井の中の蛙になる暇がなかった者からの大海を知るススメ
2021年6月から毎週課題を提出している、天狼院書店のライティングゼミ。
全16回の課題提出も、15回目となりました。
課題は2000文字前後の記事。正確には1800文字以上3000未満。
それをフィードバック担当スタッフが読んで「WEB掲載レベル」と判断されたら、メディアグランプリという天狼院書店のサイト内に掲載されます。
今までに私が掲載されたのは、14回提出して4回。
そして15回目の結果が、〆切翌日の火曜日にわかりました。
結果は……
不合格、でした。
理由は「上から目線」ととられるリスクがあるため、とのことでした。
でも説得力はあるとの言葉はいただきました。
そんな記事ですが、お読みいただけたら嬉しいです。
※note転載にあたり
「井の中の蛙になる暇がなかった者から大海を知るススメ」を
「井の中の蛙になる暇がなかった者からの大海を知るススメ」に変更
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井の中の蛙になる暇がなかった者からの大海を知るススメ
40社。
これは現在55歳のわたしが過去28年間に仕事した会社の数である。うち6社がアルバイト、他はすべて派遣、もしくは契約社員だ。短期派遣が多いのは自覚していたが、改めて数えてみてその多さに自分でも驚いた。
短期が多くなった理由はいくつかある。大元はわたしに計画的な人生設計が無かったこと。あとは年齢があがるほど長期の派遣は採用されにくく、ましてや正社員は望むべくもないので早々に諦めたこと。なにより生活のため、とにかく仕事にありつきたかったことがあげられる。短期だと二桁の複数名募集も時々あるので、年齢が高くても比較的採用されやすいのだ。
様々な会社に派遣されることは、様々な会社の仕事のやり方を知ることでもある。
わたしはコールセンター経験が長い。業種は様々だが最長で1か所に4年弱、通算ならテレアポなど営業系も含めれば約15年だ。きちんとしたコールセンターでは個人情報保護について必ず教育される。FAXをお客様に送る時は、誤送信を防ぐためにリーダーがダブルチェックをするし、お客様情報をメモした紙はその日のうちにシュレッダーが鉄則だ。どんな小さなメモでもゴミ箱に捨てることなどありえない。
しかし、とある保険会社で短期の事務をした時、そこの社員がお客様から届いた申込書のコピーをゴミ箱に捨てていた。個人情報満載の紙である。わたしは驚いて拾い上げ、不要な書類と確認してシュレッダーにかけた。さらにその会社では、十数件あるFAX送信先の短縮番号設定をわたし一人に任された。後で社員がチェックするとも言われなかった。万一設定を間違ったらとんでもないことになる、という危機感が全く感じられないことにまた驚いた。だから設定後にわたしのほうから「念のため」と社員にチェックをお願いした。
新規申込書原本の管理も杜撰だった。ファイリングのルールが曖昧で、これでは内容確認のために必要になった時に探し出せないだろうと感じた。なぜかというと、以前クレジットカードの事務センターに勤めた経験があったからだ。
そのセンターでの仕事のひとつに、申込書原本を探すことがあった。「申込んで暫く経ったが何も連絡が無い。どうなってるのか?」と問合せが入った時に依頼される。そうしたらあちこちの部署にあるファイリング用ロッカーを開き、たった一枚の申込書を探す。そのカード会社ではファイリングのルールが細かく決められていた。メジャーな会社なので新規申込は多かったが、ルールが守られている為だいたいは見つかった。見つからないこともあるにはあるが、数は少なかった。
そういった、あとで起こり得る問題を予測して作られたと思われる、気配りされた管理体制が前述の保険会社には無く、社員は気にもしていなかった。その会社は当時支払い漏れ等のトラブルが取り沙汰されていて合併も多かったのだが、中で仕事をして「さもありなん」と感じた。
「ひとつの会社しか知らない」ことの弊害が、ここにある。
