DULL-COLORED POPを退団します
いつも気にかけてくださっている皆様、ありがとうございます。突然ですが、私、宮地洸成は4年所属した劇団、DULL-COLORED POPを退団いたします。
このような発表をすることに、違和感を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。私がDULL-COLORED POP(以下、ダルカラ)に加入したのは、劇団が新しい集団を目指す宣言を出した直後でした。(参照:公式サイト ”DULL-COLORED POP、「ゲキダン」やめて1000人を目指します”, https://www.dcpop.org/1000p/)ダルカラ構成員には名乗るだけの人から、いわゆる旧来的な劇団員に近い人まで、様々な距離感で関わる人が存在しています。「劇団の名前は名乗りたいときだけ名乗ればいい」とありますので、劇団と関わる気がなくなったら、ただ名乗るのをやめればいいと考えることもできます。実際6月に出演したある公演では、私はダルカラ劇団員を名乗っていませんでした。しかし、私は加入以来、ほとんどの劇団公演に出演し、特に劇団外の方に「ダルカラの人」と認知されている場合がしばしばあり、劇団員(構成員)の中では関わりの深いほうだったと思っています。だから、辞めることもここで正式に表明しておきたいと考えました。
辞めるに至った理由を、ここで明らかにしておきます。
劇団主宰・谷賢一による性暴力及びハラスメントの件を受け、今後も劇団活動に参加するわけにはいかない、したくないと考えたからです。以下に詳しく説明します。
まず性暴力・性加害については、別の劇団員による提訴・告発があったのでこちらをご覧ください。https://note.com/saika_0702/n/ndccf29034690 ※
当劇団員の告発は、深刻な性加害からパワハラまでを含んだ内容になっています。訴状には第三者としてまだ真実とは言い切れない内容も含まれていますが、証拠もあって明らかだろうと思われる件も含まれています。また私自身も谷からハラスメントを受けたり、目撃することがありました。
谷賢一は劇団の現場においてセクシャルハラスメントとパワーハラスメントの常習者でした。特にひどいのはセクハラです。私が目撃している範囲でも女性俳優の身体に触れることはしょっちゅうで、俳優が嫌がったり、まれに周りが注意してもやめませんでした。抱きつく、胸を揉む、肩を揉ませるということもよく見ました。私はセクハラの対象ではなかったので詳しい個別描写や時期に言及することは避けますが、本当に、ひどいです。過去にある劇団員に対するひどいセクハラLINEを注意した際、酔っていたのかセクハラを更に激化させてしまったこともありました。翌日に謝罪はあったものの返事はしていません。私はあの件をいまだに許せないまま、それをハッキリ言うこともできないままここまで引きずっています。
パワハラもありました。例えば、ある稽古では私のミスでシーンが止まると怖い声で怒鳴られたことがありました。私の未熟なミスに対する指導ではありましたが、必要な範囲を全く超えています。また稽古場に酩酊状態であらわれたり稽古場で飲酒することがよくありました。ある稽古のダメ出しでは、谷が酔って机に頭を打ち付けて怒鳴るところをみたあとに、稽古を続けなくてはいけませんでした。本番の直前にスタッフを恫喝したり、またあるスタッフには蔑むような口調で命令するのを目撃したこともあります。私に対するものではありませんでしたが、周囲の俳優やスタッフが見ている中で行われており、環境型パワーハラスメントでもあったと思います。
今年になってハラスメントの対策を劇団でもはじめました。しかし「ハラスメントをしてきたから対策をするんだよね」という劇団員の発言に対して谷は「そういうわけではない」と、自らの過去の加害について自覚している様子は見られませんでした。そもそも覚えていない場合もあるでしょう。なぜならひどく酔った次の日に彼が記憶をなくしてしまうことは全く珍しくなかったからです。酒をやめたという話も今のところ聞いていません。
ハラスメント対策自体は大事なことで、実際に有効な対策もしていると思います。しかし劇団主宰の彼に自覚と反省がなければその有効性に疑問が残ります。また、これはもうお気持ちの問題ですが、劇団のハラスメント対策について話し合う中で、谷を止められなかった自分の責任を考える一方で、肝心の谷が過去の行いを反省していないように見えたことがすごく気になってしまいました。気持ちの話に限ると、私の被害については我慢できそうだとは思ったのですが、そうやって彼に協力することで過去に被害を受けてきた人達にも責任を感じさせ、辛い思いをさせてしまうことは絶対に嫌だ、と思いました。
過去にも辞めようと思ったタイミングはあったのに、谷賢一の反省がないまま根本的な改善もなく、ここまで続けてしまいました。それは明らかに間違いでした。私も谷の加害を受けた一人ではある一方で、セクハラや性加害を含めたハラスメントについて、傍観者として加担した面があります。大変申し訳ありません。ここまで書いたような懸念を、私は今後も谷に指摘することはできないと思います。また、このまま劇団活動を続けることで彼の過去の加害を黙認し続け、被害を受けてきている方を抑圧してしまうことを、なによりも看過できません。だから、劇団を辞めることにしました。今まで観に来てくださった方々、関わってくださった方々の期待を裏切ってしまい、たいへん申し訳ございません。
私自身は演劇表現にまだ触れていたいと思っていますが、それには、ハラスメント対策を含めた様々な準備が必要です。個人がただ気をつけるにとどまらない対策を講じていかなくてはならないと思っております。みなさまへの信頼回復に努め、二度と性暴力やハラスメントに苦しむ人が生まれないように動きたいと思っております。
宮地洸成
※こちら「演劇・映画・芸能界のセクハラ・パワハラをなくす会」との相談・協力により、代理人弁護士を立て、民事訴訟を起こしております。
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