冷たい熱帯魚
正直な人はみんなおもしろい。
例えばの話をするが、
この世の中、なんの違和感もなく生きてる人を私はおかしいと思ってる。
もしくはもの凄く幸せな方だろう。
おかしいことがまかり通ってる世の中。
それを正直におかしいと感じ、怒ってる人はみんなおもしろい。
それはおかしな日常に慣れてしまった感覚に、正しいであろう共感と、あるあるを提供してくれるからだ。
「世間体はよくないけどわかるわぁー」みたいな感覚は本来の正しき感覚であって、脳が世間体を気にしない共感を感じた時ひとはおもしろいと感じるのだと思っている。
おもしろい感情=幸福 だとそう感じている。
前置きが長くなったが本日、紹介したい映画がある。
"冷たい熱帯魚"
2010年園子温監督によって世に送り出された奇作である。
はじめに言っておくが、私はこの作品を全くと言っていいほどオススメはしていない、紹介するだけだ。
出ている役者、物語、監督、これを素晴らしい映画だという方々、みんなイカれてる。
この映画からは何一つ正しさなどというものは感じない。
ただ何故か錯覚するのだ。これもアリかなって。
映画として離れて観ている我々でさえそんな錯覚に陥る。実世界の私ならもしかしたら。なんて。
以前にも「夜と霧」というナチス強制収容所での実話を記した名著を紹介した。
その中にもあった。
人間はモラルや品位を失い、残酷で容赦なく人を傷つける可能性は誰にでもあるのだと。
冷たい熱帯魚。
ちなみにこの映画にはおかしな世界しか描かれていない。それを否定するおもしろさなんて微塵もなく終わってしまうのだ。
これは人間の正しき感情なのか?ただ途中で思わず笑ってしまった。至極まっとうに正直すぎる表現に。
この映画は1993年に起こった埼玉愛犬家連続殺人事件をベースにしており、いわゆる「半実話」なのである。
私が冒頭お伝えした「正直な人はおもしろい」というのは日常生活の身近に感じる違和感を正直におかしいと表現していることに対してだ。
ただ、おかしすぎる感覚を「日常」にしてしまう人間ももしかしたらおもろいのかなとこの映画を観て思ってしまった。
おもしろいの感情に一線をおいて区別できる方はご覧になってもいいかもしれない。
再度言っておくが私は全くオススメしてはいない。
ただ観たくなった人のために本作を5行でお伝えしよう。
異常性を見せびらかし、さらに異常を重ね続け最後には問いをかけられる終わり方をする。
後味なんてものはない。
考えさせられる脳も働かない。
人間の最たる異常を描きながらリアルを感じ取れる映画。