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#あやひろ が毎週かわいすぎるのでとにかくかわいいと叫びたい

ようやく女の子が女の子に恋することを当たり前に描こうとするドラマが現われたのだと実感した。

なんの話かと言えば、現在放送している夏ドラマ「彩香ちゃんは弘子先輩に恋してる」、通称「あやひろ」である。

私は昔から、いわゆる「GL」だったり「百合」の解釈を時にはされるような、言ってしまえば「ガール ミーツ ガール」的な物語が好きである。

だから、きっとこのドラマも楽しく見られるだろうなと1話を見たのだけど、

その時第4話まで配信されていたんだけど、一気に全話見切ったよね。
一瞬にしてFOD月額会員になりました。

我ながらおそろしいなと思いましたね。ええ。

「あやひろ」に関しては、誤解を恐れずに言うと、「お芝居を毎秒追いかけたいし解釈したい」とか「脚本がめちゃくちゃ面白い!」とか、個人的にはそういうドラマではない。
そういうドラマヲタク的な熱があるのではないのだけど、確実に毎週の楽しみなのである。

では、このドラマの「良さ」だったり「面白さ」はどこなのだろう。
そう考えてみると、「とにかくかわいい」。
とにかくかわいくてかわいくて、かわいいと叫びたい。
これに尽きる気がする。

かわいくてキュンとする世界観。
初々しくて、だからこそこのドラマを大事にしたい。
もしかしたらGL黎明期だからこそかもしれないこの初々しい甘酸っぱさ。
だからこそ、壊れてしまわないように、そっと宝箱に入れて大切に愛でたい。
そう感じさせられる作品である。

これは、この夏「あやひろ」にやられてしまったミドサー女が、その「かわいさ」を言語化しておくために記すnoteである。


加藤史帆さんの持つリアリティ

そのかわいさを形作っているのは、他でもなく主演のお一人である日向坂46の加藤史帆さんのお芝居だと思う。

これもまたファンの人には怒られてしまうかもしれないが、加藤さんはお芝居が物凄く上手いかというと、おそらくそうではない。
でも、だからこそ、加藤史帆が演じる彩香はとても魅力的でかわいい。
これは声を大にして言いたい。
ここがこのドラマのひとつめの、そして一番の魅力だと思う。

彼女が演じる「彩香」という役柄は、もともとは「鉄仮面」と同僚たちから言われるほどの生真面目で、生真面目すぎるがゆえに周囲と上手くコミュニケーションが取れない女の子である。
それが、ある日、仕事で失敗してしまい、それを弘子先輩に救われたことをきっかけにして、弘子先輩に恋していく……というのがドラマの大筋だ。

他人とのコミュニケーションを求めていなかった彩香が、初めて恋した弘子先輩を落とすために全力投球。
その「人間関係は不器用でちょっと変わり者」だけど「いつも一生懸命でブレない」な彩香がかわいい。
そして、そのブレなさ、自分を信じて前に進める強さは、かわいさを通り越してカッコよさすら感じる。

私はこれまで加藤史帆さんのことをまったく存じ上げなかったのだけど、番組のTikTokなどを見かける感じ、これは加藤史帆さんがもともと持っているキャラクターが役に相当反映されているのではないかと思う。
偶然見かけた森カンナさんとしゃべる加藤史帆さんの動画から感じられるちょっと不思議な距離感……まさに彩香そのものである。

なんだかちょっと不器用そうなしゃべり方、それでも一生懸命なお芝居。
一生懸命なことは物凄く伝わってくる。
そしてベテランの森カンナさんに食らいついていこうとするガッツ。
こういうものが彩香の魅力に直結している。
だからこそ、「芝居が上手い」から生まれるのとは別のリアリティがそこにはある。
もしかしたら今限定かもしれないそれをこのドラマを通して見守りたいと感じさせられる。

そんな彩香を象徴するファッションがミニ丈のキュロットとロングスカートを合わせたラップスカートなのだけど、これがまた絶妙だなと思う。
「生真面目さ」と「愛くるしさ」、「かわいらしさ」と「カッコ良さ」。
こうした彩香の二面性ゆえの魅力を象徴するような衣装だと思う。

