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私がどんなに辛くても辞めなかった理由は、ただ単純に「美容師です」と言い続けたかったから。
高校卒業後、美容専門学校へ行き2年後に晴れて?美容師になりましたが、当時の私は美容師になる予定は全くなくて。。。
その頃、良く使われていた『カリスマ美容師』という言葉。
みんなが憧れる青山や表参道の有名美容室にも興味なし!
就職活動は一切していませんでした。
でも、先生の「せっかく取った国家資格、いつだって辞められるから1度は容師やるといいよ。」と言う一言で、卒業間際にあっさり就職を決めました。
なんて単純なんだろう。
たまに、学校に遊びにいくと「1番最初に美容師辞めると思ってた」と今でも言われます。私もそう思っていました。笑
嫌になったら、いつでも辞めれるんだ。と言うゆるいスタンスの私、憧れてなりたくてなった周りとの温度差を感じながら働いていました。
現実とのギャップがありすぎて辞めて行く人が多いこの業界。
一見、派手に見えますが実際は長い下積み時代を耐える忍耐力が必要な仕事です。
昔ながらの体育会系タテ社会だとおもっています。(あくまで私の働いてきたお店の話です、誤解を招くといけないので、、、今はそうじゃないお店もたくさんありますよ!)
初任給は手取り12万も無かったと思う。
美容師とは最初から「こんなもんだろう」と冷めていたからなのか、そこまでびっくりしなかった。
就職が決まった後にお店のオーナーから少しの間、給料を1万円マイナススタートにして欲しい。と言われた。
全然良くないけど、就職してしまったから文句も言わなかった。
そこから店が潰れるまでの数年間1度も給料が上がる事はなかったし、最後の数ヶ月は給料日にお金が振り込まれないと言うありえない事件にも発展した。
もう、この時点で退職金がどうのこうのと言う話には到底ならない。
最初18人程いたスタッフはどんどん辞めて最後は5人だった。
店長殴って辞めた同期、急に音信不通になった先輩、、、一筆書いて翌日から来ない人もいた。
憧れだけでは続かない世界。
その後の店も有給、ボーナスはもちろん無し。給料は変わらないのに立場だけが上がっていく。
27歳になっても実家暮らし。
休みが少なく不規則な生活が続きストレスで太ったり、痩せたり忙しいし、白髪が増え、生理も止まるし、タバコもお酒もやめられない。
体はガタガタ、おまけに貧乏。笑
体力的にも精神的にも辛かったと思うんだけど1回も辞めたいと言い出さなかった。
「いつだって辞められる」
私を10年間、がむしゃらに突き動かしていたのはあの時の先生の言葉と、単純に「仕事は何ですか?」と聞かれた時に「美容師です」と言い続けたかった。
ただそれだけ。
私の少し変なプライド。
移り変わりが激しいあの街で過ごした数年間はおもちゃ箱みたいで毎日がキラキラで、ふざけていて、眩しくて、泡のように一瞬で壊れてしまった。
毎日が最速で終わり、1日が24時間じゃ足りない。
遊びと仕事の線引きが出来ないくらい、あんなにも目まぐるしかった時間はもう2度と来ないけど、大好きな人に囲まれて私はたくさんの経験をしたと思う。
最近よく耳にする、「好きなことを仕事に」
好きが仕事になることは悪いことじゃない。ただ、キライになって2度とやりたいと思わなくなるかもしれないと言うリスクがある。
私は1度この【好きなことを仕事に】して失敗している。
見たくもないほどキライになった。
学生の頃から細かい作業が割と得意で、検定を受けたり、たくさんのコンテストに出て入賞するのが楽しくて、大好きなネイルは私にぴったりで天職になる仕事だと自負していました。
そんな中、就職先の美容室でネイルをやらせてもらえるチャンスがあり、念願のネイルが出来る!!!と最初はすごくうれしかったのを覚えています。
でも現実は、完全に私の足りない覚悟と実力不足。
大好きな事なのに自分の好きなように出来ないもどかしさ、全然自分好みじゃないアートをしないといけない、つまらない。
