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読む🍋 関谷恭子句集『落人』

2018年より「蒼海」入会、結社誌19号をもってご退会。その間、オンライン句会等でご一緒させていただいた関谷恭子さんの第一句集です。現在は2010年より入会されている「濃美」同人で、2023年には濃美同人賞「第一回長良賞本賞」を受賞されています。

句集名は<笹百合や落人を祖と唄ひつぎ>から。平家の落武者を祖先にもつという作者。このような土着性を感じさせる句もさることながら、雅な季語や言葉を織り込まれる手腕にとても憧れています(と同時に自分の人生経験や感性、知識の浅さを痛感。もっと勉強しなくては!)

ふらんす堂より刊行

葉桜や如来弓手の薬壺
緑陰に集ひ作戦会議の子
帯解けば息の収まる夜の梅
暗闇のうすやみとなる無月かな
かな文字のこぼれ散りさう捨扇
病む人に小雪の日のやはらかし
雪しづる鳥と言葉を交はす人
甲斐犬の甘えてをりぬ春隣
すつとひとり人波に消ゆ一の午
摘草のひかりの中のうなゐ髪
花万朶満たさるるとは息苦し
嘴から突つ込んでゆく茂りかな
初雪とつぶやく声の透きとほり
冬菫足場組むこゑ降つてくる
梅花藻の花なきところ水を汲む
次の皿しづかに待ちぬ夏料理
風筋の黒く立ちたる秋の波
月光の川面に散りて流れざる
酔客のときはづ石蕗の花あかり
人日の受賞者を待つリボンかな
選ばれて牛は荷台へしづり雪

本書は著者よりご恵与いただきました。心より感謝いたします。

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