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(前編)SDGsが採択された日、国連本部にいた私は

世界各国・地域の様々な分野のプロフェッショナルな人たちの熱量にワクワクが止まらなかった。その日のことを少し振り返ってみようと思う。
(会議の内容やSDGsに関する情報については、詳しく書いている方々がいるので完結に書き、主に私自身が感じたことやNGO職員の動きについて書いてみた)

SDGsは、成果文書の一部分である

国連創設70周年を迎えた、2015年9月25日にSDGsが採択された。
もう少し詳しく書くならば、2015年9月25日〜27日、NYの国連本部にて「国連持続可能な開発サミット」が開催され、193の国連加盟国のうち130カ国以上の首脳が集まり、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(Transforming our world: the 2030 Agenda for Sustainable Development)」(日本語(外務省仮訳)英語)が採択された。

実はあまり知られていないが、この成果文書の中に、SDGsが含まれているのだ。ちなみに、成果文書は以下の5つから構成されている。
1、前文
2、政治宣言
3、SDGs(17ゴールと169ターゲット)
4、実施手段
5、フォローアップ・レビュー

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#36ページある成果文書 (ちなみに英語は35ページ)
日本でよく見聞きするようになってきたSDGsではあるが、ぜひ成果文書の全文を読んでほしい。(かなり長いけど、それだけ多くの人たちの想いが詰まったものなので読み応えあり!)

前置きが長くなったが、当時の様子を振り返ってみると思い出すのは、とにかくスゴイ熱量だったということだ。
それもそのはずで、2年以上にわたるSDGsの策定プロセスに携わってきた各国政府関係者、企業、研究者、市民社会(CSO:Civil Society Organization)など、様々な分野のステークホルダーがSDGsの採択を見届けるために世界中からNYに集っていたからだ。それにしても、世界的に活躍している著名人やビジネス界のトップなど本当に色んな人たちが集まっていた。(この空気感を言葉で表現するのが難しく、自分の語彙力のなさに悲しくなる。苦笑)

ローマ法王の演説で、幕を上げた国連総会(国連本部上空には、十字架が)

「戦争は全ての権利を否定し環境を無残に破壊します。全ての人間が進歩していくには、国家や人間同士の戦争を避けるため、たゆまぬ努力をする必要があります。」*ローマ法王の演説(全文はこちら)

国連本部周辺は2ブロックほど封鎖されており、厳重な警備体制で、どこの道にも警備員がいた。本当にものすごい人数の警備員が配置されていて正直なところ少し怖かった。(世界各国のトップが集まるのだから、そりゃ警備もすごいわけだよね)
上空では警備のヘリが行き交っていたが、パフォーマンス用のヘリもいて、飛行機雲で十字架を描いていた。

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#ヘリコプターパフォーマンス  
「国連本部上空に十字架が!」と、誰かの一声で、みんなが空を見上げ、写真撮影をしていた。(人に埋もれて撮るの大変だったなあ…なんかライブ会場にいる感じだったな笑)

国連本部の内外で、100以上のサイドイベントが開催

お祝いムード満点のNYでは、キーパーソンが終結するこの機会を逃さないために、国連本部の内外で、100以上のサイドイベント(SDGs関連イベント)が開催されていた。
参加するためには事前のパスを入手することが必要で、実はそれもなかなか大変だった。とにかくイベントの数が多すぎて、関心のあるタイトルをピックアップし、内容を確認して、スケジュールを組むのに時間がかかった。(他の渡航メンバーと被らないように調整)もちろん、自団体主催イベントもあり、UNICやビジネス界との合同記者会見もあり、事前準備はとにかくやることが山ほどあって、ご飯を食べるのを忘れてしまうほど動き回っていた。

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#ハイレベル市民社会イベント  #政治的リーダーシップ  #ポスト2015 @国連本部
ボイスレコーダーをONにして、各国のキーパーソンの話に全集中!

私はNGO職員(コミュニケーション担当/渉外担当)として、市民社会のネットワーキングに参加したり、ハイレベルな市民社会のイベントに参加して、SDGsの実施に向けた今後の動きについて様々な人たちの意見を聞き、日本の取り組みや今後の展開を伝えた。グローバルでどのような連携ができるかなど前向きな話ばかりで、心が躍っていた。とにかくすごく楽しかった。
国境を超えて、同じ目標に向かい、何かに取り組むことは、こんなにもワクワクするものなんだと感じた。

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アプライする側も大変だったが、国連総会の直前から一睡もせず、参加希望者対応に追われていた国連総会の事務局スタッフたちは、もっと大変だったようだ。
私が参加した上記のイベントの司会を務めていたスタッフが、泣きながら「今日という日を無事に迎えることができて本当に嬉しい。ここ数日は眠ることもできなかったが、多くの人に参加してもらいたかったし、イベントの直前まで参加希望者へメールの返事を打っていた」と伝えた後、会場全員が立ち上がり、拍手喝采が起きた。(これがスタンディングオベーションか。と感動)

後編に続く▶︎▶︎▶︎

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