読む🍋 黛まどか句集『北落師門 Fomalhaut』
タイトルの『北落師門』 とは、
とありました。星座の中国語名とはなんて素敵なのでしょう。
孤高の星。黛まどかさんのこと、好きになってしまった。私も私の星を見つけます。
黛さんの自選十三句以外で句を引いてみました。
青空に触れて噴水折れにけり
つまづきて毬に抜かれし手鞠唄
冬日向一枚残し母の留守
子の声のいつもどこかに盆の家
絵らふそく灯せば城下朧めく
木簡に恋の言の葉しぐれたり
百畳の障子明りに解く旅装
クリスマスソングの中を托鉢僧
一日を籠もるにかなふ春の雨
縁なき仔猫なりしと言ひ聞かせ
したたかに水打つて市畳みけり
花茣蓙の花のあたりを譲り合ふ
裸子を捕らへそこねしバスタオル
呼び鈴に犬が出てくる夏館
お遍路の郵便局に立ち寄れる
多佳子忌や胸の高さに波崩れ
傾きて回りはじめし白日傘
サーフボード乗り込んでくる初電車
夏燕ひと雨ありし校庭に
山鳥の声を漏らして霧襖
水鉄砲通りがかりが撃たれけり
月光にまみれて戻る車椅子
囀の一樹を収めきれぬ窓
湯気立てて昔話をするときは
托鉢の残してゆける冬すみれ
考える人の「私の同行二人――ふたたびの四国遍路」の連載もとてもよいです。