普通のお姉さんだった友達が夢女にジョブチェンジした話

もうタイトルだけでお腹いっぱいになりません?私はなります。

本日めでたく45歳となった私には、オタ、非オタ、嫌オタな友人がいます。細かくわければもっと色々いますが。そんな中で、同い年の、世間様から見たら真っ直ぐに生きてきた女友達の話を今日はしたい。させてほしい。勝手にする。

彼女とは高校時代の友人の紹介で知り合い、今では連絡を取り合っていない高校時代の友人より近しい存在となっている。(彼女を仮にF子さんとする、仮だからね?)

F子さんも同い年なので、今年で45歳になられる素敵な女性だ。今は都内の通信会社で課長さんだったか部長さんだったか、なんか長がついてて、お一人で暮らしているはずだ。たぶん。

私と大きく違うのは、非オタで、趣味は年に1〜2回旅行に行くような人だ。なんかよくわかんないけど、私は彼女を見るたびに「リア充ってこういう人よね」と感想を抱く。

そんな彼女が数年前、唐突に夢女になった。本当にびっくりするほど唐突だった。1ヶ月前に会った時は「今年の夏はフィジーに行きたいんだよねー」とか言ってた人が、頭抱えて「無理……見て……うちの彼氏……もう存在が尊すぎる」と、オタのあの語彙力でしか喋らなくなっていた。

毎月しっかり生活して、納税して、それこそ貯金もがっつりしていて。私が「私には出来ないけど、羨ましいなあ」と思う人生を歩んでいる人が。驚くほど坂道を全身で転がりながら、私のもとにやってきたみたいな気持ちになった。

きっかけは会社の部下に勧められたらしいとあるソーシャルゲームだ。「まぁー若い子たちとの会話のために、とりあえず一回やってみっか!」という気持ちで、彼女はそのゲームをスマホにインストールした。

聞くところによると、初めは「なんかもう、全然わかんないな」と思いながらもストーリーを読み進めたらしい。続きを読むためにはいろんなミニゲームをこなさなきゃならず、ゲームなんてこれが初くらいの彼女は「ミニゲームくっそむずかったら速攻やめよう」と思っていたのに、ただタップすれば良かったのでホイホイと進んでいった。

そして、運命の男に出会ってしまった。

「最初は、浮かれた奴だなぁ。こういう●●ちゃん可愛いね!って誰にでも言う男は、実は女にトラウマがあるんだよな、くらいに思ってただけだった。ストーリー進んだら、まさにその通りだった…そしたらなんか、その子が可哀想で…そんな女ばかりじゃないよ!って思ったら、もう遅かった…」

などと供述。

「私がそばにいたら、もっといい彼女やお嫁さんを見つけてあげられるのに……」

「気づくとご飯食べたかな、とか考えるようになってしまった。あと機嫌が悪い時とかに『あっちいけよ』とか言われても、可愛いなぁとしか思えないんだ」

あ、これ。夢女っていうより、夢母になってるな、と気づいた。もうこの沼は底無しである。

うんうん、わかるよ。と頷いて話を聞き、酒が進んでその日は別れた。

数週間後。気になったので、最近どうよ?とLINEをした。暇なら飯でも食いにいこーぜーと軽く誘ったら思いもよらぬ返答が来た。

「しばらくは外食無理かなー」

今まで、そんな返答来たことなかった。海外旅行に行く前日でも平気で会ってくれる人だったのに。

理由はすぐに判明した。

「今、●●君のイベントだから、走らないといけなくて」

なんてこった。

彼女はガチな人になっていたのだ。すごいジョブチェンジ。

仕方ないよね!推しだもんね!時間ないよねー!と軽く返信したら、もっと思いもよらない返答が来た。

「時間もないけど、今月の給料、家賃分しか残ってない笑」

いや、『笑』じゃないよね?そこ笑うとこじゃないよね?と思いながら、私は自分のスマホに入れてあった彼女と同じゲームをアンインストールしたのだった。

ちなみに彼女はそのゲームの、今でも重課金勢です。『ランカーであることにこだわりはないが、一生彼を養っていたい。その為にはゲームの存続が第一となるので、貯金がなくなっても課金はやめない』と名言を残し、F子さんは今日も元気にダイヤを砕く。

32歳で子供っぽいの記事を読みながら、なんとなくF子さんを思い出したけど、F子さんは何も子供っぽくはなかった。落ちは特にない。

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