優しさと強さと

ヒトの始まりって「丸」なんだって、あの日、処置室のモニターでアナタの姿を見た時思った。

すごいスピードで細胞分裂を繰り返して、どんどんどんどん、それは「人」になっていく。

最初はお腹だって何にも変化がなくて、ほんとにここにアナタがいるのか不思議だったけど、毎日続く二日酔に似た症状や、猛烈に襲ってくる眠気、いろんなアナタからのサインを感じては嬉しくなった。

家でも外でも、いつだってお腹に話しかけていたし、きっと周りから見たら「変な人」だったと思う。

だけど、もう世界が「アナタと私」だけだった。

私が食べたもので大きくなるからと、通信で食育を勉強してみたり、胎教に良いからと、モーツァルトを聴いてみたり···。

まだ見ぬアナタに想いをはせながら、自分に出来ることを探す毎日が本当に幸せだった。

···あの日々からあっとゆうまの17年。

「涙」は「優しさ」に。

「悲しみ」は「強さ」に変わりました。

もうすぐまたやって来る、私にとって大切な日。

近況を伝えにいくから、待っていてね。