうまく活用している人もいるので私も使いこなせるようになりたいのですが、なかなかうまく活用できません。
多分、登場人物の名前とか考えてもらえればいいのかもしれませんが、私は”音”を大切にしていて、その音からイメージに合う漢字、苗字や名前などを考えています。赤ちゃんの名付けサイトを普段から使ってまくってる人間、あまりいないと思います。
何気にちゃんと画数なども考えていたり、そのキャラクターの過去や思い、何があってその考えに至ったのか。キャラクターについてもしっかり考えています。
そのキャラになりきってセリフ言って執筆したりしてるので、自然とそうなりますよね笑

名前(音)を考えたり、漢字を考えたりするのは正直めんどくさいし時間がかかる作業ではあるのですが、めんどくさいことほど重要で、めんどくさいほど愛おしいのかなと思っています。
大変な時間ですが何気に楽しい時間です。
そんな私ですが、今回作中のあるものの名前がどうしても出てきませんでした。
色々と頭を悩ませていたのですが、ふと

「待てよ、これはAIに聞いたらいいんじゃないか….?」

と思い早速。

「Hey!ChatGPT。◯◯についていい感じの名前考えて」
「もっとかっこいい感じで」
「もう少し提案して」

30もの言葉を１分かからず提案してくれ、納得のいく名前をつけることができました。
おお、これがAI”を”使うと言うことか….✨。
今後もAIを活用してより良い創作活動を続けていきたいと思います！

Autumn Leaves ー紅葉

前置きをちゃんと読んでくださった方、お待たせしました。
ここから読まれる方、よろしくお願いします！

前置きがいつもに比べて偉く長くなってしましたが、
今回のテーマ【Autumn Leave】。
日本語にすると、
秋の葉。紅葉・枯葉・落ち葉　なんて訳す方もいるそうです。

私も書いてて知ったのですが、
"秋"は英語で「autumn」ですが、「fall」とも言われるそうです。
違いとしては「autumn」は主にイギリス、「fall」は主にアメリカで使われているのだそうです。　
「fall」という単語は、「落ちる」という意味を元々持っていますが
なぜ「秋」と言う意味に？というと、秋は葉が落ちる時季だからだそうです。
“fall”は「落ち葉」を表す“fall of the leaf”に由来する言葉で、元々の「落ち葉」という意味から「落ち葉の季節」である「秋」という意味に拡張して使われるようになり、次第に“of the leaf”を省略した“fall”という言葉で広く使われるようになりました。

落ちる葉で「落ち葉」。
なぜ落ちるかといえば枯れたため「枯葉」。

同じものを指しているのに、いくつもの呼び方や解釈ができるのは本当に面白くてワクワクしますね。

そんな今回のテーマ、Autumn Leave。
内容としては、ひきづってる失恋songて感じです。
やっぱり夏は”ひと夏の恋”なんて言葉もあるように、恋愛始まる！楽しい！て明るいイメージですけど、秋てなぜか少し落ち着いたというか哀愁漂うイメージありますよね。秋の心と書いて[愁]ですし。

今回は少し難産で、書きながら話を当初と別のエピソードに修正したり、展開を変えたり、言葉を変えたりして、久々にゴールだけ決めて走り出した挑戦的な作品となりました。
とてもいい経験となりました笑

同小説は、下記pixiv様にも載せております。↓↓

そちらの方が慣れている方はpixivもよろしくお願いいたします。

Autumn leaves 歌詞と和訳（未星的）

The falling leaves drift by the window
The autumn leaves of red and gold
I see your lips, the summer kisses
The sun-burned hands I used to hold

Since you went away the days grow long
And soon I'll hear old winter's song
But I miss you most of all my darling
When autumn leaves start to fall

窓の近くに落ち葉が漂う
赤や金色の枯葉
それは夏にキスしたあなたの唇の色のようだし
日焼けした手で抱きしめてくれたよね

貴方と別れて長い月日が経った
そしてそろそろ冬の定番曲を聴く時期になるんだろうね
でも何よりも大切だった貴方が恋しい
枯葉が落ち始める頃そう思う

Autumn leaves 小説本編

駅のホームに立つ女は、少し寒そうに肩をすくめていた。
それもそのはず、木枯らしが吹いてたからだ。
そんな女の前に電車が到着した。
女は扉が開くと否や乗車し、視界に入った長椅子へと腰掛けた。
時間は夕方、数えられるくらいの乗客を乗せながら電車は動き出した。
動く列車の窓からは、木枯らしの影響か木々が揺れ、枯葉が少し舞っていた。
女は空中に舞う枯葉をぼんやり眺めると、過去を思い出すかのように瞼を閉じた。

