地歌歌詞 新娘道成寺 単語 2 仏教用語パート 後半
歌詞 (仏教用語のパートの後半になります)
入相(いりあい)は
寂滅為楽(じゃくめついらく)と響けども
聞いて驚(おどろ)く人もなし
我(われ)も五障(ごしょう)の雲(くも)はれて
真如(しんにょ)の月を 眺(なが)め 明(あか)さん
単語
● 入相(いりあい)… 日が山の端に入る頃、日の暮れる頃、たそがれ時、夕暮れ。
入相の鐘は、日暮れ時に寺でつく鐘。また、その音。晩鐘。
● 寂滅為楽(じゃくめついらく)…仏語。
涅槃 (ねはん) の境地に至って、初めて真の安楽を得ることができるということ。
● 驚(おどろ)く … 1 . 意外なことに出くわしびっくりする。
2. はっと気がつく。3. 目が覚める。
この歌詞のもととなった、能「三井寺」のセリフの中に、煩悩の夢の眠りから覚める、というところがあり、3.の意味かと思われました。
聞いて驚(おどろ)く人もなし、を訳す時に役立った能三井寺のセリフについてはこちらです↓
● 五障(ごしょう)… 仏語。
女性は修行しても、梵天王(ぼんてんのう)・帝釈天(たいしゃくてん)・魔王・転輪聖王(てんりんじょうおう)・仏、にはなれないというもの。
五礙(ごげ)。五つの障(さわ)り。
● 真如(しんにょ)…仏語。ありのままの姿。万物の本体としての、永久不変の真理。
● 真如(しんにょ)の月 … 明月の光が闇を照らすように、真理が人の迷妄を破ること。煩悩が解け去って、あらわれてくる心の本体を月にたとえた語。転じて、一片の雲もない明月。
この歌詞の元となる、能「三井寺」の、この場面は旧暦8月15日、中秋の名月で、その月が出ている中で語られているようです。
訳してみたもの
夕暮れに響く鐘の音は、悟りの境地に至り、初めて真の安楽を得ることができると、伝えます。
ではありますが、百八の煩悩の迷いの眠りから覚めることはありません。
女性にはさとりへの五つの障害があるといいますが、龍宮からもらい受けたというこの鐘、そして龍女が成仏できたという話に私もあやかって、(この鐘をついて)真理が心の迷妄を破り、今日の月のように曇りのない心になりたいのです。
太字部分は、曲の成り立ちについて解説されていたいくつかのページを参考にさせてもらって、こんな訳かなと思ってつけくわえました。
その、
我(われ)も五障(ごしょう)の雲(くも)はれて真如(しんにょ)の月を 眺(なが)め 明(あか)さん
の歌詞の背景になることがらについてはこちらです ↓
歌詞5分の2、仏教用語満載のパート後半でした。
つぎは、遊女のパートの単語意味・訳になります。
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