2023年JRA賞の予想
2023年1月9日、つまり、本日、JRA賞が発表されるわけだが、私は、おそらくこうなるだろうという考えを述べることとする。
最優秀2歳牡馬
ジャンタルマンタルの可能性が極めて高い。というのも、JRAではダート路線より芝路線に重きを置いており、フォーエバーヤングよりも優先度が高くなるのはほぼ自明なためである。
最優秀2歳牝馬
アスコリピチェーノとレガレイラの一騎打ちになるが、アスコリピチェーノになる可能性が高いだろう。
これは理由が長くなるので、各馬の比較を行う。
まず、レガレイラは新馬戦勝利後、アイビーS(L)を3着としたうえでホープフルSを勝利している。
一方のアスコリピチェーノは新馬戦勝利後、新潟2歳S(GIII)を勝利したうえで阪神JFを勝利している。
確かに阪神JFよりホープフルSのほうが格はやや上だが、重賞勝利数などの総合力の観点から、アスコリピチェーノを選ばない理由はないだろう。
最優秀3歳牡馬
クラシック三冠を3頭で分け合い、それとはほかの馬がNHKマイルカップを勝利している。また、強さの観点でいえばダート馬のデルマソトガケが数値上は強い馬、という扱いになっているなど、混迷を極める争いである。
前提として、NHKマイルカップ勝ち馬のシャンパンカラーはその後安田記念に挑み14着に沈んだ後、レースへの出走がない。また、伝統的に短距離・マイル路線より中長距離路線のほうが重んじられるため、候補たりえないだろう。
ただし、よほどのインパクトのある成績を出していれば話は別である。オオバンブルマイ(NHKマイルカップ3着馬)は海外遠征を行い、ゴールデンイーグルを勝利している。格付けこそないが、超高額の賞金レースだけあり、実績としては申し分はないだろう。また、アーリントンカップ(GIII)を勝利していることから、そこまで国内での実績が劣るというわけではない。
中長距離路線組から選ぶのであれば、タスティエーラ一択だろう。クラシック競走すべてにおいて連対しており、有馬記念でもソールオリエンスには先着している以上、彼を選ばない理由はない。ドゥレッツアは秋の上がり馬として台頭してきたが、菊花賞後は年内休養を選んでいる点、春クラシックに間に合ってない点が大きなマイナスポイントとなるだろう。
デルマソトガケは今年1年、ずっと海外でのみレースをしており、サウジダービー(G3)3着、UAEダービー(G2)1着、ケンタッキーダービー(GI)6着、ブリーダーズカップ・クラシック2着(GI)2着という実績であり、単なるG2馬でしかないが、アメリカ3歳ダート路線の最強馬の一角という扱いになった点、ブリーダーズカップ・クラシックという、ダートの本場アメリカにおいて過去最高の着順を収めた点などを加味すると、評価を避けることができない。
これにより候補は3頭出てきたわけだが、結論から言えば、タスティエーラになる可能性が高いだろう。
最優秀3歳牝馬
リバティアイランドになる可能性が極めて高い。対立候補としてはエリザベス女王杯勝ち馬ブレイディヴェーグがいるが、牝馬三冠の上に、ジャパンカップ2着という実績にかなう可能性は極めて低いだろう。
最優秀4歳以上牡馬
イクイノックスになる可能性が極めて高い。GI級競走を4勝した馬がほかにいないことから、この選択肢をとらないよほど合理的な理由がない限り、この選択肢を選ばない理由はないだろう。
最優秀4歳以上牝馬
これはかなり悩ましい。候補は以下の2頭に絞られる。
ヴィクトリアマイル・安田記念の東京マイルGI連勝のソングライン
主に中長距離を戦い、大阪杯2着・ヴィクトリアマイル3着・ジャパンカップ3着・有馬記念2着のスターズオンアース
ナミュールとママコチャは候補たりえないだろう。直接対決で勝利しており、GI勝ちがあるソングラインに分があるだろうが、後述する最優秀マイラーとの絡みからスターズオンアースを選出する動機があるのも悩ましいところ。
結論から言うと、ソングラインが受賞する可能性のほうが高いだろう。
最優秀スプリンター
今年から最優秀短距離馬が最優秀スプリンターと最優秀マイラーに分割された。そのスプリンターのほうだが、秋の勝ち馬のママコチャのほうが優先だろう。
最優秀マイラー
春にGIを2勝しており、春の直接対決で勝利しているソングラインを選ばない理由はないだろう。
最優秀ダートホース
これが今年一番荒れそうな部門である。評価対象は以下の4頭。
レモンポップ - JRA春秋ダート統一王者
ウシュバテソーロ - ドバイワールドカップ・東京大賞典覇者
デルマソトガケ - ブリーダーズカップ・クラシック2着
パンサラッサ - サウジカップ覇者
まずパンサラッサを選ぶ理由はないだろう。彼を選ぶならウシュバテソーロを選ぶためである。
次に、デルマソトガケの強みは、ウシュバテソーロに先着し、ブリーダーズカップ・クラシックという本場アメリカの最高峰のレースで日本調教馬初の連対を達成したという点、弱みは今年GIを勝利していない点、日本で1走もしていない点である。
ウシュバテソーロの強みは、ドバイワールドカップという海外の高額賞金レースを、ダートコースで初めて制覇している点である。弱みは今年中央のレースは一度も出走しておらず、ブリーダーズカップ・クラシックでデルマソトガケに先着を許している点である。
レモンポップの強みは、中央の春秋2つのGIを両方とも制している点、マイルチャンピオンシップ南部杯では2着馬に対して圧倒的な着差をつけて勝利した点である。弱みはドバイゴールデンシャヒーンでは10着と大惨敗を喫している点である。
これらを総合的に踏まえると、レモンポップが一番有力だが、ほかの2頭の捨てがたい魅力があることから、どの馬が選ばれても荒れることは避けられないだろう。
最優秀障害馬
よほどの事情がない限り、秋の勝ち馬が優先されるため、マイネルグロンになる可能性が高い。
昨年はその「よほどの事情」があったため、春の勝ち馬のオジュウチョウサンが選ばれたわけだが、今年はそのような事情は見当たらない。
年度代表馬
イクイノックスになる可能性が極めて高いだろう。芝の中長距離路線で圧倒的な活躍をしており、彼を選ばない理由はほぼないといってよいだろう。