「あれ？君、東山ゼミだった佐野くん？」
女が差し出された名刺を見て口を開いた。
”佐野”と呼ばれた男は首を傾げて目の前の女を見た。
「えっと…どちら様で？」佐野が女に言葉を返すと、女はニコッと笑って話を続けた。
「あぁ、ごめんなさい。私、小松ゼミだった金子沙耶香。君、遠山ゼミの佐野奏太くんでしょ？天野って女の子覚えてないかな？私その子の友達なんだけど」
沙耶香の言葉にようやく奏太も合点がいった。
「天野…あー、天野さんの友達！なるほど！まさか取引先相手として出会うとは…奇遇ですね！」
「ほんとだよ！あっと、すみません、失礼いたしました。私、営業部の金子沙耶香と申します。よろしくお願いいたします。」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
金子沙耶香と佐野奏太は名刺交換を行った。

その後、取引先として仕事をする機会が増え、意気投合しプライベートなどでも遊ぶようになり、1年が過ぎた頃に奏太の方から沙耶香に告白し、交際が始まった。

「ねぇ、奏太。海行こうよ！海！」
沙耶香はご飯を食べながら奏太に言った。
「海かぁー、もう何年いってないだろう。小学生以来かなぁ」
「私も大学以来だよ！行こうよ！ついでに泊まって観光もしよう！！」
「うーん、そうだね。仕事も繁忙期過ぎてるし、いいね。行こうか」
「やったー！！」
沙耶香の喜ぶ顔を、奏太は微笑ましく見つめていた。
そして、旅行当日。２人は海で泳いだり、バナナボートを楽しむなど海を満喫した。バナナボートから２人で落ちて海の中で笑い合ったり、夕日を見ながら自然とキスを重ねた。奏太の肌は1日でこんがりと焼けていて、後ろから抱きしめられながら見た景色は幸せそのものだった。

ただ、沙耶香には悩みがあった。それは
「奏太ぁ～、お風呂上がったよ…って寝てるの？」
沙耶香は奏太の方へと駆け寄った。奏太はよっぽど疲れたのかスヤスヤと寝息を立てて寝ていた。
「はぁ…またか。」
沙耶香はため息をつくと、そのまま奏太に背を向けてベッドに腰掛けた。

沙耶香の悩みは、奏太と付き合ってこの方、一回も体の関係を持てていないことだった。
沙耶香は髪の毛を拭いていたタオルをベッドに置くと、そのままルームキーを持って部屋を出た。

部屋を出た沙耶香は浜辺を散歩していた。
「はぁ…目の前に女がいるのに手を出さねぇのか、あの男は。それでも男かよ」
奏太が女性慣れしていないどころか、彼女がいたこともなかったのだろうなということは薄々気づいてはいた。付き合って早々、奏太の家でそういう雰囲気になった時も「ごめん、まだそういうことできない」と言って赤面していたことからも大体の察しがついた。

“いや、私がすげぇシたい女みたいじゃん…。いや、間違ってはないけど。キスとかハグとかはできるけどそれ以上ができないってどういうこと？下手すりゃ中学生でもやってるやつヤってんのに。ガキ以下かよ。男と女が同じ部屋にいて、しかも付き合ってたら自ずとそういうことすんだろ。あー、旅行の勢いでなんとかなるかもって思ってたのにダメだったわ。なんかむしゃくしゃするわー”

沙耶香がイライラしながら浜辺に座って缶チューハイを飲んでいると、
「あれ？沙耶香？」と声が聞こえた。
沙耶香が声のする方を振り返るとそこには

「あれ？翔太？」

酒の瓶を持った男が立っていた。
「よう！やっぱ沙耶香じゃん！久しぶり！こんなとこで会うなんて奇遇だな！」
「ほんとだよ！いつ振り？大学卒業して以来だよね？」
「そうだよな！いやー変わってないなぁ、お前！あ、横座っていい？」
「いいよー。座りな！」
翔太と呼ばれる男は嬉々として沙耶香の隣に座った。

