2021/10/19ー10/24 加賀谷真秀個展[ part of yours]
遅ればせながら、10月に開催された加賀谷真秀個展にお越しくださった皆様ありがとうございました。
親愛なるペインター ABEBE先輩に寄稿して頂いたステートメントをアーカイブとして残しておきます。
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[ part of yours ]によせて
著:ABEBE (ペインター/イラストレーター)
2016年から今に至る5年間加賀谷真秀の作品を見てきた。今回の個展に出品された「Piece of skin」シリーズは加賀谷真秀という作家の1つの節目になったと感じている。
私から見て加賀谷は「自他との境界」を作品にしてきた作家だ。
子供、家族、友人、主観的な風景、と自分が認識によって形成する輪郭として他者を描きその距離は徐々に詰められ、昨年開催された個展「skin / in the box」で描いた何者でもない人間は個々の境界があやふやになっている。
今回の「Piece of skin」シリーズは、出自、年齢、性別を含む固有の役割や特徴を脱ぎ捨て、ミニマムにそぎ落とされた「他者」であり「自分」がパネルの上に浮かび上がり、鑑賞する我々の前に現れている。
あやふやと思われた重なりの最前線はむしろピントの合った明確な境界があったのだ。
肌とは他者と自分とを隔たる境界の最前線であるが、その明確な境界は全く否定的な意味ではない。
2020年から現在もなおcovid-19の世界的な蔓延により物理的にも精神的にも他者との距離を考えることが増えた中、自分と外界の境界を持つことをポジティブに感じられる作品だ。
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