森カンナさんの自然体と包容力

そんな彩香が恋する弘子先輩を演じるのは森カンナさん。
私の中で森カンナさんの印象は「ショムニ2013」であった(大分古い……)

森カンナさんに関しては、ベテランなのもあると思うけれど、お芝居を通して「女子が好きになっちゃう女子」を的確に表現していると思う。
いわゆる「本物のサバサバ系女子」というやつだ。

女性ならば誰でも一度は「憧れる同性の先輩」がいたことがあるのではないかと思う。
森カンナさんが演じる弘子はまさにそれだ。
弘子先輩は、何かが特別なわけではない、と個人的には思う。特別なスーパーウーマンってわけではない。
ただその所作のひとつひとつ、ちょっとした考え方のひとつひとつが自然体で無理がなく、すっと相手の懐に入ってしまう。相手が望んでいるものを与えてしまう。
何かがすっごく特別なわけではない。でも気が付いたら「弘子先輩かっこいい……!」「弘子先輩、好きです……!」と思われちゃうやつ。
矛盾しているけれど、だからこそ特別なのだ。
いるよね、そういう「女性から圧倒的に憧れられる女性」っていうのが、いるのよね……
正直、弘子先輩と同い年の私すら久しぶりにその感覚を覚えました(笑)

個人的には5話の弘子先輩、なにより森カンナさんのお芝居の説得力が、このドラマの核心だと思う。
そりゃあ彩香が好きになっちゃうよ、そりゃ百人切りしちゃうよと唸らされるシーンである。
この森カンナさんでこのドラマは成立していると言っても過言ではない。
ぜひドラマを見て欲しいんだけど、備忘録も兼ねて動画を貼っておきたい。

彩香に「私、弘子先輩に興味があります」と言われてからの瞳の動かし方とか首の傾げ方とか天才すぎる。照れてるんだけど強い。そりゃみんな好きになっちゃうよの説得力が強い。

「憧れ」から「好き」への移り変わりを丁寧に描く

「あやひろ」の良いところは、この「女子の女子へのあこがれる気持ち」を「恋」としてラブコメとしつつも丁寧に描いたところだ。

「ガール ミーツ ガール」的なドラマはそれなりにあるけれど、個人的な感覚として、その気持ちを憧れとして終わらせるか、「私はあなたのことを愛してる!」と茶化して見せるかが大体だったのではないかと思う。
私の世代だと上野樹里さんが性同一性障害を演じた「ラスト・フレンズ」などもありましたけどね。
最近ようやく「作りたい女と食べたい女」なども出てきたのかな。

「女性へのきらきらとした憧れの気持ち」から「好きなんだ」という感情の発露をシームレスに描く作品は、ありそうであまりないなという印象だった。
特に気持ちの移り変わりにしっかり焦点を当てて、女の子が女の子として女の人を好きになることを丁寧に描く作品ってあまりなかったのではないだろうか。

個人的には、その憧れの気持ちが必ずしも恋愛の好きでなくても良いと思うし、きらきらとした憧れにはそれを抱いた人の数だけ「感情の答え」があると思う。
でもそのきらきらしていて、でも面倒くさくて、難しくて、でも楽しくて……そんな気持ちの機微をもっと描いてくれたらいいのにな、とは思っていた。

このドラマは、まさにそうした「憧れる気持ち」を「好きなんだ」と肯定したその先、そのピュアでまっすぐな気持ち微笑ましさをもって描いているところにキュンとしてしまった。
他人を好きになって、その気持ちを素直に伝えられることは素晴らしい。
それを恐れない彩香も、その気持ちを当たり前に肯定できる登場人物たちも良いなと思う。

そういうピュアさ、男同士の恋愛することを当たり前のものとして描き、それ自体を悩みとして語らせない「おっさんずラブ」のような世界観。
これからはそういう女の子のドラマも増えていくのかな。ぜひ今後もこういうドラマが増えていきますように。

とはいえ、まずはこの夏、まだまだ「あやひろ」を楽しみにしています。

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