「なんでお前ここいんの？」翔太は言った。
「彼氏と旅行ー。翔太は？」
「俺、友達が夏だけこの辺で商売してるからその手伝い。」
「あぁ、なるほど」
「てか、彼氏と旅行なのに、なんでお前一人なの？喧嘩でもしたの？」
「違うよ。風呂上がったら先に寝やがった。あり得なくない？彼女置いて寝るとか」
「へぇー、でもお前そういうの気にしないタイプじゃなかった？ヤレたらそれでいいみたいな。」
「ヤってないし、ヤったこともないし」
「はっ?!ヤってねぇの!?あのお前が!?」
「そうだよ、マジあり得ない、あの男」

沙耶香は容姿もよく、社交的で性格もはつらつとしていることもあって、男に困ることはなかった。
沙耶香が文句を言いながら酒を飲んでいると、翔太は沙耶香の方を見た。
「そしたら沙耶香、俺の部屋でする？」
「ん？」
「だってお前、耐えれんの？今の状況」
「…。」
「また前みたいに”ゆるく”行こうぜ、沙耶香」
沙耶香はトロンとした目で翔太を見つめた。そして、
「そうだね、”ゆるく”行こう」
そう言って、沙耶香は翔太の首に腕を回し、そのまま翔太の口に自分の口をつけた。

翔太はかつて、沙耶香のセフレの1人だった。

行為が終わった沙耶香は、翔太を後ろから抱きしめた。
「やっぱり翔太は歴代トップクラスで体の相性いいんだよね～。あぁ、やだ。このまま帰りたくないー」
「いや、一旦帰りな？流石に怪しまれるぜ、彼氏に。でもまぁ、俺も久々に会えて楽しかったし、またこれからもよろしくな」
「…はぁーい」
沙耶香はそういうとベッドから出て下着を付け出した。

沙耶香が部屋に戻ると、机の電気以外の電気が消えていた。おそらく奏太が一度起きてシャワーを浴び、それでも帰ってこなかった沙耶香に気を遣って、机だけ電気をつけて寝たのだろう。
「…あぁ、そういえば、スマホの充電したまま出ていったから連絡取れなかったのか」
机の上で充電された自分のスマホを見ながら、沙耶香は思った。
そして、奏太にかかった毛布をあげ、奏太に背を向けて布団に寝転んだ。
翔太のこともあり色々思うところはあるが、沙耶香は目を閉じて寝ることにした。

ある日の夜、沙耶香は大学時代の友達３人と食事をした。
「沙耶香、最近どうなの？彼」友人の１人、望が沙耶香に言った。
「ぜーんぜん。なーんの進展もない。優しくて金持ってるだけのつまんない男だわ」沙耶香は枝豆を口に放り込みながら言った。
「この間だって、泊まりで海行ったのに人が風呂入ってる間に寝てたんだよ？あり得なくない？」
「それ、あんたが風呂浸かりすぎたからじゃない？」友人の１人、加奈子がビール片手に発言すると、
「うるさい！それでも待てよ！！旅行だろ！！」と沙耶香は加奈子を指差した。
「そんでつまんなすぎて夜の海フラフラしてたら、たまたま翔太に会ってさ」
「え？翔太ってあの、”翔太”?」友人の１人、葉子が言った。
「そう。あの翔太。そんで、そのまま流れで翔太をヤった」
「は？あんた何してんの？彼氏いるのに？？」
「だって、つまんないんだもん！それに翔太、体の相性は最高にいいし」
「まぁ、あいつ”そこ”に関してだけは校内でも評価良かったからね。女癖って意味での評判は最悪だったけど…」葉子はビールを口に含んだ。
「で、まさかだけど大学時代みたいなことしないよね？もう大人なんだし、セフレ作るだの何股するだのくだらないことしないで、1人とちゃんと向き合いなさいよ」加奈子が言うと、
「……！ていうか、私の話はどうでもいいよ！ノンは？ノンは最近どうなの？」
沙耶香に望に話を振った。
話を振られた望は、ジョッキを机に置いて話を始めた。
「私？私は相変わらず大希さんと仲良くやってるよー。子どもも元気だし」
「大希さんってあれだっけ、望の高校の友達のお兄さんだっけ？」加奈子が言った。
「そうだよー。たまたま大学の時バイト先一緒で。今日も友達は大事だからって言って、子守りしてくれてるし、ほんと有難い！そういう加奈子は？和馬っちと籍入れないの？」
「そういや、加奈子んとこも長いよね？何年くらい？」葉子が話を降った。
「うーん、なんだかんだ6~7年？いやもっとか？まぁもうここまでくると彼氏っていうか家族感出てくるよね」加奈子が枝豆も食べながら言った。
「何年くらい同棲してんの？」沙耶香が言うと、加奈子は少し考えて「3~4年くらい？」と返した。
「飽きないの？ずっと近くにいて」
沙耶香のその言葉に加奈子はビールを口に含み、少し考えて口を開いた。
「まぁそりゃ、不満がないわけでもないし、ここまで長いこと付き合ってりゃ新鮮味もないし、つまらないといえばつまらないのかもしれないけど、別れたいほどの不満もないし。というか、今からまた新しく恋愛すんのダルすぎる」
「まぁそれは確かに」加奈子の言葉を聞いて葉子が少しうなづいた。
「そんなもんかなぁー、葉子は？葉子はなんかないの？」

