夫婦最後のクリスマス
無事、というよりどうにか這うようにして産休に入って数日、迎えた2024年のクリスマス。
22日、近くのおいしい洋菓子屋さんでケーキを予約して、実家の母を招いて一緒に食べる。3人兄弟で育った夫はそれでも、「ホールケーキひさびさだ」とうれしそうだった。
24日、我が家のクリスマスディナー。1年目の去年はチキンを焼いたので、今年はラザニアに挑戦。お昼から煮たミートソースは絶大な信頼のある料理家さんのレシピで、おいしいなああと唸りながら、多いかと思った量も夫がぺろりと平らげてしまう。ミートソースとホワイトソースを層にしたら、肝心のラザニアをほとんど重ねられなかった。今度つくるならミルフィーユみたいにしたいのだけれど。夫が追加で買ってきてくれたカットケーキも食べて、すでにクリスマス2日目のよう。
25日。巷ではインフルエンザが大流行していると聞いて、直前まで外出を迷う。夫はわざわざ休みをとってくれていたし、最終的にはえいやと外に出て美術館へ。ただの平日のようにまばらな人出の傍ら、大きなスーツケースを引いて歩く人々も見られて、年末の近さを実感する。
ふたりで何度か行ったことのある甘味処に入って、迷いに迷った末、クリームあんみつとおしるこ、お雑煮を注文した。冷たいと温かい、甘いとしょっぱいのバランスが絶妙で、ふたりでするすると平らげてしまう。先日のケーキに始まり、甘いものは少々食べすぎ。
夏ぶりの美術館だった。妊娠してからはまったく行けていなかったけれど、私たちにとって数少ないお出かけ先のひとつ。妊娠中だからか疲れやすく、館内もそれなりに歩くため、大きな展示室のまんなかに設置されているソファーに意識的に座るようにする。四方を絵に囲まれている空間をより感じられて新鮮。ゆっくりしたペースに夫が合わせてくれて、無事に元気に帰ってこられてうれしかった。
クリスマスに夫婦ふたりで美術館を訪れるなんて、もう最後かもなあ、と思う。そう思うとどうしようもなく寂しくて、寝るときに「ありがとうね」「大事な大事な○○(夫)」とつぶやいたら、「大事な大事な○○(私)」「そして、そんなふたりの間にできた子」と夫が返してくるので、こらえきれずに涙が出てしまった。
早朝にそれを思い出してまた涙があふれて、止まらずに嗚咽するほど泣いて、もしかしたら隣にいる夫にばれてしまっていたかもしれない。いつもぐっすり眠っているから大丈夫な気もするけれど。
お子、仲良しな私たちのところに来てくれてありがとうね。それでもやっぱりふたりで過ごしたい日がもし出てきたら、どうか許してね。宝物のような時間が残り3ヶ月で区切りを迎えてしまうことがどうしてもどうしても寂しくて、母は妊娠中一番くらいに泣いてしまっています。