page 78 Story of 美月 9/14
晃 「ああああの…、
もし心臓が強いようだったら全部みせるわ」
私は硬直したままゆっくり頷いた。
連写された写真は、追って行くと永遠君が私を引き寄せて抱きしめて、額にキスする所まで全て納められていた。
画像を見ただけなのにみるみる顔が熱くなってくのが自分でも分かった。
美月「ごめんなさい。私がうかつに助手席に…」
晃 「いえいえ、いやいや、違う違う!これはどー見ても、どー見ても、うちの永遠の軽率な行動
アーンド、浮かれモードのせいよ!」
美月「…、」
晃「違う違う、私はこれを見せたくてここへ来た訳じゃなくて本題はここからなの…」
晃社長は見せてくれた携帯をコトリと置いた。
晃「この画像のデータを持って、ある雑誌社が脅しに来てね…、で、私咄嗟に思いつきで嘘ついちゃったの。“発表してないけど、この娘はもうじきanswerのメンバーに加わる子だからスクープを載せないで欲しい”って。
でも代わりにメンバーに加わる事に決まったら1番に情報を流すからって…。そしたらあのヤロー!」
晃社長は怒りを露わにする言い方に変わった。
晃「もうすぐメンバーになる娘が居るって情報を流しやがってくれちゃってね!、それでこんな騒ぎになってしまったって、そういう話なのよ。だから美月さんに謝りに来たの。私の咄嗟な嘘がこんな事に・・・」
天窓から見える空はいつの間にか晴れて、明るい月の光が差してきた。
晃「けどね、あの5人の音楽が、とっても魅力的だったのよね。
だから…今日はあなたに伝えに来たの。
ねぇ、あなたの音楽、あの4人とコラボしてみない?」
結構物凄いオファーなのに、晃社長は「ちょっと私とイタリアン食べに行かない?」くらいの勢いでそう言った。
美月「すごく…あっさり…おっしゃいますね」
晃 「えー♡ありがとう♡それが私の長所なの!」
美月「コラボしてみない?…って、そんな軽く言いますけど…」
晃 「うーん…、軽くするか、重〜くするかは美月ちゃんにかかってるのよねー♡」
美月「おお…そう来ますか」
晃 「え、物事って大概そういうものよ♡」
私に来たこの“新しい未来”は私次第だ。軽くするか重くするかも…私次第と…。
それなら…
美月「今、お返事してもいいですか?」
晃 「え!、ちょ、ちょ、ちょっと待って!」
だってこれは明らかに旬さんがくれた、最後の手紙のメッセージの1カケラ。それをどうするかは私の選択だ。
晃「ちゃんと考えた?、もっ、もし時間かけた方が良かったらそれでもいいから…」
美月「私、もう自分の本音で生きるって決めたんです」
晃 「それ、素敵‼︎、OK、分かった。
ちょっと携帯の着信オフにして集中するから待ってね!」
そう言って晃社長は携帯に触れて、コトリと置いた。
晃「よし、OK!、それじゃ美月ちゃん、返事を聞かせて!あなたはanswerの新メンバーとして活動しますか?」
美月「私、……、やってみたいです!宜しくお願いします」
晃 「ホント? ホントに?!きゃーーーーー♡♡♡!ブラボー♡♡♡よく決心してくれたわね♡♡♡ありがとう♡嬉しいわ♡!んもう、
最高!」
晃社長があまりに大きな声で喜んでくれたので、
パーテーションの外が気になって、思わず辺りを見回してしまった。