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読む🍋 秋になると

秋になると読み返す句集があります。
俳句を始めた頃、こちらのブログ(https://ameblo.jp/tashima-huua/)から田島風亜さんの作品を拝読しました。
『秋風が…』という私家版の句集(句集名は<秋風が芯まで染みた帰ろうか>より)があるそうです(http://spica819.main.jp/yomiau/7499.html)。
私はWordファイルに入力したものを出力し、表紙を付け、綴じ紐で綴じて読ませていただいております。
 
全部で360句ぐらいあるなか、好きな句を30句ほど挙げてみました。
30句に絞りきれなかったというのが正直なところです。
 
如月や子の見しといふ海のゆめ
雨雲にとどまる雨やきりぎりす
家具あれば埃のたまる寒さかな
雪積んで蕪村の家並生まれけり
秋まつりレノンの曲も流されて
花暮れて連翹色の月のぼる
暮れなむとして鴨の影温かし
子規の忌やバスが通れば揺るる店
三伏の有明海のあをからず
あかんぼの留守の毛布の形かな
デージーは吹かれ大陸移動中
ビール注ぐ病を父に告げるため
生きてゐてカレー煮返す春隣
古き良き冬石鹼の赤い箱
亀の子は首を頼りに浮いてをり
日も少し焦がし入れたる麦茶かな
爽やかに覚めて朝に似る夕べ
小春日をふるはせ眼鏡洗浄器
冬耕の人風景の真ん中に
洋食のサンプルケース冬日満つ
朝霜やぶつかつて来るバイク音
薬局のポイントカードとは寒し
ちらちらと会話の縁に冬木の芽
鉢を置くごと幼子をぶらんこに
夏落葉カードゲームをするやうに
鮎を焼く月若く火も若くして
雪が来て雪雲が来てすべて雪
泣くにまだ早き河原や二月尽
春昼のあかんぼの声皿の音
薄雲を得て照りまさる小望月

 
「照りまさる」。ちょうどいま観ていたドラマでそんな月がありました。

風起隴西 -SPY of Three Kingdoms-


ブログは句集以後の俳句七句で終わっています。
冬ぬくしモルヒネ使ひはじめの日
錠剤を落して拾へざる寒さ
ホスピスへ向ふ車窓を寒椿
枯枝のごとき右手がペン握る
十二月八日おむつをされてをり
極月の痰に溺れて死ぬかとも
小六月頼ると決めて眠りけり

 
『増補版 現代秀句』(正木ゆう子著)にも
<鮎を焼く月若く火も若くして>の句が収録されています。

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