おかえりなさい
一昨日、とても嬉しいことがありました。
1年ぶりにレッスンに復帰されるMさん。昨春の外出自粛期間の最中にご家族の介護が発生して、そのままお休みされていました。
ピアノを優しく拭きながらお約束の午後2時を待ちます。
「こんにちは~」
あれ?
声ハモってる?
そーっと仕事部屋のドアを開けると、マスク越しにもわかるニッコニコ顔のMさんと、なんとTさんも立っています!
まあ!!ようこそ!!!
嬉しすぎて顔が崩壊してしまいながら急いでスリッパをもう一人分揃えました。
私を驚かせるために内緒にしていたに違いありません。もう!
Tさんとも昨年3月末以来の再会です。
この1年やはりいろいろなことを乗り越えてこられました。
お二人は若い頃からのお友だちで、ピアノはどちらが先に来られたかもう私も忘れてしまったくらいでごめんなさい。ここには還暦すぎぐらいから長~く来てくださっています。
昨年5月の発表会は残念ながら中止にしてしまいましたが、3月までは発表会に向けてお二人で連弾の練習を頑張っておられました。
1年ぶりの今回まだ1回も合わせてなくて、と、どうなることやらで合わせ始めました。ひとりが止まっては待ち、今度はこちらが止まって待ち、さらに二人とも分からなくなって最初に戻り、と、久々に聞く気持ちの良い笑い声とともに、ああだこうだ、すったもんだしながらなんとか最後まで辿り着くまでの長い長い時間。
なんてしあわせな光景でしょう。
またこんな日が来るなんて。
どなたでもそうですが、シニアの方々はことさら、時にご自分やご家族の健康のことなどで趣味のレッスンの中断を受け入れざるをえないことがあります。
どのように過ごしておられるか時々思いを馳せながらも、時折「教室だより」の印刷物を散歩がてらに家々のポストにそっとお届けすることぐらいしかできないでおりました。
光に満ちた春がきて、こうしてまた二人して音楽を奏でておられる。窓のすぐ外には芽がぷっくりと膨らんだジューンベリーの木。鳥も見に来てまた飛び去っていく。
変わらないそれぞれのキャラクター。その人がその人で居ることは本当にパワフルで最高に優しくて。
時間が終わる頃には合わせの勘も少しずつ戻ってきました。さすが長年コンビを組んでいるお二人です。
次回のお約束をして仲良く車に乗り込んで帰られました。
本当に嬉しい日でした。