一生歌ってる 『シェルブールの雨傘』
やっほー、おしゃれ映画垢🎬です
今回は無性に『シェルブールの雨傘』が観たくなったので久しぶりに観ました。
それではあらすじと感想を書いていきます(><)
シェルブールの雨傘
あらすじ
フランス北西部の港町。
シェルブールの傘屋の娘ジュヌヴィエーヴは自動車整備士のギイと結婚を誓い合っていた。
しかしギイは兵役のためにアルジェリア戦争へ行くことになる。
彼女はギイとの子を妊娠していたが、時が過ぎても彼からの連絡は途絶えたまま。
とうとうジュヌヴィエーヴは別の裕福な男性との結婚を選ぶことに。
感想
全編歌だけの完全ミュージカル映画。
監督はジャック・ドゥミ。本作の他には『ロシュフォールの恋人たち』などが有名。
主演にはフランスの女優、カトリーヌ・ドヌーヴ。
第17回カンヌ国際映画祭ではパルム・ドールを受賞している。
ミュージカルだけれどほとんど踊ったりはしないというかなり異端な作品。
すべてのセリフが歌という実験的な作品であり、歌はプロの歌手が吹き替えている。
素のセリフの存在が無く、常に誰かが歌っているため少し慣れが必要だと感じた。
本編は恋人の旅立ち、恋人の不在、元恋人の帰還と、3つのパートに分けて心情をわかり易く描かれており、全編歌のみで構成されている所を上手く補っている。
本作の売りはやはり画と音楽だろう。
冒頭から画面いっぱいに広がる鮮やかな色彩演出と美しい音楽には一気に惹き込まれた。
ただ鮮やかな色使いなのではなく、登場人物の心情を表すファッションなど、ひとつとして余計なものがない完璧な色彩設計には監督の美に対する強いこだわりを感じた。
例えば上の画像の壁紙。
ピンクピンクしい中に補色の黄緑、下の方の壁にはグレーが使われており、これによって画面が一気にまとまっている。
そして服には濃いめのピンク、髪のリボンには赤と同色を組み合わせることによってピンクの良さがより引き立てられている。
音楽も本当に素晴らしい。
ミシェル・ルグラン作曲のテーマ曲は本作中繰り返し使われている。
画面とは違い鮮やかなものではなく、美しい弦楽器のメロディーがしんみりとさせてくれる。
ラストの転調部分のドラマチックな美しさと言ったらもう。言語化不可能。
まとめ
時代によって引き裂かれた2人の切なくも美しい物語。
これぞフランス流の純愛青春映画。
鮮やかな色彩も徐々に色を抜かれ、ラストには雪と夜のモノトーンに終着している。
それとは反対に前半抑え目なテーマ曲は徐々に盛り上がりを見せ、終盤では転調を迎え、ラストシーンをドラマチックに仕立て上げている。
哀しいハッピーエンドという言葉がいちばんしっくりくるであろう冬の映画。
シェルブールの雨傘 (1963)
91分 フランス