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演劇における【演出】と【舞台監督】

こんにちは。倉増哲州です。

ここ何日か、いただいた演劇に関するご質問にお答えするシリーズが
続いておりますが、今日はその第三弾。

演劇における
「脚本家、演出家、監督」の関係についてというご質問にお答えしていきたいと思います!!

これもすごくいいご質問。
そしてこれもすべてが一概には言えない難しい質問… 笑

まず演劇に関していえることは
【演出】という人が脚本を元にその世界観(舞台の美術、照明、音響、衣装やその他の効果など)を考えて構築して、俳優の演技の方向性も含めて
すべてを組み立て、“作品”として作っていく人です。
なので映画でいう【監督】とほぼ一緒の役割なのです。

ここがあまり演劇を知らない人にとっては分かりづらいところですよね。
映画だと、「今度のあの映画は〇〇監督みたいだよ」ってな感じで
監督が作品の道筋を作っているんだってなんとなくイメージしやすいとは思うんですが、演劇の場合【演出】って聞いてもパッと何をする人なのか分かりづらいですもんね。
今後は演劇において【演出】≒映画の【監督】と思っておいてもらってほぼほぼ大丈夫だと思います。

そうなるとさらにややこしいのが、、
演劇でよく見かける役職で
【芸術監督】
【舞台監督】
ってありまして、どっちも“監督”ってついてる。
僕もたまーに「演出と舞台監督ってどっちが偉いん?」って質問されたりすることもあります。

一つずつ説明をすると
【芸術監督】っていうのは、主に大きな劇場とか大きな劇団に就いてる人。
その劇場や劇団で、どんな作品をどんなスケジュールでやる。とかそんな運営方針を考えたり、組織を運営する人。
少なくとも関西の小劇場で【芸術監督】という人にあうことは滅多にありません。
行ってしまえば、関西の多くの劇団は主宰が脚本を書いて、演出をして、
もちろん運営もしているので【芸術監督】を兼ねているといえばそうなります。

で、一番よく聞かれるのが
【舞台監督】って何をする人?って質問。
舞台監督さんは、基本的に演出家の意向をうけて照明、音響、制作などのスタッフさんを取りまとめて、公演といういわゆる興行を安全、円滑にすすめる人。って言ったらいいのかな。
僕たちは舞台監督のことを「ブカン」と略して言ったりします。
この舞台監督さんのお仕事は多岐に渡るので、今書いたような仕事以外にも色々あるんですが、
先ほども書いたように公演を進める上では大きな責任を持つので、例えば上演時間がきて、では定刻で始めましょう、と判断、スタートを出すのは舞台監督さん。
基本的には演出家ではないのです。

先ほども書きましたが、舞台監督さんは出演者やスタッフ、そして何よりお客様が安全に過ごせるようすべてに気を配る人ですから、
万が一地震や火災などが本番中に起こったり、その他トラブルなどで上演の中止判断などを下すのも基本的には舞台監督さんということになります。

さらには、上演中に雪を降らすとか、幕を下ろすなどなど仕掛けがあったりすることがありますよね。
そんなことも、舞台の裏で舞台監督さんが操作したりもします。
(それでも手が足りない時は役者がやるときもあります)
あとは早着替えの役者などが袖からはけて来たら、所定の場所まで誘導したり…
暗転中の舞台転換をしたり…

そんなことまで?? ってので言えば、お芝居でビンタをするシーンがあり、ある程度大きな劇場だと「ビシッ」としっかりした音が客席に届かない…
本気で叩くわけにもいかない…
かといって、効果音をスピーカーでだすのもなんだかリアルな感じがしない…
って時に、袖に待機した舞台監督さんがちょうどビンタするタイミングに合わせて、ビンタそっくりの音がでる道具を鳴らすってこともあります。
そんな道具があるのもびっくりでしょ。

その他にも書ききれないぐらい。
とにかくお芝居の内容によっては本番中舞台裏を縦横無尽に動き回ってます。忙しくて、そして責任重大。

さっきの質問
「演出家と舞台監督、どっちが偉いん?」
については、別にどっちが上下はないですけども、
お芝居をつくる上で責任をもつのは演出。
劇場に入ってしまえば舞台監督。ってニュアンスになるのかなぁと思います。

とこんな感じで今日は演劇における【演出】と【舞台監督】
について書いてみました。

例のごとくですが、上記した内容はだいたいこんな感じってことで、
ほんと“小劇場”というジャンルにおいてのお話ですし、
その小さなジャンルの中でも色んな人、カタチがあるので、
あくまでも僕が見てきた中でのお話ということで思っておいてくださいね。

何か参考になったり、
演劇に興味を持つキッカケ、
今後演劇を観る上で更に楽しめる何かになれば嬉しいです。

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