同じ会社に長く勤めた人を優秀で信頼できる人と評価するのが世間一般の常識だし、それを否定するつもりは毛頭ない。しかしすべてがそうだとは限らないとも思うのだ。
「井の中の蛙、大海を知らず」のことわざの通り、ひとつの会社でしか働いたことがないのは他の世界を知らないとも言える。それでは新しい発想も問題意識も出てこない。たまにはあえて、大海を知りに井戸を出てもいいのではないだろうか。
いくつかの会社で働くメリットは、別のやり方がわかるというだけではない。
例えばわたしはOfficeソフトのエクセルが好きなのだが、面白さを教えてくれたのも、実践の経験を積めたのも、全て短期派遣で勤めた「別々の」会社だった。
A社ではあらかじめ社員が作ったマクロシートを使って大量のデータを整えた。そこでエクセルの便利さと面白さを知ったが、派遣に知識は不要だった。
B社ではアンケート集計表をゼロから作って欲しいと言われて驚いた。社員を頼ることはできなかったが色々調べてひとりで作り上げ、ツール作りの大変さを「楽しい」と感じる自分を発見した。
C社では今までのエクセルの知識全てを使い、関数と記録マクロで自分の業務の時短ツールを作った。それにより時間が余ったため忙しい社員を手伝うこともできた。しかし依頼されてもいないツールを作れたのは、与えられた時間に元々余裕があったためであり、さらにその会社が他人の仕事に干渉しない雰囲気だったからできたことだ。
それぞれの会社だけで仕事していたら、こんなに段階を踏んでエクセルを使う経験は、出来なかったかもしれない。
ひとつの会社で真面目に勤め、ある程度貢献もしたならば。
あるいは今の会社に違和感を覚え、悩みが出てきたのならば。
別の景色を見る為に、新しい空気を吸うために、会社を変えることを選択肢のひとつにするのをおススメしたい。
そうは言っても今はコロナ禍、転職は慎重にならざるを得ないだろう。
だからせめて、色々な会社を経験したいと考えるのは決して無駄にはならない前向きな判断だということを、頭の片隅に置いておいてほしいと思う。
とはいえ28年間で40社は、さすがに自分でも笑っちゃうほど多過ぎますけどね。
≪終わり≫
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最後までお読みいただきありがとうございました。
正直「自分の恥」を晒した記事でした。
人生設計もなく、55歳までこんな働き方で生きてきたことをおおっぴらにするなんて、と思いました。
実際これだけあると、履歴書も職務経歴書もどう書いたらいいかわかりませんし、採用されるとも思えません。
(いま受講している職業訓練で、そういう場合の書き方を教わることができとても参考になりました)
けれど55歳という年齢が「ま、いっか」と思わせました。
それがわたしの人生だったのは事実ですし、逆にこんな経験をした人はそうそう居ないだろうから、書く意味があるんじゃないかなと。
たぶん40代だったらこうは思えなかったでしょう。
恥をさらけ出したのに「上から目線と思われるリスクがある」のが不思議でした。でも自分が思いもかけないところで、違った印象を持たれる可能性があるのは理解できます。だから「炎上」があるんですよね。
そうなるリスクを持った記事をメディアグランプリに載せられないのは、まぁ当然です。
上に書いたような「恥と思ってる」ことをそのまま書いて自分を低くするところから書けば、上から目線の記事にはならなかったのかなぁ。
さて、次はラスト16回目。
元々決めていたネタは、ライティングゼミのことについてです。
WEB掲載されなくてもいいから思っていることをそのまま書くか、
掲載されるように考えて考えて、思っていることが通じるように書くか、
どうしても批判的になるのはわかっているので、他のネタにするか、
今回の記事を修正して提出するか、
あ~~~~ドゥシヨゥ<(ll゚Д゚)>
そんな思いなので祝日も落ち着きません(^_^;)
またお読みいただけたら嬉しいです。実里でした。