暖かな陽射しのなかで
寒さのなかに梅の花がほころびだし春を感じるこの頃、私がいつも思い出すのは故郷愛知の見渡す限り雲一つない青空です。
母は亡くなる前、この新型コロナのため面会制限があったなか、危篤状態が続いていました。
そんななか、施設のおばちゃん達の嘆願が上に届き、内緒で私だけ面会を許されていました。
母は明るく清潔な暖かな部屋で眠り続けていました。
その横に小机を持ってきて兄と二人の伯母に定期便を書きました。
きっと私と兄が子どもの頃、母は私たちの横でいつも手紙や日記を書いていたに違いありません。
その頃の母に思いを馳せ、母の優しさと温もりを感じました。
そして、それは明日から生きる活力にもなりました。
子を持つ母親の明日への活力、生きるための活力は子どもの寝顔なのではないかとも思いました。
たとえ閉ざされた未来が待ち受けようとも、それを乗り越え打ち勝つ気力を子どもの寝顔から与えられたのではないでしょうか。
死に向かう母の横で私は一人昔話をしながら手紙を書き続けました。
そんな事を考えながら過ごした最後の母との時間をこの時期の澄み渡る青空と暖かな陽射しは私に思い出させるのです。