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苦くて甘いウイスキーコーク


「今度、みんなで飲み会しようぜ!」

幼稚園の頃から一緒のショウゴが言う。

「えぇ…私らまだ高校だよ」

「なんだよ、もう高校二年だぜ、酒ぐらい飲めるだろ。ツヨシも呼ぼうぜ。」

「でも…お父さんにバレたら」

「バレねぇよ。大丈夫だって、なんだよビビってるのか?」

「びびってないし!じゃあ私、お爺ちゃんのビールもっていくよ!」

「へへ…バレないって大丈夫だって、タバコ吸おうぜ。蜜柑も吸えよ。」

「私はいい…なんか、いい…やめとく」

「なんだよ、まだガキだな」

「だって煙いんだもん、」



「おう、ツヨシ、お前なに買ってきたんだ?」

「そりゃ、ポテトチップスだろ。アーモンドチョコレートだろ、スルメイカあと割り用のコーラ。」

「ショウゴ、お前、ちゃんと酒買ってきたのかよ。後、氷は?」

「当たり前だろ、準備万全だぜ」

「それにしても、お前良く買えたな。なにか言われなかったのか?」

「全然、余裕のよっちゃん」

「良く買えたな。なにも言われなかったのか?」

「藤原商店のばぁさんの所だよ。普通に親父のお使いって言ったら一発よ。蜜柑はなに持ってきた?」

「私は…おじぃちゃんの晩酌ようのビール。」

「なんだよ。家の冷蔵庫からパクってきただけかよ」

「別にいいじゃん!ほらファンタも持ってきたし」

「よし!それじゃ、飲み会の始まり始まり〜」



「ショウゴとツヨシはビール飲めるの?」

「俺はパス、苦いし不味い。ショウゴは?」

「当たり前だろ。もうガキじゃねえんだから」

「ふーん。さっきから全然口つけてないじゃん」

「いいんだよ!それよりウイスキー開けようぜ。なんかカッコイイだろ。あい、だぶる、はーぱーってよ」

「で?どうやって飲むん?」

「そりゃ、男ならストレートだろ。みとけよ、俺がお手本を見せてやるよ」

「うぇーなんだこれ、不味い。なんか喉熱いし、胃までヒリヒリする。」

「お前、イッキするやつがあるか、テレビとかでもチビチビ飲んでるだろ。まぁいいや、ジュースで割ろうぜ。蜜柑はどうする?」

「うーん。じゃ、コーラで」

「俺はファンタにしようかな。ショウゴ、お前は?」

「とりあえず水でいいや」

「なんだよ、お前が言い出しっぺだろ。かっこわる〜」

「うるさい、ペース配分ってのがらあるだろ。休憩だよ、休憩。」

「へーへー」



「なんか消毒液の味がする。」

「まあ、酒だからな。なんか眠くなってきた」

「おいおい、ツヨシまだ2杯目だせ。大丈夫かよ」

「お前だって、さっきのウイスキーにコーラ入れてから、全然飲んでねぇじゃねかよ」

「っお前が酒入れ過ぎなんだよ、コーラの味、ちょっとしかしないじゃねぇかよ」

「ふたりとめ、だいじょぶ?なんか私気持ち悪い、はきそ」

「まてまて、蜜柑、そこで、吐くなよトイレいけよな。あーもうゴミ箱でいいから。もうはけ!」



「頭痛い。気持ちわるい。」

ちょっと遅く家に帰って、(たぶんショウゴが送ってくれたハズ)そのまま寝た。

お母さんが何か言ってたけど寝た。

翌日、おじぃちゃんがビールの本数が減ってるって騒いでた。

すごいドキドキしたけどお母さんが「私が飲んだ」って事が治まった。

夕方、お母さんに、

「お父さんには内緒にしておくから、次は外でお酒飲んだらダメよ。飲みたいならお母さんの前で飲みなさい」って怒られた。

お母さん、ありがとう。こんな頭痛くて気持ち悪いなら二度とお酒は飲まないから安心して。

ショウゴとツヨシは私を誘った事と高校生の分際でお酒を飲んだのがバレて、こっぴどく怒られたみたい。

後で、ショウゴとツヨシのお母さんが謝りにきてた。うちお母さんは逆にごめんって言いながら笑ってた。


バラしたのは藤原商店のおばぁちゃんだった。





夏休みに入って

ショウゴが原付の免許を取った、少し遅れてツヨシも取った。

私も取りたかったけど、お父さんから猛反対されて我慢した。


「蜜柑、今度、三人でツーリング行こぜ」

「良いけど。私免許ないし…」

