『第2回みやぎ海岸防災林対話会』を開催しました
こちらの記事でお伝えした『みやぎ海岸防災林対話会』ですが、去る5月19日(木)に、東松島市の野蒜市民センターにて第2回が開催されました。
第1回に引続き、㈱トビムシから、当日の様子をご報告します。
第1回の対話会では、参加者それぞれの現在の活動の様子や、地域や海岸防災林の将来像、それに対する想いなどを『対話』により共有しました。多様な視点でそれらを共有したことにより、海岸防災林に秘められているたくさんの可能性を感じることができました。
第2回では、それらの具体像を探るべく、「実際に将来像を作ってみる」ということをしてみました。
今回集まっていただいたのは、東北大学の学生2名と㈱トビムシのほか、次の方々です(敬称略)。
❍ 地域で活動する任意団体『野蒜塾』
❍ 海岸防災林の育林施業をしている『みやぎ海岸林再生みんなの森林づくり活動協定団体』
…セイホク株式会社、NPO法人わたりグリーンベルトプロジェクト
❍ 沿岸部に広がる「みちのく潮風トレイル」を運営・管轄
…NPO法人みちのくトレイルクラブ、環境省東北地方環境事務所
❍ 東松島市、宮城県
さて、第2回を開催するに当たり、第1回を踏まえいくつか変わった点があるので、当日の内容に先駆け、そちらからご紹介しようと思います。
まず大きく変わったのは、地元・野蒜地区で地域の歴史や自然などを軸に活動されている『野蒜塾』の皆さんにご参加いただいたことです。野蒜塾さんは沿岸部の植生やそれを巡る変遷などを独自に調査していらっしゃるとともに、震災前の海岸防災林の様子をご存知の方々なので、大変心強い存在です。
次に、「『対話会』は、もっと面的に現地の状況を共有した上で行う方が効果的ではないか?」との意見がありました。確かに、前回は海岸防災林の現地の状況は見たものの、部分的な体験になっていました。もっと全体的に海岸防災林とそれを取り巻く地域の状況を把握する必要があります。
そこで、対話会を『全4回のプログラム』とすることにしました。第1回は既に実施したとおりで、今後の糸口を見つけるためのもの、第2回でその具体度を上げ課題や仮説を抽出し、第3回で現地でそれを検証、最終回である第4回で全体を振り返り今後の方針を練るという流れです。
対話会自体の進め方も見直しました。前回は司会進行を全て(株)トビムシが行いましたが、今回は参加者が具体像を考える時間の進行を東北大学学生の皆さんにお願いすることにしました(企画内容自体は、事前に学生の皆さんと(株)トビムシとで練りました)。その方がコミュニケーションが深まり、学生の皆さんの『学び』も深まると考えたからです。このお話を事前に学生の皆さんにご相談し、戸惑いはあったものの「挑戦してみる」とご決断いただき、この形に至りました。
ということで、また前置きが長くなってしまいましたが、いよいよ当日の様子をご報告したいと思います!
最初に会場全体でこのプロジェクトの背景・目的と、第1回対話会の内容を振り返り共有しました。その後、今回からご参加いただいた野蒜塾さんの普段の活動内容をお聞きし、いよいよ「将来像を具体化する」ワークショップが始まります。
ここから進行を学生のお二人にバトンタッチしました。
最初こそ少し緊張気味にマイクを持っていましたが、すぐに流暢に進行し始めたお二人。さすがです。
前回は参加者全体を2グループに分けましたが、今回は野蒜塾さんのご参加により参加者が増えたので、3グループに分けました。そのグループごとにワークを行ってもらいます。最初に、第1回対話会の内容も踏まえながら、今回のグループメンバーで改めて「海岸防災林の望む姿」を模造紙上に付箋に書きながらブレストし共有してもらいました。
各メンバーの「望む姿」が出そろったところで、そこから班ごとに描く、望む姿のテーマを決めてもらいます。参加者各々が「望む姿」がイメージできてきたところで、本日のメインイベントに入っていきます。
模造紙上に、そのテーマに沿った「望む姿」を各班に実際に作ってもらうのです。多様なハイテクツールが存在する現代ですが、会場に準備されたのは、粘土、折り紙、モール、風船、その他諸々…という極めてアナログなアイテムのみ。これを使って、各班共同作業で「望む姿」を模造紙上に作り上げてもらいます。
さぁ、各班、いったいどのような海岸防災林が出来上がるのでしょうか…?
作業中、各班ではさまざまな『対話』がありました。
「湿地って、人の手入れは必要なんですか?」
「海岸の植物はこんな感じ?」
「手入れ作業を実際に見られたら良いんじゃないかな。」
「ゴミはちゃんとルール化しないと。ここにゴミ箱置きましょう。」
「人が入れたら良い空間になりそう。道が必要だね。」
「キャンプとか楽しみながら海岸防災林と触れ合えたら良いね。こうエリアを分けて…」
などなど。
言ってしまえば久しぶりの“工作”に、皆さん、自然と手と口が動きます。こうして、班のメンバーが各々に描いていた将来像を、模造紙の上にアウトプットして共有しながら作り上げることができました。
班ごとにできた将来像を発表してもらい、会場全体で共有しました。作業中もそうでしたが、班ごとの個性があふれています。
こちらは1班の発表の様子。
次に2班の発表です。
最後に3班。大変な力作でした。
最後に、その作り上げた『将来像』と今を比較することにより、解決すべき課題を浮き上がらせます。
各班で、将来像へのアプローチは様々でしたが(「何を残すか」を重視する、ルールを守りつつ楽しみながら触れ合う、自然との共生をどうデザインするか、etc…)、その描いた将来像には、共通する点が多く見られました。今回、普段から野蒜地区の植生を独自に調査している野蒜塾メンバーが各班に入ったこともあり、「自然」が大きなキーワードに掲げられたように思います。これまで知らなかった湿地や外来種について、参加者の知見がワークの副産物として深まりました。
また、その自然と共生していくためにも沿岸部を巡るルールが必要であり、それをどう設計するのか、そして周知していくのか、ということも、各班から共通して課題として浮かび上がりました。
前回は海岸防災林には多様な可能性があり、その入口の存在に参加者が各々気づくことができました。今回は、そこから共同作業をしつつ深掘ることにより、描く将来像の具体化と、それにより現状向き合うべき課題も発掘することができました。
この後、この報告の前段で述べたように、今回出た将来像&課題を踏まえて現地を広く視察し(第3回)、対話会の最終回である第4回につなげていきたいと思います。
今後とも、(なるべく速やかに)プロジェクトの状況をご報告していきたいと思いますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします!
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