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東南アジアの日本企業

 一時は、東南アジアに進出した企業は、現地で給料もよく優秀な人材も確保できた。現在は、それぞれの自国の企業に就職するほうが給料もよく、日本企業は、人材確保に苦戦しているそうである。事情を聴いてみると、日本独特の年功序列などに地元の人たちは不満を抱いていたようである。
 人件費が安い東南アジアへの進出、年功序列という日本システムの地元への適用と啓蒙主義的傲慢さとおごり。まあどの国も経済的に成長し自立できるようになれば、そんな日本の企業なんかに人が集まるわけがない。
 確かに日本には年功序列というシステムはあった。もともとは技術や経験など身に着けた年配者から、その継承を行うためのシステムであった。若者は彼らを生活的に支え、年配者からは技術や経験を継承するというなかなか優れて循環的なシステムであったのである。いまでは年功序列や徒弟制度は封建的なものとして見向きもされないが、本来は、相互補助的なシステムであったと理解している。
 いつからか日本の企業は年功序列を歪曲し、企業や上層部の人たちにとって、都合の良いシステムに改ざんされた。それを無邪気に東南アジアでも適用したとしたら、自業自得というしかない。
 キャリア・自己責任・自分らしさ・個性・非正規雇用・・・それこそ無責任な政治家や有識者などが、自分たちの責任逃れのために編み出した策術である(たぶん)。
 
 外国に仕事を外注し、会社の年配者は解雇し、組織はすっきりして、人件費はおさえられ、若い人たちだけで活気あふれ・・・まではよかったが、知識や経験・技術が不足で現場は知らず、ブラック企業と同様に恫喝と説教を垂れる無能な高給取りの上司と役に立たない若者社員で組織は機能不全に迫っていた。現在でもその負債は残っている。時々テレビやお会いする人たちを見ていて、そんなに的外れではないと口にはしないが、そう見ている。

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