「大丈夫だよ。俺のケツに乗せてやるよ。」

「えー原付バイクて二人乗りダメじゃないの?」 

「バレなきゃいいんだよ!絶対大丈夫」 

それに乗る私もどうかと思ったけど、バイクには興味あったら付いていった。

国道58号線を真っ直ぐ北向けに走った。

30分もたたずに白バイに止められた。

あぁどうしょう。学校にバレたら、親にバレたら、進路は、お父さん怖い…

思わず泣いてしまった。

ショウゴが、

「俺が無理矢理乗せました。コイツは関係ないです。」

って。言って白バイのおじさんは笑ってた。

後から聞いたら、運転者が罰金と原点?で後ろの人は関係ないみたい。

ツヨシも、ヘルメット違反?で同じ捕まって。

三人にで来た道をバイク押して帰った。

家に帰る頃には日焼けして、お兄ちゃんにしこたま笑われた。

さすがに、お父さんにもバレて、すんごい怒られた。ちょっと凹んだ。

ショウゴとツヨシは通学にもバイク使ってて、信号待ちで生徒指導の川満先生と目があって、一発停学くらってた。


バレンタインデーの頃、

私は好きな先輩がいて、どうしてもチョコを渡したかったけど。渡せなくて…

ショウゴが、今日渡さないと後悔するだろ!って原付の後ろに乗せてもらって先輩の家に行ったけど。

「好きな人がいるから」

って、チョコ受け取って貰えなかった。

帰り道、「今度は掴まらないように」って脇道を通った。途中、土砂降りの雨が降ってきて二人びっしゃびしゃに濡れて、さっきまで絶望してたのになんだか笑えてきて、このまま時間が止まればずっと楽しいのに…本気で思ってた。



高校を卒業する頃

私は大学へ

ショウゴは就職

ツヨシは内地の専門学校に行く事になった。

今まで、一緒にバカするのが当たり前だったから、普通の日常に馴染めなくて…

大学2年まではただ講義を受けて帰るだけのつまらない日々だった。その時、ゼミで知り合った彼と卒業まで付き合ったけど。就職で揉めて別れた。

大学を卒業して…


ツヨシが沖縄に帰ってくるっていうので、久しぶりに三人であった。

みんな歳を取った、ショウゴは三人のパパ今度四人目が生まれるらしい。ツヨシは税務署に就職したって、感謝される仕事じゃないから辞める人も多いって。


「なあ、ツヨシ、蜜柑、高校の頃、三人で飲み会したの覚えてるか?あの時、俺ら大人ぶって酒なんかのんでさ。絶対バレないようにしてたのに、バレバレだった奴、今となっては大笑いだよな」

「だからな、大人からしたら、自分達も通った道。隠そうとすれば、するほどわかりやすい。」

「ツヨシはあの時、すぐ寝ちゃってね。」

「蜜柑だって、ゲロ吐いてただろ!」

「いい思い出だよな」

「原チャリで捕まったり」

「台風って日に2ケツしたり」

「若かったね〜」

「今は無理だな」

「だな」

「もう大人だからね」

「今だから言うけど、あの頃、俺とツヨシで誰が蜜柑と付き合うか話してたんだぜ」

「まじ?」

「マジマジ、大マジ、飲み会で蜜柑潰してパンツ見てやろうって話してた」

「さいてー」

「結果、みんな潰れたけどな」

「良かった、先に吐いて」

「あれはないわ、目の前でゲロったら萎えるわ」

「うるせー乙女の純情だ」

「よし、そろそろ帰るわ、俺明日の朝の便で帰らないと行けないからよ」

「そっか、俺もぼちぼち帰らないと母ちゃんに怒られるからな。解散すっか」

「そうだね」

「じゃ、また帰ってきたら飲もうね」

「おう!」

「ツヨシ、内地は厳しいと思うけど無理しないでね。ショウゴもお父さんなんだから昔みたいに無茶したらダメだよ。」

「おう、蜜柑もな。今夜、ワンチャンあるかと思ったけどな」

「残念、鉄のパンツ履いてるから無理だね」

「こんどな、いっぱつ…」

「奥さんにLINEしとくね」

「ないかー」

「そう言えば二人ともタバコ辞めたんだ」

「もう親父だからな」

「時代はえすでぃーじーずよ」

「そっか、そっか」

「じゃ、またね…」

「おう、蜜柑も元気でな」




「酔った振りしながら

キッスのチャンスを…

さがしたのは本気だったからさ」


etc.






おわり。


フィクションです。

#酔いながら書きました