地歌歌詞 新娘道成寺 単語 4 手まり歌 前半
新娘道成寺、歌詞5分の4の
廓(くるわ)尽くしの手まり歌
というところになります。
歌の中身は、遊郭巡りになっています。
地歌「楫枕」も遊女のことを歌った内容でしたが、
遊女、遊郭はよく出てくるようですね。
歌詞
恋のわけざと 数(かぞ)へ数へりゃ
武士も道具を伏せ編笠(あみがさ)で
張りと意気地(いきじ)の吉原(よしわら)
花の都は歌で和(やわ)らぐ敷(しき)島原(しまばら)に
勤めする身は 誰(たれ)と伏見(ふしみ)の墨染(すみぞめ)
煩悩菩提(ぼんのうぼだい)の撞木町(しゅもくまち)より
難波四筋(なにわよすじ)に通(かよ)ひき辻(つじ)の
禿(かむろ)だちから室(むろ)の早咲(はやざ)き
それがほんに色(いろ)じゃ
遊郭のあった場所が太字です。たくさんあるんだな、とおもいました。
江戸=吉原
京都=島原、伏見、墨染、撞木町
大阪=難波四筋
奈良=木辻(き辻)
兵庫=室津(室 むろ)
単語や文の意味です。
● わけざと(分け里)…「わけ有る里」の意。遊里、遊郭、色里、の意をもつ。
● 道具 … 武具。特に、槍(やり)・長刀(なぎなた)・太刀・刀。
または、仏道修行を行うための道具。または、日用品。調度。
● 編笠(あみがさ)で …
編笠茶屋という、遊里で遊客に顔をかくすための編み笠を貸した茶屋、というところがあったそうです。そこにお侍さんは刀(道具)も預けた、とのことです。お金持ちが堂々と遊ぶようなイメージを持っていたので、やっぱり顔をかくすんだ、と意外に思いました。
● 張り … 自分の意志を押し通す、強い気持ち。意地。
● 意気地(いきじ)… 自分自身や他人に対する面目から、自分の意志をあくまで通そうとする気構え。
(面目(めんぼく)とは、人に合わせる顔、体面、名誉、世間からの評価。)
● 和(やわ)らぐ … 温和になる、する。穏やかになる、する。
● 敷(しき)島 … 1.崇神天皇、欽明天皇が都を置いた、大和(やまと)国磯城(しき)郡の地名。2.枕詞「しきしまの」から転じて、大和の異称。3.日本の異称。
4.「敷島の道」の略。敷島の道とは、和歌の道。歌道。
● 煩悩菩提(ぼんのうぼだい)… 大乗仏教の言葉。「煩悩即(そく)菩提」の略。
「煩悩」は心身を悩ます欲情の心の働きの意。 「菩提」は一切の迷いのない悟りに至る境地の意。
悟りの障害となる煩悩も、悟りにつながるきっかけとなる、という意。
また、迷いがあって初めて悟りもあるという意。
● 撞木町(しゅもくまち) … 有名な遊郭。撞木町は実際の町の名前ではなく、まちの形がT字形で、鐘をたたく仏具の撞木も T 字形だったので、そのようによばれた。
● 難波四筋(なにわよすじ) … 大阪の新町。周囲を塀に囲まれた遊郭があった。その中の通りのことだそうです。
私は御堂筋とかのことかと思いましたが違いました。
● 通(かよ)ひ … 男が女の所へ通う。
● 辻(つじ) … 十字路。四つ角。
● 禿(かむろ) … 遊女に使われる少女。
太夫(たゆう)、天神など上位の遊女に仕えて、
その見習いをする六、七歳から一三、四歳ぐらいまでの少女。かぶろっこ。
● 禿(かむろ)だち … 遊女になる前のみならい期間のこと。
● 室(むろ) … 室津という兵庫の遊郭。
● 室(むろ)の早咲(はやざ)き … 兵庫の室津の早咲きで有名な梅の花
● 色(いろ)じゃ … 華やかさ、華美の意。
● それがほんに色(いろ)じゃ … 室津の早咲きの梅の花の色づくように、魅力的な遊女になる、というようにおくわしい方は訳されていました。
訳してみたもの
遊郭は恋の訳ありの里だよ。
どんな所か一つ一つ数え上げていくと、
お侍さんだって、刀をはずして顔も編笠で隠すだろ。
自分の意地を押し通すのが吉原だけど、
花の都、京の島原にあっては、
和歌を詠むような穏やかさが持ち味さ。
だから、伏見や墨染の遊女たちも
自分が誰かとかそんな事は伏せているものなのさ。
撞木町といえば、遊廓なのに、
名前は寺の鐘を鳴らす撞木の名がついているよ。
それこそ、煩悩すなわち悟りに通ずだね。
撞木町から
大阪新町の遊郭に通った道、
その道の十字路に、
見習い期間の禿(かむろ)から遊女になったばかりの娘を見かけたよ。
兵庫の室津の早咲きで有名な梅の花のように
本当に華やかだったよ。
むずかしいですわ。
いろいろおくわしい方のブログなどを参考にさせてもらって、やっと意味がわかるのだなと感謝します。
歌詞単語、手まり歌後半はこちらです↓
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