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page 74 Story of 永遠 9/9
パラ…
社長はロココ調の猫足のテーブルに写真を叩き置いて、くるっと俺に背中を向けた体制になった。
永遠「 え!、こっ、この写真!」
晃 「それ、美月さんでしょ?」
数枚に渡って連写された写真…
それは車の中で、俺が美月ちゃんを抱きしめたあの日の写真だった。
永遠「撮られて…」
晃 「変に素人じゃなくて、雑誌社だったから逆に取引きがしやすくて良かったわ。
もうこの件については肩がついたから安心して。けど、嘘ついちゃった」
永遠「嘘?」
社長は体制を変えて俺の顔をしっかり見た。
晃 「この女性は、もうじきanswerのメンバーになる子だからそっとしといて欲しい。
この子がメンバーになった暁には、1番に情報回すからって約束でデータを消してもらった」
永遠「本当に軽率な俺の行動で…」
晃 「うちは別に恋愛禁止を歌ってないし、answerはアイドルグループじゃないって、もうずっと何度も言ってるじゃない」
永遠「…、」
晃 「この子と恋愛関係なの?」
永遠「いや…まだ…俺の一方的な…なんつーか」
晃 「おでこにチューとかしちゃってんのに?」
永遠「ゴホッゴホッ、」
晃 「え、早いとこモノにしなさい」
永遠「は?、」
驚き過ぎて、俯いてた顔を社長に向けた。
晃 「美月さん、あの有名な今は亡き写真家青井旬のパートナーでしょ?その経緯、ネットで知ったわ。
世間って、酷いなぁって思うくらい“常識”を前に出した“ただの嫉妬”って…私には取れた。
永遠との事が明るみに出たら、もっと辛いバッシングに遭うのは簡単に想像つくでしょ?」
永遠「…、」
晃 「あーーー、違う違う!、
永遠を攻めてる訳じゃないの。
私の言いたいのはね…“ 彼女のかくれんぼはもう終わり”って事。
出る杭はね、どうしても打たれる。
出過ぎちゃった杭になったら誰〜も打てないのよね−」
永遠「それで美月先生をanswerにって…?」
つまり、隠れてないで表に出て、
彼女の足でしっかり立つ立場になれって?
晃 「えー違う 違ーう♡あの5人のアレンジに惚れちゃっただけ♡
あれ、本っ当いい!原曲よりいい♡みんなに届けたい位いい♡最高♡」
そう言って社長は再び動画を流した。
中谷に頼まなくても自分で操作出来るんじゃ…
♪
晃 「もー本っ当にパワーに溢れてる。誰に媚びる訳でもなく皆んながナチュラル。みんな違うのが逆に一体感。ここには本物の調和が有る。
令和はこのスタンスで行く時代よ。
色々有るのは、ただのプロセスで…
それって“革命”なのよね」
そう言ってフランス革命のジャンヌダルクのようなポーズを取った。
永遠「ははっ、衣装バッチリっすね」
晃 「永遠、革命起こしなさい。道はあなたの通った後に出来るのよ。私が伝えたかったのはそれだけ」
あの日の“answer”が流れてる。
動画の中の俺と美月ちゃんのくったくの無い笑顔がエンドレスで幸せを歌ってた。