葉子はこの３人の中では１番、沙耶香に性格が似ていた。
４人で大学時代行動することも多く、それこそ海やスキーなど遊びにもよく行っていた。葉子と沙耶香はクラブによく行き、ナンパもよくされ、その場のノリで関係を持ったり、付き合ったり、複数の異性との関わりを持つことも多い、少し派手なタイプの性格だった。

「大体、葉子はさ。私と同じタイプの会社受けんのかと持ったら、公務員て。そりゃ給料は安定してるし、その分遊びやすいといえば遊びやすいかもしれないけどさー。」
沙耶香の言葉に葉子は少し考えて、話を始めた。
「職場の先輩と付き合い始めたの。….３ヶ月前くらいに」
「はっ!?」沙耶香は驚いて葉子の顔を見た。
「えー!?いいじゃん！写真ないのー？？」望はキラキラした目で葉子の顔を見た。
葉子はカバンからコソコソとスマホを出すと画面を触り、そしてお目当てのものが見つかったのか、画面を３人に向けて見せた。
そこには、スカイツリーをバックに撮った2ショット写真だった。
「へぇー！！いいじゃん！いい人じゃーん！！」望は葉子からスマホを奪い取って画面を見つめた。加奈子は望の手にあるスマホの画面を覗き込んだ。
「優しそうな人だねー、年上？」
「うん、１個上。今年人事異動でうちの部署に来てそれで。」
葉子が少し照れ臭そうにいうと、沙耶香はチラッと立ち上がって、希の持つ画面を確認した。すると、ドスッと音を立てて椅子に座り、ビールを飲んだ。
「葉子ともあろう女がそんな面白味のないような男を選ぶのかよ！なんかがっかりした！」
３人は少し見つめ合った。
最初に口を開いたのは葉子だった。
「私もそろそろ真面目に結婚を考えたいし、それに望とか見てるとさ。そりゃ昔はイケメンとか高収入の人がいいとか思って、実際何人か関係持ってたこともあったけど。なんか心が埋まらなかったり、浮気されたり、逆に相手に見合うように背伸びしたりとかして疲れちゃって。そういうことよりもちゃんと自分のことを見てくれたりとか安心感の方が大事だなぁと思って。それに、ずっと生活するんなら、面白味ってそんなに重要じゃないんじゃない？ずっと刺激的なのは疲れるなって今は思うよ」
「そうだよ！葉子もそりゃ色々あったけど、変わったんだよ。別に沙耶香のこととやかくいう気はないけどさ、結婚意識したりするならあんまり余計なこと考えず、目の前の彼氏のことだけ見なよ！」望は葉子の言葉にうんうんと頷きながら、沙耶香へと話した。
「私のこと言うわけじゃないけど、結婚とか同棲って日常生活になるわけだし、毎日面白いわけではないよ。でも、面白くて刺激的な人はたくさんいても、自分を安心させてくれる人ってそんなに多くはないんじゃないかな？」

