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舞台照明のお話を少し

こんにちは。倉増哲州です。

演劇のお話シリーズ。
昨日の「小屋入り」って何してんの?話に続いて、
今日は昨日もご質問があった

「サス」って何?
というご質問にお答えしていこうと思います!

この「サス」って言葉は照明に関する用語でございまして、
先に断っておくと僕は照明さんの技術的知識は乏しいのです。

ですので、あくまで役者目線でのお話です。
間違いを含んでる可能性もあるということだけ頭の片隅において
お読みくださいね。

ということで「サス」っていうのは「サスペンションライト」の略で、
僕たちはサスって呼んでいます。
舞台の上に吊るされた照明器具(灯体)で下にむけて照らす照明のことを総じてサスっていうと思うんです。
たぶん。(←これ大事)

でも、僕たちがサスって使うのは
観劇されたことがある方でしたら一度は見たことがあると思うんですが、
大事なシーンや印象的なシーンで、一人の役者さんだけを一筋の光で照らす。っていうのを見たことがあると思うんです。
あれです。
演劇の演出としては良くある、そして印象的になる照明ですね。
映像で言えばアップと同じような効果になるのかな。

否が応でも観客の目線はそこに集中する。
役者としてはなかなか緊張します 笑
でも上手くできれば、なかなかやりがいのあるシーンにもなる訳ですが、、、

実はこのサス。
役者にとって難しいのが、光が当たるエリアがものすごく狭い。
ものの半歩ずれただけでしっかり光の中に入れなくて影になってしまう。
その立ち位置がすごくすごくシビアなのです。
だからその場所にはお客様から分かりにくいように「場ミリ」
テープなんかで床に目印をつけていたりします。
僕も経験はあるのですが、たまにこのサス明かりの中に入れていなかったりするととても恥ずかしいことになります 笑

余談ですが、今はそんなことないのですけども、昔は
このサス位置にちゃんと入れてなかったりすると照明さんから怒られたりしました 笑

あとこのサスについて、役者が結構気を付けてることなんですが、
どうしても上からの光になるので、少し顔をうつむくだけで
顔が影になってしまいがち。
なのでちょいと顎上げ気味でしっかりお客様に表情がわかるように気をつけていたりします。
でも、これについても演出的にあえて顔に影がかかるようにすることもあるし、照明さんもできるだけ真上ではなく舞台面の方から光を当てるようにしてくれてたりするので、一概にはいえないところもあります。

最後にこのサスと同じような効果の照明として「ピンスポ」ってあります。
ピンスポットライトです。
これは主に客席の後ろからより明確できれいな明かりを人に当てることもできて、多少役者さんが動いてもしっかり追えるという優れもの。
よく宝塚とか、ショー的要素の演出で見られた方も多いかと思うんですが、
このピンスポは人が操作するもの。
ということは、ピンスポ専用の人が必要。
ということは… お金がかかる。ってことで小劇場の世界ではこのピンスポにお目にかかることは滅多にありません。

あともう一つこの照明のお話の続きで
「エスエス」
これはサイドスポットライトの略。
これはその名の通り、舞台の横から主に役者を照らすライト。
舞台上手下手の袖中とか、客席から見える場所の上手と下手にスタンドを立てて置いてあることも多いので、これから観劇される際は見てみてください。

このエスエスも僕たち役者の表情を引き立ててくれる、僕たちにとってありがた~い照明なのですが、、
これも役者として気を付けてることが、

舞台上でセンターを挟んで上手に一人、下手に一人
二人でしゃべるシーンがあって、エスエスが当たってるとします。
だいたい下手からの照明で上手の役者、上手の照明で下手の役者を照らすことが多いのですが、
ほぼ真横から当ててる明かりなので、僕たち役者が横一列にならんでしまうと自分の体で明かりを遮って、相手の顔に影を作ってしまうことがある。。

なのでお芝居をしていて、「あ、相手に影作ってしまってんな…」と思ったときは、お芝居を続けながらちょっとずつお客様にバレないよう体や首を動かしたりして、ちゃんと相手に明かりが当たるようにしてる時があったりします 笑
逆もしかりで、役者さんによっては相手が影になってるなぁってときは自分が微妙に動いてちゃんと明かりが当たるようにするときもあったり。

これも昔のお話ですが、お芝居を初めて間もないころ、そんな照明のことなんてなんにも分からず、このエスエスの照明が当たるシーンで
相手の先輩女優さんの顔の照明をずっと隠してお芝居をしてしまい
こっぴどく怒られたこともあります 笑

そんな僕が知りうる、役者目線からの
「サス」「エスエス」のお話でした。
なんかこのお話を書いていておもいましたが、、
僕の場合、怒られて覚えたこと多いな 笑

今日は少ししかできませんでしたが、
照明ってほんと奥が深い。
僕自身まだまだ知らないこと一杯ある。

でも、やっぱり照明が入るだけでお芝居の見え方はガラッと変わる。
役者にとって、お芝居にとってなくてはならないのが照明効果であるのは間違いありません。


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