牢獄からの脱出
そこは牢獄のようだった。
苦しく狭く息がしづらい場所だった。
じめっとした空気に
自分の中のヘドロみたいな感情が
ベッタリまとわりついていた。
布団とスマホしか頼るものがない。
というのは言い過ぎだけど
でも、それくらい
私の世界は小さかった。
だけど当時は
そこが安息の場で、
そこから抜けることなんて
考えられなかった。
抜けるとしたら
誰かと結婚するとか
それくらいしか思いつかなかった。
私はずっと家族に縛られている。
縛られている、というか
縛られにいってる。
気がする。
家族も元カレも正直言って
本当に好きだったのか?と
疑問に感じることが多い。
好きでいなければいけない
好きでなくては私は人手なしだ
と
どこかでずっと思っていた。
確かに好きではある。
けど、一緒にいて
楽しいか?と聞かれたら
なんだか微妙だ。
同じような人たちと
街中で知り合っても
たぶん友達にはならない。
きっとLINEは交換しない。
会いたいから会う、も多少あるけど(?)
半ば一応会いに行くか、くらいの感覚が強い。
こんなことを思ってしまうのも
すごく申し訳ない。
だけど昔からずっと、
わからないことが多かった。
親とは何か通じ得ないところがあった。
妹はとても上手くコミュニケーションを取れてたのに。
私だけなんだか疎外感を感じることがあった。
私はきっと拾われた子なんだ、と
小さい頃は割と本気で思ってて
そうでもしなければ説明がつかないほど
なんだかそりが合わなかった。
親の思う(思ってた?)価値観なんて
私はずっとわからなかった。
良い子でなきゃいけない理由も
大学には必ず行かなきゃいけない理由も
結婚して子供を産まなきゃいけない理由も
何一つわからない。
私はそんなもの求めてなかった。
ただ誰かと話がしたかっただけ。
私の話を少しでいいから聞いてほしかっただけ。
なんの生産性もない、お金になりそうもない、
自己成長につながるかも不明な
そんな話を誰かとしたかっただけ。
今日は雨ですね、とか
スタバの限定メニューが、とか
どうでもよかった。
してもいいんだけどね。
それより
何を考えてるの?
どういうふうに世の中を見てるの?
が知りたかった。
今は別にその欲求も薄れてきた。
そんな話を誰しもとしなくてはいけない
わけじゃないことがわかってきたから。
たわいもない話で終わる関係もOK
全部を伝え合わなくてもOK
なんでしょ?
結局人は一人だ、と
前向きに思ってる。
一人だから誰かと繋がれるのかも。
一人だから誰かを尊重できるのかも。愛せるのかも。
で、愛ってなんだろうね?
元来日本にはないこの言葉を
私たちはどう捉えているのだろう。
そもそも我々にそんな概念は不要だったのでは?
と
まあなんでもいいんだけど。
わからなくても困ることないし。死なないし、ね。