そして、お客さんの好みに合わせて施術することがだんだん辛くなって出来なくなっていって。。。
気が付いた時には、
あんなにネイルが好きだった私は、あっという間にどこかにいなくなっていました。
自分のやりたいように好き勝手作るのとお金を頂いて仕事をするのは違うこと。
コンテストのような派手で凝ったネイルばかりじゃないこと。
お客さんの好みが優先されること。
自己満足と仕事は違う。
そんな当たり前のことがわかっていなくて、未熟な私は受け入れる事が出来なかった。
始めて2年くらいでネイルをやることを辞めました。
それからはお金を貰って施術はしていません。趣味としてたまーーーに思い出してやるくらいです。
本気で仕事にする覚悟が出来ていないと好きなことはキライになりやすくて「好きなことを仕事に」は簡単なようでものすごく難しい。
私は出来なかったからこそ、心からそう思います。
でも、悔しい気持ちでいっぱいだったあの頃から10年以上経った今、もう一度やって見たい。となんだか最近前向きな気持ちの自分もいます。
私にとって「美容師」という仕事は、はじめから期待や憧れを描いていなかったので続いていたのだと思っています。
納得しないことが多いこの業界。
愚痴や文句もたくさんあるし、悔しくて泣きたい夜もたくさんあった、私は美容師だけどカットが大嫌いでした。
失敗するのが怖くて最初の頃はいつも逃げていた。
昔はいつも自信がなくてお客さんが髪を切りに来なければ良いのになぁーと本気で思っていたし、美容師なら嬉しいはずの指名も全然嬉しくなかった。「指名しないでっ!!」と心の中で祈っていたくらい。
だから当然だけど、売上も中々伸びなくて売れっ子とは程遠い暇なスタイリストでした。
正直、違う仕事に就いた方が給料面や労働時間、休日、ボーナスなど私の欲しいものがもらえたと思う。。。
でも、全部ひっくるめてコツコツとマイペースに出来るこの仕事を選んでいた。
向いてるか向いてないかと聞かれると多分向いてないんだけど。笑
私の同級生は海外でお店を経営したり、ヨーロッパのファッションウィークに出たり日本でも都内の有名店で店長をしていたりとバリバリ大舞台で働いてる。
憧れた世界で自分の夢を実現してきたみんなのことは尊敬してるしすごいと思う、いつも応援している。
けどね、やっぱり私はこの世界に憧れたり、同じようになりたいとか、うらやましいとは1ミリも思わないんだよ。
旅人をしてる方がよっぽど自分らしいと思う。
私は天才肌ではないし、努力家でもない。
感覚でカットをするタイプでもない。
けっこう保守的だし、無理な冒険はしないタイプ。
休日に行われる練習会や講習会も大キライだった。
毎週ある夜中のクラブイベントは眠いから行きたくないと思っていたし。
雑誌の撮影は好きだったけど、休日が潰れるのはすごく不本意だった。
唯一続けていたのは毎朝の練習。
スタイリストになっても毎日欠かさずやっていたけど、それは怖いから。
カットが大嫌いだった私が練習をしなかったら。。。といつも恐怖でしかなかった。その恐怖に打ち勝つための練習。
1日でもサボるとカットが出来なくなる、と呪文のように自分に暗示をかけていた。
そんな訳ないのにね、笑
だけど昔はそのくらい自信がなかった。
ふと、思い出すのはお客さんのこと。
「お元気ですか?」
たくさんの顔が浮かんでくる。
突然いなくなったしまったからびっくりさせてしまったかな。
美容室難民になっていないか心配しています。
ごめんなさい、できればずっと担当していたかったです。
私のことを可愛がってくれてありがとうございます。
少し休憩している今思うコトは、
興味のなかった仕事が少しだけ好きな仕事になったこと。
変なプライドのおかげで続けて来れて良かった。
この経験は私の財産になっている。
もうすぐ異国の地で新生活がはじまります。
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