加奈子の言葉に沙耶香は奏太のことを考えた。
奏太は優しい。私の好きなものも買ってくれるし、私のことを１番に考えてくれる。キスしてる時や抱きしめてくれる時、大切にされているなというのが伝わるし、年月が経って忘れていたが、付き合いたての頃に横で寝たり手を繋いだりした時には幸せを感じていた。
だが、結婚となるとどうだろう。毎日同じ顔を見て、ほぼ変わり映えのない日々を一生送らないといけなくなる。

私は奏太と一生を過ごせるのだろうか。

沙耶香は、ビールを飲み干すとジョッキを机に置いた。
「いや！私は葉子みたいに職場恋愛みたいな近場で済ますようなことはしない！よし、飲み切ったし帰る！！お勘定ー！」
酔った沙耶香の言葉に、3人は少し言葉に詰まらせた。

あの旅行以降、翔太と連絡を取り合うようになり、何度か翔太を寝る機会が増えた。奏太とも念願叶ってすることはできたが、どうしても翔太や他の歴代彼氏や関係を持った人たちと比べてしまい、気持ちよさを感じることができなかった。
そんなある日の夜、奏太の家に行くと、奏太が俯いて椅子に座っていた。
少し不穏な空気が流れていたが、奏太に「沙耶香、そこ座って」と言われ、机を挟んで奏太の目の前に座った。
数秒の沈黙の後、沙耶香が耐えきれなくなり話し始めた。
「え、何？なんかあった？てか今日寒くなかった？この間管理人さんが入口綺麗にしてくれたのにまた落ち葉増えてるし、今日めっちゃ風強かったし…」
沙耶香の言葉に返すこともなく、奏太はスマホを触った。すると、沙耶香のスマホの通知音が鳴った。
沙耶香がスマホを見ると、そこにはホテルに入る沙耶香と男の写真が送られていた。

「!?」沙耶香が驚いていると、奏太が顔を上げた。
「沙耶香、これ何？君、俺以外のやつと関係あるわけ？」
「….」沙耶香は返答に困った。
奏太は言葉を続けた。
「俺と付き合ってるのに、別の人と関係持ってるとかありえないんだけど、人としてどうな訳？」
数秒の沈黙が流れた。そして

「うるさっ」

「は？」

先に言葉を発したのは沙耶香だった。
沙耶香は吹っ切れたように悪びれもなく話を始めた。
「うっさいんだけど、あんた。私に口答えする気？」
「口答えって…俺はただ人として！」
「あぁ、もういいわ！めんどくさい。あんた、ちょっと金持ってたし、私の行動に口出してこないから付き合ってやったのに、マジあり得ない。あっちも下手くそだし、もういい。萎えた。あんたみたいなつまんない男、こっちから願い下げだわ。もういい、別れる。もう二度とここ来ないから。それじゃ」
沙耶香はそのまま鞄を持って、玄関へと歩いていった。奏太は驚いて沙耶香を追いかけた。
「待って、話はまだ終わってなっ…」
沙耶香は玄関のノブに手をかけ、奏太を見た。そして

「それじゃさようなら。私後腐れない関係が好きだから、二度と連絡してこないでね」

そう言って、沙耶香は部屋を出た。そして歩きながらスマホを触った。

「あ、もしもし翔太？私ー。今暇ぁ？これから飲まない？え？彼氏？あぁさっき別れた。そうそうマジ下手くそでつまんない彼氏」

沙耶香はそうして、奏太のマンションから出ていった。

出発のベルの音で、沙耶香は目を覚ました。キョロキョロと周囲を見回すと、次が沙耶香の降りる駅であることが分かった。沙耶香はぼんやりとまた窓の外の舞う枯葉を見つめた。

あの後、翔太と付き合うことになったがすぐ別れることになった。セフレを持つようなやつは大体そういうやつだし、付き合って３ヶ月後に３股していることが分かった上、翔太はなんと既婚者だった。
奏太とは別れる前から仕事で会うことはなくなっていたので、特に何も変わることなく仕事は続けることができた。

過去を思い出していると、沙耶香のコートのポケットに入っていたスマホが震えた。沙耶香がスマホを取り出すと一枚の写真が送られていた。

「第二子無事出産しましたー！元気な男の子です！」という望からの連絡だった。
それに対し「おめでとうー！私も早く自分の子に会いたい！また和馬と遊びに行くね」と加奈子が返信をしていた。
そしてその数秒後、葉子から返信がきた。

