ビジネスホテルに1週間滞在で7万円
悲しいやらバカバカしいやら、我慢ならずに家を出た私。
…とは言え。
家を出ようと思い立ったのが日曜日の昼過ぎ。
メモ書いて荷物まとめて、15時。
翌日は普通に仕事で迷惑かけられないし、実家に帰ろうにも車がない。
そして実家からでは仕事に行けない。
ので、
①徒歩で仕事に行けて
②寝泊まりできて
③誰にも迷惑かからず
④1人になれるところ
って考えたら、ビジネスホテルしか思いつかなかった。
ネットでいちばん近いビジネスホテルを検索。
料金1泊1万円ちょい。
高い…高すぎる…!!けど…急に不動産屋に行ったって即日借りられる部屋も見つかるわけないし…この時期野宿というわけにもいかない…(2月半ば)
とりあえず空室があるかどうか、1週間くらい泊まれるのかどうか、いくらかかるのか、聞いてみないと分からないし。
電話も会話も苦手だが、そうも言ってられない。
ちょうどプロ野球のキャンプ時期と重なっているのもあり、空いてないんじゃないかと思ったけど、問い合わせてみたら空き有り、16時以降~チェックインできるとの回答。
そして料金は、素泊まりシングル1週間で76,200円とのこと。
「朝食バイキングを付けますと、83,200円になりますが…どうされますか?」
食欲があるかどうかも怪しいし、人混みに混ざって1人食事する勇気もない、そして朝は苦手な私。
前日や当日でも付けられるとのことだったため、ひとまず素泊まりでお願いした。
そして、ホテルから職場まで徒歩でどれくらいかかるか確認のため、自宅からホテルまで歩くことに。
朝、コンビニに寄って昼食を購入してから行くことを考え、ゆっくりめに歩いた。
家から職場までが徒歩約15分。
家からホテルまでは徒歩約45分。
1時間かかるつもりでホテルを出れば大丈夫そうだ。
ホテルに着き、受付で名前を伝えると、すぐに対応してもらえた。
料金は全額前払い。領収書を貰い、
「アメニティ類はそこ(受付カウンター横)にございますので自由にお持ちください。ウェルカムドリンクは〇時から〇時までご利用いただけます。こちら目を通されて、ご不明な点がございましたらお声かけください。お部屋は5階〇号室になります。」
という、ビジネスホテルを初めて利用する私にとっては「?????」な説明をサラッとされ、紙を1枚とカード型のルームキーを渡された。
とりあえず他の宿泊者の流れについて行ってみると、エレベーター前に到着。
謎の言葉を喋る、超高身長な男性集団にビビりながら部屋の前へ。
ルームキーをかざして部屋に入り、入口のルームキーを入れる小さな機械?にカードを差し込むと部屋に電気が着いた。
もっと薄暗くて狭くて、なんなら煙草臭いくらいの部屋を想像してたけど…
さすが三ツ星…!!!
本当にシングル?間違えてない?っていう大きさのベッド、広い部屋、独立洗面台!
明るすぎず落ち着くオレンジのダウンライトに使いやすいクローゼット。
お風呂のバスタブは小さいながらも細長い形状でわりとゆったり入れてしまうし、トイレも綺麗すぎるくらい綺麗…!
洗面は手が届かないくらい大きな鏡と、これまたオシャレでまぶしすぎない横長の間接照明。
テレビも大きいし、カウンターテーブルは広いし、可動式のボックス型椅子は背もたれあるタイプと無いタイプ2つ、引き出しには色々な機器に使える充電器まで…!!!
電気ケトルと小型冷蔵庫もあるし、抗菌スプレーもあるし、全身チェックできる姿見鏡なんて壁にかかってて…「最高かよ…!」って言わずにはいられない感動。
私の脳内イメージが昭和で止まっているのか。
令和の今時のビジネスホテルはどこもこんなに美しいのか。
何年も息苦しく狭い空間に居たことを一瞬忘れて心の底から幸せな気持ちに満たされた。
そして思う。
「娘を連れて来てあげたら喜んだだろうなぁ、連れて来てあげれば良かった…」
思ってしまった。
瞬間、ボロボロと涙が止まらなくなった。
母親(自分)は要らないんだ、という悲しみと、
ずっと1人で頑張ってきたのに、という苦しみと、
どうしたらいいのか、という不安と、
とりあえず1週間は居てもいい場所が出来た安堵。
娘が一緒じゃない辛さ。
娘は同じ気持ちじゃない悲しさ。
娘と居られない寂しさ。
娘の幸せと私の幸せの不一致…
別に声をあげて泣くわけじゃない。
表情に出るわけでもない。
ただ、ただ、あふれて止まらない涙だった。
持ってきた荷物を分けても、上着類をハンガーにかけても、ケトルにお湯を沸かそうとしても、テレビの電源を入れても、ずっと止まらない謎の涙。
ボロボロ泣きながら、頭は冷静に「何か食べるもの買いに行っておかないとなぁ」なんて考えてて。
暗くなる前に、と近くのスーパーに買い物に出た。