「望、おめでとう！加奈子の赤ちゃんも早く会えるといいね！
それと私、この度彼と結婚することになりました！
また結婚式することになったらみんな呼ぶから来てね！」

葉子のこの連絡に、望と加奈子の喜びの連投が続いたため、沙耶香は通知をオフにしてスマホの画面を消した。
揺れる電車の窓から流れていく枯葉を見ながら思う。

あの時奏太を選んでいれば。
”つまらない”と切らなければ、今は変わっていたのだろうか。
結婚した友達や子どものいる友達を見ているとついそう思ってしまう。
幸せそう。
愛されていていいな。
愛されたい。
私はどうしてこうなってしまったのだろう。

あれ以来クラブなどの出会いの場に行くことも不特定多数の男と関係を持つことも辞めた。
同世代が少なくなり、ふと虚しさを感じる瞬間が増えたからだ。

「次は～」
降りる駅のアナウンスが流れた。沙耶香は荷物を担ぎ、座席を立った。

過去のことを振り返ることはあまりしないが、彼のことだけはどうしても心に残って離れない。
忘れたくてもこの時期になると思い出す。
”刺激”なんてものを求めなければ。
彼の愛に答えていれば。

こうはならなかったんじゃないかと。

電車のドアが開き、沙耶香はホームへと降りた。すると、沙耶香の視界に2個後ろのドアから奏太に似た男が電車へと乗り込んだのが入った。
沙耶香は驚いて振り返ると、ドアが閉まり、そのまま発車した。
沙耶香は少し呆然とすると、肩を落とし、改札へと向かった。

Autumn leaves

電車が揺れる中、男女が吊り革に捕まり立っていた。男は少し不思議そうな顔をしながら進行方向とは逆に顔を向けていた。
すると横にいた女が声をかけた。
「どうしたんですか？何かありました？」
女の声かけに男は顔を正面に戻した。
「いや、昔の知り合いをさっきホームで見たような気がして」
「昔の知り合い？…もしかして元カノさんだったりして」
「ハハハ。実はそうだったりして。でももう会うこともないんだ。つまらない男って言われて振られちゃったから」
「…へぇーそうなんだ。ふーん」
女は何かを考えながら、正面を見た。
「それより、愛海ちゃん。今日はありがとうね。誘ってくれて」
「へ？」
愛海と呼ばれた女は、再び男の方を見た。
「これ大変だったでしょ？取るの。本当によかったの？僕なんかと行って」
「あ、はい！大丈夫です！これ譲ってくれた友達も”行ってくれたら本望だ！”て言ってましたし、それにその…すっ好きなライブはっ…！
”好きな”人と一緒に行きたいじゃないですか！！」

愛海は少し俯き、そして何かを決心したかのように顔を勢いよく上げ男の方を見て言った。
顔は少し赤みを帯び、目はキラキラと潤んでいた。

男はそんな愛海の顔を見て、ハッと何かに気づいたような顔をした。

「あ、”Sable Inferno”？確かに。俺、インディーズの時から知ってたからね。まさかこんなに有名になるとは…。久々に聴けるの楽しみだよ！しかも今の時期だから、ヒット曲の"Christmas Love"もセトリにあったし。俺あれ好きなんだよなぁ、あれ聞くと『冬キタァ！！』て感じがしてちょっとテンション上がるんだよね。」
「….はい！私も楽しみです！奏太さんみたいな”好きな”人と一緒に聴けるの！」
愛海と奏太は互いに笑みを浮かべ、見つめあった。

電車はそんな2人を乗せて、沙耶香の降りたホームから静かに遠ざかっていった。

表紙：自身で撮影した銀杏並木
内部画像：https://pixabay.com/ja/illustrations/%E7%94%B7-%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%83%E3%83%88-%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%86%E3%83%B3-115394/　様

参考サイト：
https://foreignlang.ecc.co.jp/learn/l00070d/#:~:text=%E2%80%9Cautumn%E2%80%9D%E3%81%8C%E3%80%8C%E7%A7%8B%E3%80%8D,%E5%94%AF%E4%B8%80%E4%BD%BF%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82　様

https://www.umk.co.jp/otenki-blog/post-121.html#:~:text=%E3%80%8C%E7%A7%8B%E3%80%8D%E3%81%AF%E3%80%81%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E3%81%A7,%E3%82%92%E5%85%83%E3%80%85%E6%8C%81%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82　様